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日常×魔術  作者: 夜の桜
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二詠唱目 幼馴染み

まったり二話目です。

スカイブルーの腰まで伸ばした髪に、少し背が低いながらも、女性らしい体つきに白の魔術着を纏い、どこかほんわかした女子が見知った銀髪の青年を見つけ、声をかける。


「やっほ~♪咲夜も今回のが気になったの?」


「そんなところだ…美桜みおがいるってことは……」


咲夜が嫌な予感を感じながら、回りを見回そうとした時…


「ハッハー!そこにいるのは、ソロで有名な当麻咲夜じゃないかー!我がギルドに入る気になったかね?」


野太い豪快な明るい声が、右側から聞こえ、咲夜はため息をつきつつ、その方向に目を向けた。



そこにいたのは、大柄で身長が190センチほどあり、赤髪の短髪の男であった。



「生憎、【白麗はくれい】に入る気でここに来たわけじゃないですよ…マスターの都千魅仙造つちみせんぞうさん」


「それは残念!では、うちのギルドの姫、鳴神なるかみ美桜にでも会いに来たのかな?」


仙造は全然残念じゃない様子で、美桜に目を向ける。


「それも違います…というか、気付いてるでしょう?俺がここに来た理由…」


咲夜の言葉に冗談の通じないやつだと、ため息を漏らし、仙造は本題を口にする。


「この件に関わるなら、止めておけ!ソロのお前じゃ荷が重すぎる!ここは我がギルドに任せてもらおう!」


真剣な眼差し…そこには先程の冗談はなかった。


「そんなに危険ですか……じゃあ、おとなしくしてますかね…」


咲夜がその言葉を告げたことに、美桜が目を丸くし、仙造がほぅっと感心する。


…がそれは一瞬の事だった。


「と言うわけ無いでしょ!危険?今まで、ソロでやってる時点で常に隣り合わせだ!そして、今回の件はかなりでかくなる気がする!だから、お互い協力しましょうや!もちろん、報酬はそちらに譲りますよ!」


ニヤッと笑みを浮かべ、仙造に握手を求め、咲夜は右手を差し出した。


「はぁ…やっぱり、咲夜は咲夜か……昔からそうやってバカばっかり…」


呆れながらも美桜はどこか嬉しそうに呟く。


「ふむ…前にも数度、協力したが今回も退く気は無いわけだな……」


前にも同じことがあったのか、仙造は説得を諦めて、咲夜の右手を握り返した。


「いくら、鳴神の幼馴染みでも、仕事中はいちゃつくなよ!」


仙造の余計な一言に咲夜が吹き出し、


「ちょっ…別に今までだって、何もなかったじゃないですか!」


「そ…そうですよ~!べ…別に咲夜とは…ただの幼馴染み……ですよ…」


咲夜が普通に返したのに対し、美桜はちょっと顔を赤らめて、最後の方の言葉を発するときは小さく俯いていた。


「ハッハー!まぁ、ちょっとした冗談だ!」


仙造が豪快に笑い、その場の空気を崩したのだった。当麻咲夜と鳴神美桜が出会ったのは、十二年前…5歳の時であった。


同じ保育施設に預けられ、同じクラスになったのがきっかけである。






美桜がいじめられて、咲夜がいじめっこを殴ったのが、二人の出会い。


よくありがちなシチュエーション…それに幼い美桜は分かりやすく、それこそ漫画やドラマにあるように咲夜に恋をした。


その後、二人は一緒にいることが多くなった。


家が近くということもあり、家族絡みで仲良くなった。


しかし、一年後…二人が6歳の時に、咲夜は事情により引っ越した。


違う学校になり、それでも美桜は手紙を書いていたが、返事が来ることはなかった。


理由は咲夜が住所を転々としていたからなのだが、それを知らない美桜は咲夜とはもう、終わったんだと思っていた。


しかし、現代から一年前…二人は再会する。


魔術学校を卒業し、美桜がギルド【白麗】に入り、とある依頼をやっていたときに、そこに咲夜が現れた。


最初に出会ってから、十一年の月日が流れていたが、すぐにお互いの事が分かった。


そして、今に至る。






「ねぇ、咲夜…何でこの事件に手を出そうと思ったの?」


柿崎の死体が見つかった場所…椥ノなぎのもりを調べながら、美桜が横でぼーっとしている咲夜に聞く。


「ん?…そうだな〜……単純に好奇心!…と言いたいところだが、何か引っ掛かってんだよな……母さんに関係してる気がしてるから…ってのが、理由だな」


咲夜ははっきりしない曖昧な答えを返す。


「そっか…」


咲夜は生まれてすぐに、父親を失っている。

母親一人で咲夜を育てていたが、その母親は十年前から行方不明になっているのを、再会したときに聞いていた美桜は、咲夜の答えにそれだけを返した。


「おう!二人とも捗ってるか?いちゃつくなら、見えないところでやれよ!」


二人の後ろから、仙造が冗談混じりに話し掛ける。


「仙造さんの方はどうです?」


咲夜は仙造の冗談を無視して、尋ねる。


「柿崎は何かに追われていたみたいだなぁ!そして、魔術じゃない何かで攻撃されていた!」


仙造が目を細めて、真剣に告げる。


「魔術じゃない…何か?」


美桜が首をかしげる。


その仕草が可愛いと思いながら、咲夜が答える。


「超人的な力業か、全く未知の何かってことですね…」


「普通じゃ、あぁはできないな!」


仙造も同意する。


「これが人為的にせよ、未知生物にせよ、このままじゃ危険極まりないな…」


「そこは我々【白麗】が注意を促して、警戒させよう!」


「それはお任せします!俺はこれに関して、別方向から調べてみます」


「わたしはどうすればいいかな?」


仙造と咲夜が美桜を見る。


「美桜、借りていっていいですか?」


「仕事をしっかりこなせよ!」


咲夜の問いに仙造が親指を立てて、答える。


「仕事でつれていくだけなんだけど…」


「ちゃんとプラン立てて、エスコートするんだぞ!」


(だめだ…聞いちゃいない…)


咲夜はため息をつき、ぼーっとしている美桜の手をとり引っ張っていった。


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