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双鬼  作者: 鷹棒
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13話 虎徹さん

沢山の評価、ブックマークありがとうございます!PV数も以前の10倍以上になりました!本当に驚いております!ありがとうございます!

 俺は調査の準備を進めながらも、山本さんについて考える。


 まさか山本さんにそんな過去があったなんて…。


 かりんさんもそうだ。今ではとても頼りになる先輩だが、それが山本さんを見習ったものだったなんて…。


 世の中、誰が誰に影響を与えているか分かんないもんだな。


 そんな風に思っていると、かりんさんの声が聞こえた。


「そろそろ出発するよ」


 拓人君と桃ちゃんは既に準備出来ているようだ。


「はい!」


 俺は返事をして、荷物を持ち、みんなの所に走り出した。



 今日は本格的に路地裏の調査を進める。


 今朝、食事中に話し合った結果、隠密行動は無駄。堂々と捜索するべき。という結論に至った。


 龍宮寺が自ら場所をバラしたのだから、俺たちが調査に行く事くらいバレている。という考えだ。バレている以上、敵の本拠地で隠密行動なんて、カモがネギを背負ってくるようなものだ。


「調査って言ってもなにを調べるんですかー?」


 移動中、拓人君が質問し、それに対してかりんさんが答える。


「マフィアの構成員と戦力かな?」


 続けて桃ちゃんが質問する。


「それはどうやって調べるのですか?」

「路地裏から出てきた奴を捕らえて尋問する」


 かりんさんが悪い笑みを浮かべている。


「なるほど!素晴らしいですね」


 桃ちゃんも、全面的に肯定している。


 うちの女性陣は戦闘狂かなんかなのか!?


 2人の会話を聞いて、俺と拓人君は少しだけ2人から距離を取った。



 今日の作戦を話し合いながら歩いていると、半壊した新大久保駅に着いた。


 今日も業者の皆様が復旧工事をしている。


「手伝おっか」


 かりんさんがそう提案する。


「そうですね、もともとこんなに壊れたのは俺たちのせいですからね…」


 という事で作業開始だ。


 俺たちの仕事は瓦礫の撤去だ。


 そこら中に散らばっているコンクリートの破片や、折れた鉄骨などを中心に撤去していく。


 常に重い物を持ち歩くため、身体中、特に腰が痛い。


 作業員の方々は毎日こんな作業をしているのか…。


 今後は街への被害を最小限にしよう!俺はそう心に決めた。


 作業を開始してから30分。桃ちゃんと作業員の方が話している声が聞こえた。


「嬢ちゃん、大丈夫かい?無理しないでいいんだぞ?」


 声のする方を見るとどうやら、鉄骨を持とうとする桃ちゃんと、それに気遣う男の姿があった。


「大丈夫ですよ。これくらい朝飯前です!」


「いや、でもよ…だからって鉄骨なんか持つ必要ないって!ほら!あそこに散らばってる破片集めてくれればいいから!」


 桃ちゃんは男の言葉には耳を向けず、「よっこらせ」と言って()()()鉄骨を担ぐ。


「えぇぇぇぇぇ!!!??」


 男は尻餅をつきながら、眼球が飛び出すほど目を見開いて驚く。


 落ち着いて見てるが、俺も1年前に同じ反応をした。安心して欲しい。桃ちゃんが異常なのだ。



 なんやかんやあったが、合計1時間ほど作業をした後、本来の仕事に戻る。


 路地裏まで辿り着いた。


 辺りを見回してみても、相変わらずゴミ一つ落ちていない。


 路地裏を少し進んだ所で、かりんさんが最終確認をする。


「今日はマフィアの本拠地への入り口探しと、敵の戦力の調査。いい?」


 かりんさんの確認に全員で「了解」と返す。


 戦力の調査と言っても、人の姿が一切見えない。


「これじゃ構成員とか全然分かりませんね…」


 俺の呟きに桃ちゃんが言葉を返す。


「そうですね。まずは入り口を探しますか?」


 その提案にかりんさんが賛成する。


「そうね。それがいいと思う」


 そんな事を話していたら、頭上から声が聞こえた。一度聞いた事のある声だ。


「おいおいお前ら、人様の家の前で騒ぐなよ!」


 声の主はそう怒鳴りながら降りてきた。


「お前は!?」


 俺は反射的に声を出してしまう。


「お前だと?ふざけんなよ!テメェ見たところ高校生くらいだろ、俺は28歳だぞ!年上だぞ!失礼じゃねぇか!」


 キレている。怖い。山本さんといいこの人といい、なんですぐキレるんだ…?


 そう思いつつも、名前を知らなきゃなんて呼べばいいのか分からないので質問をする。


「あのー…、お名前は何というのでしょうか?」


田中虎徹(たなかこてつ)()()だ!いいな?虎徹さんだぞ!?」


 なんか凄い『さん』にこだわっている。何故だ…?


 そんな事を考えていると、虎徹さんが俺たちに問いを投げかけてきた。


「テメェら異能警察官だろ?俺たちの調査してるらしいなぁ!やるか?戦って情報聞き出すか?」


 流石に知ってるか。俺たちがマフィアの調査をしている事。


 俺たちを代表して、かりんさんが問いに答える。


「そうね、貴方たちが無償で情報を提供してくれるなら戦いたくはないけど?」


「へっ!そりゃ無理な相談だ!やるって事でいいんだよな!?」


 虎徹さんはそう言いながら異能を解放する。


「いくよ!」


 それに続いて。かりんさんの掛け声で俺たちも異能を解放する。


 今回は事前に異能使用の許可をとっているから、異能生物以外に使用しても問題ない。


 虎徹さんの異能はおそらく『虎』だと思う。


 全身に纏う異能のオーラにトラ模様が浮かんでいるし、前回の戦闘でそれっぽい戦い方をしていたからだ。


「みんな!1対4よ!囲んで絶え間なく攻撃して!」


 かりんさんが作戦を伝える。その直後。


「だってよ、(じゅん)。なんとかしてくれ」


 虎徹さんが頭上に向かって喋りかける。


 それに釣られて頭上を見ると、そこには異能を解放させた1人の男がいた。


「気付かなかっただろ?そいつは梟谷潤(ふくろうだにじゅん)って言ってな、23歳だ。お前たちより年上だぞ。しっかり『さん』をつけろよ。能力は『梟』だ。まぁ見りゃ分かるだろ」


 なんかすげぇ教えてくれる…。


「ちょっと虎徹さーん、情報バラすの辞めて下さーい」


 ほら!潤さんも困ってるでしょ!


 いや、それどころではない!1対4から2対4になってしまった。


 かりんさんも同じ事を思っているらしく、かなり焦っているように見える。


「私と鉄君が虎徹…さんを!拓人君と桃ちゃんは潤さんをお願い!」


 かりんさんの指示に全員で「了解!」と返事をする。



 さぁ、戦闘開始だ!

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