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その次の日、乙女が歩いていると空からタンポポが降ってきました。見上げると、太陽がタンポポを両手に抱えていました。
『・・・太陽さん?!』
太陽はキラキラした笑顔で答えます。
『こんにちは、お嬢さん。タンポポを落しちゃったみたいですいません』
乙女は真っ赤な顔をして答えます。
『・・こ、こんにちは』
その瞬間、
『おっと・・・』
と、太陽がバランスを崩して乙女の上にタンポポが降り注ぎました。
『うわ~、すいません、お嬢さん。大丈夫ですか?』
慌てて太陽がタンポポを拾い始めます。
『あ、あの、そんなにタンポポを抱えてどうしたのですか?』
『妹と弟にプレゼントしようかと思って摘んでいたのです』
乙女も一緒にタンポポを拾い始めました。
『そうなんですか。こんなに可愛らしいお花ををたくさん貰えたら妹さんと弟さんはきっと喜びますよね』
そこで太陽は恥ずかしそうに顔を赤らめて言いました。
『本当はこの花で冠や首飾りや腕飾りを作ってあげたかったんですけど、僕は作った事がなくて・・』
そこで乙女はおずおずと申し出ました。
『あ、あの、私でよければ、作り方を教えますよ』
『良いのですか?』
と、太陽がぱっと顔を輝かせます。
『は、はい』
それから、太陽と乙女は一緒にタンポポの花で冠や首飾りや腕飾りを作りました。
『お嬢さん、助かりました。ありがとう』
太陽がお礼にタンポポの花冠を乙女の頭に乗せて言いました。
『これ良かったらもらって下さい。僕が作ったのであんまり上手ではないけれど』
乙女は花のように顔を綻ばせて笑います。
『ありがとうございます』
それからふと何かを思い出し
『良かったら、このお水をタンポポにかけてください。花が長持ちしますから』
と、言って小瓶に入った水を太陽に渡しました。
『えっ、いいんですか。ありがとう、お嬢さん』
そして、乙女に頬に触れるか触れないぐらいの感謝のキスをして飛んでいきました。