表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

6、動画鑑賞と情報収集

「じゃあ、次は休暇いつだっけ?」

「1週間後だろ」

「なげぇな……」

「だからこちらで過ごす時間は有効に使わなきゃだろ」

「とりあえず昼飯時とかいろいろ調べておこうぜ」

「了解、了解」


 俺たちは今後の予定を軽く確認した後ログアウトした。




 〇REC

 実録、ギルド長は見た!~解体幼女テン子ちゃん編2~


 画面にそんなテロップが浮かぶと赤い狼の獣人の姿が映り込んだ。

 深刻そうな表情でマイクを口元に構えると小声で話し始めた。

 カメラは視点を移動し1人の少女の後ろ姿をとらえた。

 少女は黒い髪に埋もれるように直角のケモ耳が生えている。テン種の獣人だ。


(「皆様、今ギルドに戻った私の目の前にいるのはあの解体幼女テン子ちゃんです。

 天井から紐を使ってなにやら吊るしているようですね……。

 もう少し傍に寄ってみましょうか」)


 カメラがすーっと移動し徐々に拡大され次の瞬間吊るされている物の正体が見え始めた。


(「皆様、お気づきでしょうか?

 どうやらテン子ちゃんはどうやらスモールバードを吊るしているようです。

 えぇ、あの草原で空からとんできて突っついてくるむかつくあん畜生です。

 数はどうやら10匹程。一様にお腹が膨れている気がしますね」)


 テン子ちゃんが宙に手をだすと包丁が空から落ちてきた。

 それを当たり前のように目を向けもせず柄をつかんでしまう。

 初めに吊るしたトリを掴むとその首目掛けて包丁を振り、刎ねた。

 1拍遅れて滴り落ちていく血は、床にいつの間にかおかれた、ボウルに吸い込まれるように落ちていった。

 次のトリもその次のトリも……次々刎ね飛ばされ首は何故か全て1つの鍋に収まった。


(「見たでしょうか!

 あのあまりの無遠慮な手先に呆れを覚えるのか、その技量に驚けばいいのか!

 血が飛び散っていたら後で怒ろうかなと思っていたのは私でした!」)


 テンコちゃんは首を集めた鍋に左手を入れ右手でスマホを操作し鍋を消した。

 そして別の鍋を用意し火にかけ湯を沸かす。


 そして急に首だけ後ろを振り向き血の付いた包丁片手に、にやっと笑った。

(「!」)

 一瞬だけのことだった。実際は振り向いたのか分からないほどの時間だった。


 テン子ちゃんはいつの間にか持っていた包丁を使ってトリを吊していた物を切りトリを集めてきた。

 片手に持っていた包丁を一旦宙に消すとそれらのトリを沸かしていた湯にいれる。


(「これはどういう作業なのでしょう……?

 あ、WEBの情報によると温めることで毛穴が開き羽が抜けやすくなるそうです。

 これは羽を抜くための前段階みたいですね!」)


 テン子ちゃんが吊るすときに使っていた紐を引っ張りトリを引きずり出す。


(「黒くて細い左手が白い羽をがしっとつかんでいます!

 あ、黒くて細い右手が身体を押さえつけました!

 そして一気に引っ張って!

 黒い右手がスマホを操作すると左手に掴んでいた羽が消えました。

 どうやらインベントリにしまったようですね。

 抜いた羽をすぐにしまうその律義さにこのフォロさんは感激です!」)


 丸裸のトリが10個用意されるまでに2時間以上費やされた。


(「解体幼女様がトリのお股を開いてます!

 あ、そ、そんな開かないわ!」)


 テン子ちゃんは包丁を取り出し股の付け根を浅く切り付け皮を切り裂いた


(「両足つかんで引っ張ってます!

 そ、そんなお股裂けちゃうw!

 関節が見えちゃいました。

 あ、お尻から包丁が……!」)


 テン子ちゃんはトリの足の関節を切り離しました。


(「片足つかんで引っこ抜き片足つかんで引っこ抜き……」)


 テン子ちゃんはただもも肉トリから切り外しただけです。

 これをテン子ちゃんは10回繰り返し全てインベントリにしまいました。


 テン子ちゃんはトリの肩の付け根の部分、こぶが2つありその中間に包丁を入れ胴体の骨に沿わせるように刃をあるラインまで進ませた。


(「黒くて細い手が肌色のお肉を摘み力を込め引っこ抜く!」)


 テン子ちゃんは両側行い全て同様の処理をしインベントリにしまった。


 トリの胸の竜骨と呼ばれる部位の中央にある【ささみ】を引きはがしこれもインベントリに全てしまう。


 両側の肩甲骨に包丁を沿わせ胴体から引きはがし片手でまとめて掴む。

 もう片方の手で首をつかんで引っ張る。


(「硬い!硬いのか!なかなか上手くいかないようだ!

 でもまだあきらめない!

 開いたー!

 そして胴体の中身が見えてもう普通にグロ……!」)


 テン子ちゃんは赤い肝臓をめくりその下にあった緑っぽい臓器胆嚢を周辺の肉と一緒に包丁で切り取る。


(「あれは胆嚢ですね。あれを破るとお肉が苦くて食べられなくなるようですよ」)


 小腸を破かないように引き出し火にくべる。


(「中にフンが入っているので破くと臭くなりますね」)


 卵巣と卵管があり中に未熟な卵があったので慎重に回収する。


(「あれは珍味です。メスだったようですね。」)


 解体をそれぞれのトリ毎に繰り返し全てをテン子ちゃんは回収した。


(「後片付けまできれいに終えています。

 真摯な処理の仕方、血をこぼさず羽を落とさず私はできるでしょうか?

 開始からここまでの時間合計で4時間かかってます。

 編集で繰り返し部分を早送りで進めていますが解体幼女テン子様は1回も休まずに行動してました。

 すばらしい集中力ですね。

 ではこのまま盗撮を続け」)


 急にテン子ちゃんがアップで映りその微笑みを見せつけると映像は途切れた。


 その後テロップで宣伝が流れる。


 生産ギルド【けもけも】はけもみみをお持ちの生産者をお待ちしております。




 再生回数の最も多いギルドPV。18禁。

 恐怖を煽るような調子。

 赤の多い画像。


 幼女、動物、包丁、ホラー。


 凄惨なる生産タグは伊達じゃないな。


 この動画は鳥であって牛の解体ではないけど、何かに使えるんじゃないかな?

 牛の解体特番は……見当たらないししょうがないか。

 まぁ、ここまでできるということは覚えておいて損はないだろう。


 牛の解体の動画は……ゲーム内での物はよさそうなのは見つけられなかったが……参考になるだろうか?

 外国人の15分で1頭解体するプロの手際は真似したいな。

 数百、数千と解体してきた経験の賜なのだろう。


 テン子先生の動画くらいまでバラバラにできれば調理もしやすいだろう。

 どれが何、コレが何、仕組みを理解できれば調理の応用しやすそうだな。


 死後間もない牛の肉は熟成させなくても柔らかく甘いらしい。


 死後少しすると硬直が始まり硬くなるという。


 そして菌が繁殖して腐ることのない温度で、かつ凍って酵素が動かなくなることのない温度、だいたい0度くらいで保存して自己消化を起こし、しばらくすると柔らかく甘くなるという。


 現実じゃ食べられない鮮度の牛肉。

 食べたことのない牛肉。


 すごく気になるな。


 刺身、ステーキ、しゃぶしゃぶ。


 何を作ろうか。

 お肉はたくさんあるし、全部作ろうか。


 そうと決まれば料理方法をもっと考えておかないといけないな。


 血のソースとか奇を衒うのはまだ早い。

 基本に忠実な料理をしていこう。


 ステーキの焼き方をしっかり覚えていこう。

 部位によっても焼き加減の調節を覚える必要がありそうだ。


 ……実際に調理するのはゲームの中だけな。

 毎食牛肉ステーキとか食費が跳ね上がっちまう。

 あと胃がもたれる。

 ……もう牛肉、まいうーで済むほど若くはないんだ。

 とにかく動画を漁って仔細に調べよう。












評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ