8
翌日。
どうにか微熱程度に熱が下がり、起き上がった俺の耳に。
「雪ー、何処だー?」
「雪ちゃん、何処におりますのー?ご飯ですわよー?」
雪を探す皆の声が聞こえる。
「雪がいないのか」
「あ、竜兄ちゃん!もう大丈夫なの?」
「少しだるいが動く分には問題」
「大ありよね?」
阿修羅に部屋に連れ戻される。
「桜、雪は」
「昨日あんたが倒れた後から、姿が何処にも見当たらないのよ
……ご飯も食べた跡がないし、猫砂トイレを使った様子もないの」
「昨夜は、確かみぞれが降っていた筈だが」
夜に目が覚めてみぞれに気付き、庭に繋がる襖をあけたら即座に楓と琥珀が入ってきた。
2匹は今も俺の部屋で寝ている。
もしかしたら雪も来るかと思い足元の襖を少し開けておいたのだが、やはり来なかった。
「そうなのよね……だからあんたが雪の為に外に設置した、電気毛布のとこにいると思ったんだけど」
「まさか、埋もれて」
「裏山の方ならともかく、この辺は積もってないわよ。あと庭は全部探したわ」
「もう一度探す」
「もう一度、って、ちょっと竜一、あんたは寝てなさいっ!」
とめる桜を振り切って部屋から縁側に出る。
何処に行ってしまったのか。
まだ生後2ヶ月にもなっていないのに、ようやく子猫らしくふっくらとしてきたのに。
ころん。
縁側に置かれていた何かが、足にぶつかった。