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そこまで言って、立ち上がり、部屋に逃げようとしたが。


「竜一!?」

「竜兄!?」

「竜兄様!?」

「竜兄ちゃん!?」


眩暈を起こしてその場にしゃがみ込んでしまった。


「……大丈夫だ」

「ぜんっぜん大丈夫じゃないわよこの馬鹿!鈴香、氷枕と冷えピタお願い!洸、夕菜、布団取ってきて!」

「判った!」

「おう、夕菜行くぞ!」

「えぇ!」


3人がばたばたといなくなり、桜と二人きりにされる。


「あんた自分が救急車で運ばれて、まだ三日しか経ってないって判ってる?

そのうち内藤先生に絞め殺されるわよこの馬鹿」


畳の上に寝かされて、膝枕、という奴をされる。


「もういい、桜。こんな最低な人間に、優しくしなくてもいい」


起き上がろうとしたが。


「最低なのはあたしの方よ」

「さく」

「ごめん、竜一。あたしが臆病だった所為で、あんたをこんなに苦しめた」


桜の指が、俺の唇を抑えて塞ぐ。


「愛してるの。あたしも、あんたを、ずっとずっと愛してるの。

あんたに妹としてしか見られてないって思いこんだ後も、ずっと、あんただけを愛してた。

あたしね、最低なの。斎さんに事情説明されて、ここで暮らしてあんたを助けてくれって言われた時、嬉しかったの。

自分から逃げたのに、小父さんと小母さんが亡くなったのに、嬉しかったのよ。

ここに帰ってこられて、すごく、すごく、嬉しかったのよ。」


優しく囁かれる言葉。

これは夢なのだろうか。それとも。


「あんたが何か悩んでるのを知ってた。

でもそれが何かを聞くのが怖くて、逃げた。

このままずっと、あんたと、鈴香と、洸と、夕菜と暮らしていたかった。

五人の暮らしが、壊れるのが嫌だったの。」


あぁ、そうか。

お前も、俺と同じだったのか。


「竜一。まだ、あの時のプロポーズ、有効?」

「あぁ、もちろん」

「あたし、三人の子持ちになる予定だけど、それでもいい?」


な。

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