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異世界トリップしても俺TUEEEなんて夢のまた夢でした  作者: 棘田 清棘
異世界トリップしても平穏な時なんてありませんでした
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ただめんどくさい

「んで、俺に紹介したい奴って誰だよ?」


 氷上から逃げt――別れた俺達は次元が待たせてるという人物に会うために廊下を移動していた。


「あぁ、この学校にも2つの能力を持った人が居るのじゃよ。2つの能力の組み合わせや同時に二つの能力を使うためのコツとかあるかもしれんからの」


 次元は次元なりに俺がこの世界に連れてきてしまった責任を感じてるらしい。

 生活の面倒で半句、俺がこの世界で不自由しないように色々と面倒を見てくれた。

 今回も俺の能力を生かし、この世界で生きていきやすいようにとの行動だろう。


「まぁ、あやつは待たせてもいいじゃろう」


「おいおい、それは酷くねぇか?」


「別に酷くも何ともないわ。きっとあやつは待たせる。待たせないに関係なく寝てるじゃろう」


 そう言って次元が図書館と表示がある扉の前に止まる。


「ここにいるのか?」


「じゃな。大抵あやつは図書館で寝ておる」


『いつも寝てるとはひどいなぁ』


 突如脳内に直接声が響く。

 それは間延びしたやる気のない声だった。


「風の振動で儂らが来たことを知ったのじゃろう。あやつは風と念話の使い手じゃからな」


 そう言って次元が扉を開けるとそこには一人の女性が寝ていた。

 その女性は長い黒髪を広げ、机の上に突っ伏したように寝ていた。


「まったく。顔を上げて自分の口で喋ったらどうじゃ?」


『やだ。だるい』


 念話。

 俺がアニメなどの知識で知る能力ではテレパシーということになるのだろうか?

 直接頭に語りかける。

 使い道が戦闘方面では使えないので超能力の代表的な能力であってもあまり使用されているのを見ない能力であった。


「もしかしたら俺が頭に思い浮かべてることも聞こえてる?」


 テレパシーは大概脳内で会話してるのが一般的である。

 この念話という能力とテレパシーが一緒だとしたら俺が考えてることも聞こえてるのではないか?


『めんどい。雛ちゃんパス』


「まったく。おぬしのめんどくさがり屋は直した方が良いのじゃないか?」


 どうやら目の前の女性はめんどくさがり屋らしい。

 別に動かないのも次元の話を聞いている限りただ単にめんどくさいだけなのかもしれない。

 だとしたらどんだけめんどくさがり屋なのだろうか……


「仕方ないのぉ。こやつの念話操作の能力はCレベル。相手の考えてることや言いたいことなど分からん。Bになると相手が許可した内容、Aならば表層心理とかになるのじゃ」


 あくまでも目安じゃがのう。と次元は付け加えた。

 となると俺が考えてるように会話するのは無理なのだろう。

 俺の妄想が聞かれないのでちょっと安心したような、思った通りの能力じゃなくって残念なような複雑な気持であった。


「さて、能力の説明はこのぐらいでいいじゃろう。そろそろ自己紹介ぐらいせい」


 そうだった。

 まだ目の前の人物の名前すら知らないのだ。


『めんどい。雛よろしく』


「自己紹介ぐらいは自分でせい。こればかりは譲らんのじゃ」


『なら自己紹介もしないでいいや』


 なんだそりゃ。

 自分も結構めんどくさがり屋な気はするがこいつには勝てる気がしない。

 そして、先ほどの発言が頭にきたのか無言で虚空から銃のような物を取り出した。

 それなりに長い付き合いなのでそれが異世界のものだと理解できるようになった。

 近未来的な銃は科学技術が俺がいた世界や、こいつらの世界よりもかなり進んだ世界のものなのだろう。

 昔武器を片っ端から調べていたときにも銃について色々調べたが目の前の銃と一致するものはなかった。

 というより、俺らの世界より近未来を舞台にしたアニメに出てきそうだった。


「分かった。ちゃんと自分の口で自己紹介するので異世界の武器は下ろして! 雛ちゃんのコレクションは洒落にならない奴が多いんだから」


 目の前の女性は次元の能力や異世界の武器のおそろしさも知っているのだろう。

 先ほどのめんどくさそうな雰囲気はどこに行ったのか、慌てて顔を上げた。


 今まで机に突っ伏していたので顔を見ることができなかったがかなりの美人であった。

 長いアホ毛が特徴で、全体って気におっとりしたお姉さんといった印象を受けた


「さっさとせい」


 次元のドスの利いた声が響き渡った。

 アホ毛を揺らしながら眠たげながら自己紹介するためにこちらを見る。


「私は3年の永井ながい音夢里ねむり。風力操作と念話操作の能力をもってる」


「俺は2年の双神凪です。空気操作と水流操作を持ってます」


「凪君ね、これからよろしく。自己紹介も終わったし寝るね……」


 そう言うと再び机に突っ伏すように寝てしまった。


「まったく、まだ本題にも入ってないのに寝てるんじゃない!」


 脅されたのが堪えたのか、永井先輩が首だけをこちらに向ける。


『本題ってなんだっけ?』


 すでに口を動かすのすらめんどくさいのか念話で言葉を返してきた。


「言ったじゃろうが……。こやつに2つの能力の同時使用のコツを教えてやってくれ」


『まぁいいや。とりあえず凪君二つの能力を使ってみて』


 俺は右手の上で風を回転させ、竜巻を作るイメージを。左手に空気中の湿気を集め、球体を作るイメージをする。

 一発で2つの能力の仕様に成功するなんてやっぱり俺は天才かもしれない。

 俺のイメージ通りに風は右手の上で回転して、左手に……。


「くっそ、安定しねぇ!」


 球体を作ろうとしてるのに少しでもほかに意識を移すとすぐに重力に従って落ちそうになる。

 そして水に意識を持っていくと右手の竜巻が乱れ始めた。


『なるほどねぇ~。同時に使おうとすると制御にすべての意識を使うのね』


 永井先輩は右手を横に突き出し、人差し指を天井に向けると俺と同じように竜巻を発生させた。


『まぁ、なれちゃえば簡単だよ? 能力の同時制御』


 永井先輩は竜巻を安定させたまま念話をしてきた。

 竜巻は安定し、念話もいつも通りに聞こえている。

 つまりは二つの能力を使いながら両方とも安定していた。

 それも大してやる気がなさそうにしながら……。


『めんどくさいけど、雛ちゃんの頼みだから教えてあげる』


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