不幸せの壺
大切な人がいなくなる。
もう一度会いたくても叶わないということ。
大切ではなくても、身近な人が存在しなくなる。
自分の世界から遠くに、行ってしまうということ。
秋の日暮れの様な、
世界が静かに止まっている様な、そんな空気。
命が枯れる、その色は、
透明で澄んでいて、光っていた。
雨の後、葉に留まる水滴から、
微かに香る死の匂いが、
私を穏やかにさせた。
自分が居なくなった世界はどうでもよかった。
でも貴方が居なくなった世界に、
頭の先まで浸かってしまうかもしれない。
そんな世界を、欲しているのかもしれない。