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4、ハーブ

更新を再開します。

主人公の一人称が変更にしていたり、取得スキルが刀スキルから剣スキルに変わっていたり、ところどころ変更があります。

最低週1で更新です。

 視界に入る高木を目指し俺たちは歩いた。


 普通に歩いていると不意打ち気味にモンスターが襲いかかってくるため、前後左右上とどこから誰が狙われるのかが分からない。

 モンスターの気配などまだ俺たちは分からない。

 仕方あるまい。


 流れ作業のように捌いていく。

 クローバーが前方に向けて「喝っ!」と叫ぶ。

 飛び出てくるのは犬やネコが3、4匹ばかり。少ないと1、2匹、多くて10匹くらいだ。

 ダイヤが石を投げて遠くに見えるクローバーへのヘイトが薄い敵を集める。

 そしてハートはクローバーの前に集まる敵目がけてボムを飛ばす。

 ハートに移ったヘイトを集めるため、クローバーは「喝っ!」と再度叫ぶ。

 最後に俺はまだ息のあるモンスターを始末する。


 こんな流れ作業だ。



 アチーブメント?

 こんな同じ方法ばかりやるようでは稼ぎようがない。

 出来ることがまだ限られているのが問題だな。


 まぁ、進む以外にもやるメリットはある。


 経験だ。

 熟練度などの経験値もあるけれど、そのものずばりの経験が大きい。


 俺は大分、包丁に手が慣れた。


 獲物の脇を通る間に首の血管を斬り、背後に血の雨を降らせる。

 可愛らしさのない、小汚い色をした犬やネコなのであまりためらいなく斬れる。


 ただ振り回してもいいことはない。

 きちんとどこを斬るのか。

 そこを斬るためにはどういう風な体勢がいいのか。

 姿勢の1つ1つに気を払う。


 1つ斬ってお終いではない。

 敵は山のように襲いかかってくる。

 動作を繋げること。

 斬り終えた体勢が次の斬る体勢になるように。

 動きは素早く、簡潔に。


 練習台は山のようにいる。

 さぁ、最適な動きを覚えようか。




 通りすがりに視界に入った獲物の首筋を浅く、しかし血管を斬れる程度に深く、切り裂く。

 1234……今回は一息に6斬れた。

 あ、4は浅すぎたな、まだまだ勘が甘い。


 血が噴き出る前に俺は前に進む。

 だから俺には血がつかない。


 地面に向けて包丁を振り血を払い落とす。


「あんまり前に出ないでくれ!

 ヘイトをとっていないモンスターに不意打ちされても文句は聞かないぞ!」

「分かった!注意する!」


 危ない、危ない。

 モンスターの多くがクローバーに意識が向いているからこそ、首筋が晒されているのだ。

 真正面から戦えば、牙や爪に狙われ、刃の短いこの包丁では攻撃するのが少々困難だ。

 もっと長い刃が欲しいな。




 吸引力の変わらないそ、もといクローバーのヘイト管理は上手い。

 1度に受ける攻撃も囲まれないように立ち回り減らし、装備の耐久値も減らしにくいようにしている。

 盾装備で攻撃を受けているためHPは減ったりしていない。

 以前のゲームでの経験も生かしながらの立ち回りは見ていて安心できる。


 ハートの魔法はタイミングを知らせてくれるので攻撃のタイミングを決めやすい。

 爆風が治まる時間もつかめてきたからいい感じに立ち回れる。

 まぁ、まだこの辺りのモンスターを一撃では倒せない威力なのはしょうがないが、ダメージ源としてはいいだろう。

 今後に期待としておこう。


 ダイヤの投擲は効果が少しお粗末だけれど物がない現状どうしようもない。

 今は道端で草を採取していたりしている。

 時折、スマホ片手に楽しそうに笑っている感じからすれば調合用にいいアイテムが入手できたりしているのだろう。

 回復アイテムか毒とかそういう投擲用の物に塗り付ける物が入手出来ているに違いない。

 ダメージを受けないうちは回復スキルを使うことがないのもしょうがないことだ。

 それにしても命中率が高いな。

 ピッチャーでもやってたかな?聞いたことはないけど。


 ゆっくりと進む。

 奇襲で余計なダメージを受けて隊列を崩してしまうことを防ぐため。


 クローバーの「喝っ!」という声が定期的に響く。

 ハートの魔法の爆風が吹き荒れる。

 俺の後ろに血の雨が降る。

 ダイヤがアイテムを採取してにやける。


「ダイヤ、顔、顔」

「うん?どうした?スペード?」

「アイテム拾って嬉しいのはわかるが顔がにやけて大変だぞ?」

「おぉっと、いけね。わるいわるい」

「で、何拾ったんだ?」

「とりあえず、調味料の類だな。

 意外と使えるハーブとか多いんだ。

 回復量はお粗末だけれど味はいいようでね」

「……」

「状態異常関係はこの辺りには情報によればない。

 商人の目利きスキルで鑑定をこの辺りの植物にかけていって作ったらしい図鑑ではなかったそうだ。

 まぁ、とりあえず、美味い料理は作りやすくなったぞ?」

「そうか」

「状態異常関係は森が本番だからそれまでは投擲スキルの熟練度でも上げとくからちょっと待ってくれよ」


 いや、まぁ、そりゃ、初期のフィールドで毒草とか生えてないか。

 むしろ料理に使える草があった分マシなのか。


「図鑑によればこの草が食欲増進と健胃効果があって牛肉や豚肉と一緒に炒めると美味しいらしいぞ」


 見た目ニラだな。


「他のハーブだと筋力増加しやすくなる効果や視力が良くなる効果、自然回復力が増強される物とかいろいろすげーぞ」

「それ、いいな!」

「あ、これ、調理前提だからすぐにはできないからな?」

「了解だ」

「食材の組み合わせも大事だし、上限もあるから」

「分かった、分かった」


 確かに食事効果がいいアイテム拾ったらにやけても別にいいな。


「なぁ、カラスがあそこから降りてこないんだがどうする?」

「あそこまで魔法届かないなぁ……」


 いつの間にかカラスのいる木の根元まで辿りついていたようだ。


 クローバーの指さす先は遥か高い木の上。

 高さ20mはあろうか木の枝の先。

 ここだけ少し木が密集した木立ちになっていて、木が細長い。

 そして木の1つ1つにカラスが7、8羽いる。

 1つの木に2羽、一際大きなカラスがいることから、大きなカラスは親で、少し小さなカラスは子供なのだろう。


 木の高いところにいるとなるとハートの魔法やクローバーのスキルは届かない。


「じゃあ、俺が少し斬って落としてくる。

 すぐ降りてくるからクローバー、構えていてくれ!」


 俺はそう声をかけて、木々を足で蹴り、三角飛びの要領で高く上がる。

 現実じゃあこんな動きについてこれる程筋肉が若くない。

 たぶん2、3跳んだくらいで筋肉が悲鳴をあげるか、肉離れを起こしてしまう。

 ゲームならではの特権だな。


 現実の体操選手を超える動きで、あっという間にカラスの巣まで俺は駆け上がる。


「こんばんは、そしてさよならだ」


 包丁を振り手近なカラスの喉元を斬る。

 血を噴水のように上げるものだから俺を含めて周囲全体へと血の雨を浴びせた。

 けたたましい声で鳴き、カラスの大群は俺目がけて襲ってくる。

 そんなカラスを尻目に俺は地面へとフリーフォール。


 しかし自由落下している俺よりもカラスの方が速い。

 飛んでくるカラスの喉元を斬る。

 俺は片手でカラスを横から殴り近くのカラスにぶつける。


「喝っ!」


 クローバーの吸引が俺の周りのカラスの注意をひく。

 空中で少なからずダメージを受けた俺は地面に降りてきてダイヤに回復をしてもらった。


「いや〜、いきなり行っちゃうんだね?」

「問答はいいからさっさと倒そうぜ」

「はいはい、でも今度からムリしないんだぜ?」

「分かった、分かった」


 ダイヤから少しトゲのある注意を受けた。

 まぁ、しょうがない。

 言われても仕方のないことをしたからな。

 反省はしてる、でも後悔はしていない。


「爆発するよ!」

「了解!」


 ハートの魔法が弾ける。

 クローバーの盾で爆風を受けつつ俺たちは耐ショック姿勢をとっていた。

 空中では爆風に煽られカラスは木に叩きつけられたりしている。


 爆風が治まるやすぐに俺はカラスの喉元を斬っていく。


 クローバーがカラスの首を踏み骨を折る。


 ハートやダイヤは実際に手を下すことが苦手だ。

 魔法を使ったり、薬品を使ったりして殺す分には手に感触が残らないので、大丈夫だというものの、手でやるとどうしても気持ちが悪くて嫌だという。

 まぁ、そういう性分なのは仕方がない。

 別に殺していることには変わりはないのだから大した差はないだろうに、とは思うが。





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