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205.

 西の宿舎のヤラレルとマッケル。

 彼らもまたサバイバル演習を生き残っているチームだった。


 罠に困った見習い騎士たちは同盟を組んだり、情報が錯綜して集団でぶつかり合っているが、二人には関係ない。罠はゆっくり見て見極めればいい。誰と当たっても堂々と倒せばいい話で、森の中をゆっくりと練り歩いていた。

 彼らの今回の目的はただ一つ。クーイヌとパーシルペアを倒すことだ。


 東北対抗剣技試合という伝統行事があるせいで、二つの寮の若手は話題になりやすい。

 しかし、自分達も彼らに負けない実力があると自負するのが二人だった。


「はじまって3時間か、もうほとんどの見習い騎士は生き残っていないようだな」


 そういうヤラレルにマッケルが頷く。


「ああ、ヒースという罠を仕掛けて回った男が積極的に潰し回っているようだ」

「好都合だな。邪魔者を減らしてくれている上に、罠に頼るのは剣に自信がない証拠で、恐れる必要もない」


 二人はクーイヌとパーシル以外には眼中にない。

 ただ本命と当たる前に、邪魔になるようなチームは排除しておきたいのも本音だった。他のチームを潰した後に、クーイヌとパーシルチームに当たる。その理想を実現するため、ヤラレルとマッケルは出会ったチームを片っ端から倒してここまで来ていた。


 森の中を進んでいくと、見習い騎士の姿を見つける。

 一瞬木剣を構えた二人だが、それが同じ西の宿舎の見習い騎士であることと、すでに戦闘不能になっていることに気づく。


 同じ宿舎でも生き残っているなら倒すつもりだったが、もうやられているようなので二人は剣を収めた。

 倒れている見習い騎士もこちらに気づいたようだ。


 仲間意識でも持たれていたのか、最後の力を振り絞って忠告をくれる。


「ヤラレルとマッケルか……。ひ、引き返した方がいい。この先にいる相手は剣じゃ無理だ……」


 どうやらこの先にいる敵にやられたようだった。

 ヤラレルとマッケルが取った行動は、忠告とは逆だった。


 剣を構え直し、ずんずんとその先へと進んでいく。

 ヤラレルが山の斜面の木の根を踏んだとき、風切り音が聞こえた。


 反射的に剣を振ると、何かが地面に落ちる。


「これは……」


 それは木製の矢だった。矢尻は外してあるが、それでも十分な重さと早さがあるように作られている。

 当たればさっきの少年のように倒されてしまうだろう。


 矢の飛んできた方を追うと、二人の少年が立っていた。


「ケリオか。それともう一人は……知らんな」


 一人は知っている少年だ。東の宿舎のケリオ、それなりに剣の腕が立つということで、一応警戒はしていた相手だ。ただし、その実力は自分達に及ばないという認識だ。もう一人の少年のことは、全く知らなかった。

 小柄な身長と、細い体躯、女の子と間違われそうな容姿。罠を仕掛けたと話題になったヒースと特徴は似通っているが、それよりは身長が高く、髪の色も淡いクリーム色だった。


 先ほど矢を放ったのは、知らない方の少年だったようだ。


「西の宿舎のヤラレルとマッケルだね。僕の名前はレーミエ、北の宿舎のレーミエだよ。覚えておいた方がいい。君たちを倒すのは僕たちだからね」


 少女のような顔に真剣な表情を浮かべ、レーミエはそう言い切った。

6月中の平日は、「夜の国」「公爵家」「わたふた」三作品のどれかを必ず更新という方針で活動してたのですが、その期間が終わったのでまた気が抜けて更新遅くなるかもしれません。今もこの作品を読んでくださってる方に感謝です。

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