↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

俺の姉がうざい

作者: 焼月 豕
掲載日:2014/11/18

 ある冬の日の夜の事だ。

 ベッドの上で暖かい毛布に包まりながら、眠くなるまで本を読みながらのんびりしようと思っていた俺であったが、その平穏は長くは続かなかった。


「弟~!」


 ガラガラッ、という音と共に扉が開き、叫びながらずかずかと部屋に入ってくる闖入者。俺の平穏を乱すその存在の名は、姉。

 というか姉、うるさいぞ。今何時だと思ってやがる。


 姉は俺のベッドの前まで歩いてくると、開口一番こう言った。


「弟よ、頼みがあるのだよ。どうかお姉ちゃんのお願いを聞いておくれ」


 ベッドに寝そべる俺の前に座り、目線を合わせて頼みごとをしてくる姉。聞くだけ聞こうか。


「灯油が無くなった。詰めれ」


 姉の頼み事。それは灯油ストーブの燃料である灯油を缶に詰める事であった。


 我が家は東北の僻地にある陸の孤島。エアコンなどといった便利な物は存在しない。そして北国ゆえ、冬はとても寒い。今日は特に冷え込みが激しく、寒いというよりもむしろ痛いレベルである。窓の外は猛吹雪で、明日の朝も雪掻きが大変そうだ。

 さて、そんな我が家にとってストーブは生命線。灯油が切れたとあれば、すぐさま補充をしなければならないのであるが……


「はよ!はよっ!」


 毛布ごと俺を揺すって催促してくる姉。


 だ が こ と わ る 。


「なん……だと……?」


 姉の顔が絶望に染まる。

 だが考えてほしい。灯油を補充するためには部屋から、ひいてはこの毛布の中から出ないといけないという事である。

 何故よりによって、こんな寒い時にそんな事をしなければならないのか。せめて明日にしてほしい物である。


「なんて冷たい弟だ……お姉ちゃんは貴方をそんな風に育てた覚えはありませんよ」


 育てられた覚えもないです。


 俺に動く気が無いのを見てとったか、姉は俺の毛布を掴んでいた手を放すと立ち上がった。

 諦めたと思ったが、そうではないらしく。姉は俺の部屋に置いてあるストーブへと向かうと、そのスイッチボタンを押した。どうやら俺の部屋で暖を取るつもりらしい。


 だが、甘い。


「な、なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」


 驚き、のけぞる姉。

 その原因は、ストーブが鳴らす灯油切れのアラーム音。そう、俺の部屋のストーブもまた、とっくに灯油が尽きているのである。当たり前だ、俺が一体何の為に毛布に包まっていると思っているのだ。


「ふ、ふふふふふ……」


 その時、姉がギギギ……と音がしそうな、ぎこちない動きで俺のほうを振り返った。まるでゾンビか壊れかけのロボットである。

 嫌な予感がする。そしてその予感は、大抵当たる。


「かくなる上は……とつげきー!」


 姉が突撃してきた。

 俺の毛布を引っ張り、剥ぎ取る姉。やめろ、寒い。

 だが抵抗空しく、俺と毛布の間にできた隙間に、姉が素早く滑り込んできた。

 そして姉は、そのまま毛布を被りつつ俺に抱き付いてくる。


「うお~弟あったけええええええ」


 俺はけっこうな時間、毛布の中に居たために、俺の体はそれなりに暖かい。だが反対に、ストーブの消えた部屋に居た姉の体は冷え切っていた。

 つーか姉つめてえ。離れろ。


「いいや離さん」


 姉は両腕を俺の背中に回し、更に足を絡めてきた。


「うあ~あったまるぅぅぅぅ」


 よほど寒かったのか、俺をがっちりと抱きしめながら震える姉。なんか柔らかいのが当たってるが、それは極力気にしない事にする。

 つーか姉弟とはいえ布団の中にまで入ってくるな。狭いし。さっさと離れなさい。


「うっうっ、弟が暖かいのに冷たい……寒くて苦しんでいる姉を追い出そうなんて、なんて酷い弟なんだろう。およよよよ……弟はもっと姉に優しくするべきじゃないのかい」


 俺の胸に顔を埋めて、嘘泣きをする姉であった。

 こうなると、もはや俺が何を言おうと無意味である。

 俺は諦め、全身の力を抜いた。

 もういいや。暖かくなったら自分の部屋に帰れよ。


「いつもすまないねぇ……」


 いいってことよ。


「でもオフトゥンから出るのが辛いので、今日はお姉ちゃん、ここで寝ます」


 姉が突然そのような宣言をしてきた。やめろ。


「え~いいじゃん。久しぶりに添い寝しようぜぇ~。子守唄歌ってあげるからさぁ」


 いりません。


「ヒップホップ風に!」


 余計な事すんな。せめて百歩譲って普通に歌え。


 俺は抵抗するが、姉は一度言い出したら聞かない……というか、基本的に人の話を聞かない人間のため、結局は俺が折れる事になる。今回もそうであった。


 仕方ねえな。大人しくしてろよ。

 俺は部屋の電灯を消し、枕に頭を乗せて目を閉じる。

 姉はそんな俺の腕を枕にしていた。


「昔は逆だったのに、いつの間にかお姉ちゃんより大きくなっちゃってたんだねぇ……」


 姉がしみじみと言う。

 今更か。背を追い越したの何年前だと思ってやがる。

 それより、さっさと寝るぞ。


 俺は目を閉じ、姉の体温を感じながら、ゆっくりと眠りに落ち――





「YO!YO!チェケラ!」


 うるせえ、さっさと寝れ。

 それとヒップホップ風子守唄はやめろと言っている。

寒い日が続き、よく早い時間に眠くなります。

気分転換も兼ねて、即興で思いついた話を書いてみました。

姉のビジュアルとかその他細かい部分は読者の想像にお任せしたいと思い、あえて描写は最低限にしてあります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 私は弟に似たようなことをしたことがありますねぇ、、 姉の特権というやつです笑笑
[一言] ちぇけらwwww
[一言] 姉ってこういう生き物でしょ?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。