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次の日の朝、食堂にいったイウスは新しいニュースに衝撃を受けた。
ヒースと内通し侍女の女の子と文通する権利を受け取ったかわりに、ヒースの有利なように話を誘導した男が捕まったというのだ……。
(馬鹿な俺たちは昨夜の件を話してないぞ。なのに早すぎる……)
食堂では少年たちとヒースが一触即発の雰囲気で向かい合っていた。
それをゴルムスは我関せずと、レーミエ、スラッド、ギースは恐る恐ると見守っている。
集団になって立ち上がり憤りをみせる少年たちに対し、ヒースは余裕の笑みを浮かべ椅子に座り向かい合っている。
「汚いぞ、ヒース!プリフェクトの権力を使うだけじゃなく、まさかアルシアちゃんコネクションまで使って仲間を裏切らせるなんて!」
「そうだそうだ!男らしくない!」
「いくら侍女の女の子たちと仲が良いからってずるいぞ!」
「俺だって女の子と文通してぇよ!」
騒ぎ立てる少年たちの怒号はなぜか途中から別の方向に走った。それはともかく。
ヒースは食後の紅茶をゆっくりと一口含んだあと口を開く
「汚い?確かにそうかもね」
ヒースは意外にもそれを肯定した。
少年たちの表情に驚きが走る。またのらりくらりと誤魔化されるとおもってたのだ。
しかし、ヒースは余裕の笑みを浮かべ、少年たちをまっすぐ見据えて言った。
「でも、彼に伝えさせたことは事実だろう?君たちの主張。僕のやり方が……えーと、男らしくない、だっけ?」
首をかしげ、身振り手振りを加え、はっきりと周囲に響きわたる言葉で行われているのは、ヒースの演説だった。
「それが事実だとして、君たちの取ろうとした行動もまったく男らしくさの欠片もないじゃないか。僕をただ勝たせたくないから、ただそれだけの理由で対立候補にポイントを入れようとする。それは君たちの主張する、男らしさランキングのあり方として許されるのかい?」
「ぐっ……」
確かに見習い騎士の少年たちは昨日、その言葉に納得したのは事実なのだ。
それがヒースが送ったスパイの言葉だったというだけで。
「僕が男らしくないから勝ちにふさわしくないというのなら、君たちは男らしく戦って勝ってみせなよ。それなら僕も納得がいくよ。それともまさか、男らしく戦うことができないのかい?」
挑発的なヒースの演説に、あっさりと少年たちは扇動された。
「わかったよちくしょう!」
「こっちは男らしく戦ってやるよ!」
「負けたら覚えてろよ!」
大声でそれに応じてしまった少年たちを見ながらイウスは呟いた。
「やられた……」
それにルータスが聞き返す。
「どういうことだ……?」
「おそらく昨晩の情報をみんなに流したのはヒース自身だ。あの5人を使ったんだろう。スパイから世論を誘導するのは不確実性が高い。失敗すればゼリウスに大量の得点が入り負ける。
だから、こうやってわざと明るみにだすことによって対立構造を明確化し、自分を悪役に置くことで、相手の立場を決定させたんだ。
戦いには大義名分が必要だ。俺たちの主張はヒースの行動が男らしくないこと。なのにこちらが男らしくない行動をとれば、俺たちの戦いは大儀を失ってしまう。
俺たちが正義を主張し、やつが悪役の立場を取った以上、俺たちは男らしい手段でやつに勝つしかなくなってしまった」
イウスは苦渋に顔をゆがめる。
「こうなってしまっては5人を暴いたとしても、もうほとんど影響はない」
「それじゃあどうしたらいいんだ……?」
「……」
ルータスの問いにイウスは沈黙した。
「まさか諦めるのか!?俺たちの大切な男らしさランキングをあの暴君に蹂躙されたままで!」
「いや、諦めるつもりはない。まだ何かがあるはずだ。何かやつの暴走を止める手立てが……!
必ず俺はそれを見つけ出す。協力してくれるか?ルータス」
イウスとルータス。二人の真剣な瞳が向き合う。
ルータスは笑っていった。
「ああ、最後まで付き合うぜ相棒!」
すいません、もう一度だけ告知させてください
アーススター・ノベルさまより書籍化されることになりました。
(ちなみにこのエピソード読み飛ばしてくださっても何の支障もないので、もし無理な方がいたら次回タイトルまでこの作品が休載してるんだとおもっていただけたらと……orzすいません)




