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「こんなちっちゃな子達何処で保護してきたのよ竜一!?」
2匹を懐に入れ、桜が研修医として勤めている動物病院に駆けこんだ。
事情を説明し、即座に診察してもらう。
「生後1ヶ月、ってとこね。多分捨てられてだいぶ経ってるわ、衰弱しきってる。
しばらくうちに入院って事でいいの?というか」
「飼う」
「はいはい、あんたならそう言うと思ってたわ。ちゃんと皆にも許可貰いなさいよ。」
「判った。お前は」
「反対すると思う?」
「悪い」
しばらく入院させる、と言われた為、そのまま家に帰る。
「おかえりー、竜兄ちゃ……ちょ、どうしたんだよ泥だらけで」
「ただいま、鈴香」
敷地だけは馬鹿でかい日本家屋の玄関に入ると、最年少の鈴香が顔を出す。まわりの悪影響の所為か、言葉遣いは荒っぽいが立派な女の子だ。
両親が里親として預かっていた子供達を、両親の死により俺の里子にして早4年。
里子として18まで一緒に暮らしていた(両親が亡くなった時には奨学生として獣医大の寮に入っていたが、両親の葬儀の後に帰ってきてくれた)
桜を筆頭に、皆が協力してくれたのでどうにかやってこれた。
両親が引き取った時から兄弟のように生活してきたので、仲はいいと自負しているがそれだけでは色々と足りない。
皆が助けてくれるから、こうやって暮らしていける。本当に、感謝している。
「捨てられていた子猫を拾った。桜の所に入院させてきた、そのうちここに帰ってくる」
「え、また動物増えるの」
「世話はする」
「いや世話するのは判ってんだけどさ。ほんと竜兄ちゃんってば、捨てられたもんに甘いんだから」
まだ10歳の子供の癖に、苦笑を浮かべる鈴香の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。
「ちょ、髪が乱れるっ」
「捨てられたもんに甘いんじゃない。お前達に甘いんだ」
「……ん」
俯いて泣きそうな顔を見せまいとする意地っ張りな鈴香、桜、他の2人。
皆、俺にとってかけがえのない大事な人達だ。