1-1 Lost Number 前
広大な国土面積、そこに住む人種も大らかで細かい事を気にしない豪胆な人物の多い国、アメリカ。
その国に存在する要人宅で、要人達が交流を深めつつ、腹の探りあいを繰り広げるパーティー。
普通とは隔絶した一つの世界が、今のアメリカに存在する名家の一つであるトリスティン家の別宅で開催されていた。
煌びやかな装飾品に豪華な調度品、自然の陽光さえ霞むほどに眩しい世界がそこには存在している。
光に反射しながらも上品さを失わない装飾品を身につけ、色とりどりの仕立てのよいドレスやスーツに身を包んだ人々で会場は溢れかえっている。
パーティーの主催者であるトリスティン家の娘で。ベルナ=トリスティンもその内の一人。
ワインの入った上品なグラスを片手で持ち、会場の隅で静かにその光景を見ていたとしても、主催者の一人なのだ。
派手な装飾品の付いていない赤のドレスは、見た目麗しい彼女によく似合っており、ツリ目気味でありながら形の整った細めの眉と青の瞳に、人口の光すら反射する金色の艶やかな長い髪。
背中が大きく開いたドレスに掛かる彼女の艶やかな髪から僅かに覗く肌は白く、くすみやシミなど一切見当たらない陶器のようにすら見えるほど滑らか。
胸元も異性が見ればだらしなく鼻の下を伸ばしても仕方が無いほどに隆起している。
しかして、それに逆らうように腰はくびれており、それだけで彼女のスタイルの良さがよくわかると言うものだが、秀麗なこの女性の魅力はそれだけでは留まる事を知らない。
手足は細過ぎる事はなく、さりとて太いわけでもない。
絶妙な肉付きを保った四肢は非常にしなやかでありながら、その長さも国柄なのか、東洋人と比べればその差は歴然。
彼女の魅力の細部まで見るのならば、同じく赤の手袋に覆われた指は細く長く、そしてしなやかなのは疑うべくも無い。
そんな美人と言い切っても差し支えない彼女の表情は、これ以上ないほどに詰まらなさそうな表情を浮かべている。
ツリ気味の筈の眉尻はやる気がない様に下がり、海を連想させる深い青の瞳には、茶番を見るような冷めた光が宿っている。
「どいつもこいつも……」
薄くルージュが引かれ、艶やかさを増した彼女の小さな唇から紡がれる声は、魅力を感じる声なのは間違いない。
しかし、その声に込められた感情と言葉は、呆れや失望、その他の負の感情が押し込められた声。
どうやって聞いたとしても、今彼女自身が見ている光景にいい感情を抱いていないのは明白である。
そんな彼女の詰まらなさそうな表情は、ふと変化を見せる。
やる気なさげに下がっていた眉尻をきりっと引き上げながらも、相手を威嚇しない程度に保つ。
海を連想とさせる青の瞳は少しばかり穏やかに、しかして理性を全面に押し出した理知的な光を宿した笑みの形。
赤く上品さを感じるカーペットが敷き詰められた会場の床の上に置いてある自らの足の片方を、軽く後方へ引きながら、グラスを持っていないしなやかな指でドレスを少し摘み上げ、軽く礼を目の前の相手に贈る。
「この様な姿で申し訳ありません。ロックベル様」
「あぁいえ、気にしないでください。私は招いて頂いた身ですから」
「お越しいただき光栄ですわ」
ニコリと宝石すらその陰に隠れてしまう煌びやかな笑みを浮かべる彼女の前に現れたのは、一人の男性。
高い身長に細身の体躯を黒の仕立てのよいスーツに身を包み、ゆったりと彼女の前に立っている。
流れるような金の髪に、ベルナよりも少し薄い青の瞳。
常に穏やかさを忘れない緩やかな眉と瞳が印象的でありながら、その輪郭はシャープさを忘れていない。
物腰も穏やかで、相手を威圧する事のない柔らかな雰囲気。
どれをとっても女性から見れば、一目で魅力的な男性と言わざるを得ない。
そんな男は、ミシェル=ロックベル。
トリスティン家のパーティーに招かれた要人の家の一人息子であり、ロックベル家の次期当主。
ロックベルの一人息子であるミシェルは、父親の元で仕事を学び、努力も忘れず、性格も穏やかでありながら芯の通った性格をしていると有名である。
それに加え、容姿も一級品であると若い世代の要人達の間……特に女性達の間では黄色い声が絶える事はない。
黄色い声の絶えないミシェルではあるが、現在はニコリと笑みを浮かべるベルナを前に、さっと頬を赤くしている。
無論、将来彼も要人達の仲間入りをする事が確定している人物である。
顔色を操るのは上に立つもの義務とでも言わんばかりにすぐさま表情を正す。
そして、ベルナの礼に応えるべく、自らもベルナに恭しく頭を下げる。
「私の事は気軽にミシェルとお呼びくださいと申し上げているのに……」
「優秀であり、次期ロックベル当主として恥じないと目されているロックベル様を気軽に呼ぶなど、多くの貴婦人方を敵に回してしまいますわ?」
「ベルナさんも随分優秀だと伺っておりますが? それでも駄目でしょうか」
「ふふっ、では、対等な立場となった暁には、是非」
「あ……は、はいっ」
ふわりと笑うベルナの表情に一瞬見惚れたのか、言葉を失うミシェルだが、次の瞬間その表情は嬉しげに笑みの形を作っていた。
何故だか舞い上がっている様子のミシェルだが、唐突に彼の表情と雰囲気は、あたふたとしたようなものへと変化を遂げる。
そんな彼の変化は一目瞭然で、さすがのベルナもこれには首を傾げるしかない。
くりっと小首を傾げた拍子に、ゆらりと揺れる艶のある金色の髪が、一層彼女を魅力的な存在へと押し上げる。
「あ、えと、もし宜しければ、このパーティーの間ご一緒しても?」
「それは……っ!」
強引ではないが、あからさまな誘いにベルナは言葉を続けようとするが、彼女の青い瞳はその時何かを捕らえた。
彼女の視界に移る物をベルナ自身が認識した瞬間、彼女のやる事は決まった。
一瞬彼女の瞳に少しの怒りと、勝気な光が浮かぶか、それもすぐさま隠される。
上手く表情を取り繕ったベルナの青い瞳が、改めてミシェルを捉える。
穏やかで理性的な光を宿す透き通った青の瞳に、ミシェルのあたふたとした雰囲気と態度は変わる事がない。
それどころか、魅力的な女性であるベルナを前に、チラチラと視線があちらこちらへと飛んでいる。
「申し訳ありません。私も主催者の内の一人、まだまだやる事がありますの」
「そ、そうですか……」
ベルナのハッキリとした断りの言葉に、ミシェルの雰囲気が落ち込んでいくのが目に見える。
ミシェルに対して黄色い声を上げ続ける各要人の娘達ならば、彼の子供のように落ち込んでみせる雰囲気に、思わずやられてしまう事は間違いない。
それほどまでに女性としての庇護欲と言うか、ミシェルの落ち込んだ姿は、そう言った感情を掻き立てられる姿なのだ。
しかし、ベルナにとってそれは特に魅力的な姿ではなかったのか、彼女の表情は全く変化せず、ふわりと笑みを浮かべるだけ。
「では、私はこれで」
少し打ちひしがれた様な雰囲気のミシェルに、恭しく一礼し、持っていたグラスを近くのテーブルへと音もなく置き、その場を立ち去る為に足を動かす。
その様は上品でありながらも、見る人が見れば、少しの苛立ちを感じる足取りに見えただろう。
本来の彼女を知る者ならば、それは何もおかしくないのだが、こう言った場でベルナが足取りに苛立ちを含める事など、今までに一度もなかった。
そういった意味では彼女をよく知る人物は、逆に驚くのかもしれない。
(アイツ……何やってるのよっ!)
床が赤く質のいいカーペットであった為に、足音が響く事はなかったが、床が大理石等のよく響く硬い材質であったならば、確実に大きな足音が響いている。
大きく揺れる長いスカートを見れば、それ位の事はすぐに理解できる。
つかつかと言う音がよく合うような足取りで向かう彼女の視線の先には、人込みに紛れてゆらりと足を動かしている黒のスーツを身に纏った男の背中があった。
名家の娘、それも次期当主とは思えないほどの雰囲気と有無を言わせない口調で目的の人物を捕まえ、パーティー会場の外へと通じる窓際で足を止める。
会場の白い壁に面しているバルコニーへと続く窓は、格子型の枠にガラスが張られている。
と、確かに窓としての特徴を持ち、その用途は確かに窓そのものなのだが、その大きさが既に窓として疑問を持たざるを得ないレベルの大きさを誇っている。
窓と言うより、曇りもないほどに磨かれたアクリル板で作成した門と言われた方がまだ納得できる。
門とさえ言えそうな大きさの窓を軽く押し、外開きの窓が口を開ける。大きさに反して軽い音を立てる窓は、例に漏れる事なく高価な品である事が理解できる。
開きっぱなしになった窓は、そのままベルナの身体をその口へと飲み込む。
窓を潜り、バルコニーに出たベルナの瞳に入るのは勿論のことバルコニーの光景であるが、そこもやはり別宅と言えど世界有数の名家の別宅。
窓の一つ一つを区切るようなバルコニーなどではなく、会場の壁に設置されている門と見紛うような窓を全てカバーするかのように這わせられたバルコニーの床。
大理石の様な硬く品を感じる材質の床が形成する空間は、勿論の事一般的な広さではない。
学校の廊下が二本分程入ってしまいそうなその空間は、もはや常識的な広さとは言えない。
横に長く広がるバルコニーの床には誰の足音も響かず、ベルナとその後ろに続く人物以外誰もいない事を知らせてくれている。
ベルナのヒールが立てる高い音とその後ろから付いてくる革靴の少し重い音。二つの足音だけが彼女達以外に誰もいないバルコニーに響き渡る。
バルコニーから見渡す空は、黒く染まる空だが、そこにちりばめられた無数の小さな光と、丸く大きく柔らかな光で夜の地表を照らす月が浮かんでいる。
一種幻想的な光景であり、煌びやかな会場から漏れる光と相まって、中世の貴族達の逢引にすら見えてもおかしくはない。
しかし、後ろから付いてくる重い足音へと振り返ったベルナの表情は、逢引などと言う甘い言葉が似合うような表情ではなかった。
元々ツリ気味だった瞳と眉は、如何にも怒っていると言う事をわかりやすくアピールする為につり上がっている。
上品なドレスを着ているにも拘らず、両手を腰に当て、ベルナが振り返った事によって目の前に存在する人物を叱りつけるように睨む。
「朝霧……アンタね、私の護衛なのにふらふらと……何で私の傍にいないの!」
叱りつけるように、ではなく、明らかに叱りつけている口調と言葉を、目の前にいるベルナの護衛らしい人物へと投げつける。
強い口調と眼差し、そして自らの感情を隠そうとしないその雰囲気。
正しくそれは、プライベートのベルナの姿であり、今の所は彼女の家族しか知らない姿の筈なのだ。
それを惜しげもなく晒しているのは、パーティー参加者が誰もいない事。参加者の中には、バルコニーに意識を向ける程の暇人はいない事。
そして何より、ベルナ自身が朝霧と呼ばれた護衛に心許している事が、プライベートの彼女を曝け出す要因だ。
理性的な言葉ではなく、納得がいかない事を納得いかないと子供の様に主張する彼女にため息を一つ送る人物は、誰であろう朝霧と呼ばれた護衛しかこの場にはいない。
「護衛でもずっと傍にいるのは息苦しいと当主から聞いてたんでな、これでも俺なりにベルナ嬢に気を遣ったんだが?」
叱りつけられたにも拘らず、気の抜けた声音と、全くかしこまってない口調でベルナに言葉を投げかける男。
短すぎず長すぎない少しクセのある黒髪、形の整った眉はその鋭い黒の瞳とよく合っている。
東洋系の顔立ちながらシャープな輪郭を維持している顔には、比較的高めの鼻が存在し、唇は薄く男性的な雰囲気。
背はベルナよりも少し高い程度、スーツを身に纏う体躯は細身ながら、不思議な事に弱々しさを全く感じない。
手足は長く、東洋人らしい背丈とは違い、少しばかりの違和感が付き纏う。
パーティーが開催される幾日か前に、ベルナの父親が何処からか連れてきた物怖じしない変わった護衛は、そこそこ容姿が整っている。
人種で言えば日本人という区分けらしい朝霧まりもと言う名の護衛は、ベルナの剣幕に怯んだ様子は全くない。
それどころか、軽く後頭部を掻いて見せるほどの余裕がある。
その際、インカムを付けている耳に触らないように左手を使う辺り、過剰な余裕を感じずにはいられない。
「うっ……そうだけど! そうだけど、そうじゃないって言うか……」
「あん?」
呆れたような声音で放たれたまりもの言葉に、先程までの勢いはどこへ行ったのかと思われても仕方ないほどに、ベルナの言葉は萎んでいく。
完全に勢いを削がれる形になった事を隠す気がないのか、ベルナの態度にもそれが顕著に現れている。
歯切れ悪く言葉が紡がれる唇は少し突き出され、ツリ気味の青い瞳は拗ねたようにまりもに視線を合わそうとしない。
キリッとした眉尻は垂れ下がり、眉根は軽く寄せられている。
腰に当てられていた筈の手は、いつの間にか両方共後ろに回されており、せわしなく両指を絡め合わせ、何かを誤魔化すような動き。
今は誰もバルコニーを歩いていないと言うのに、コツコツと響く音は、間違いなくベルナが発信源であり、長いスカートの下に隠された足の爪先で床を叩いているらしい。
「だ、だから……そのぅ」
「何だ?」
ごにょごにょと言い淀むベルナは、間違いなく美人なのだが、今に限って言えば、可憐という言葉がよく似合う。
そんなベルナを前にしても特に心を打った様子もなく、軽く問い詰めるような口調で言葉を投げかけるまりも。
心を動かす事を知らないとさえ思える彼の態度に、結局ベルナが折れたのか、あー! と一つ大きめの声を上げて、キッとまりもを睨みつける。
「だから! アンタは他の護衛とは違うんだってば! 傍に居ても息苦しくないっていうか、むしろ居てくれた方が安心するっていうか!」
「へぇ?」
自棄糞、と言う言葉が適当な様子で、ベルナは早口に捲し立てる。
無論その間も、カミングアウトさせられた事が恥ずかしいのか、視線はまりもに合わせようとしないし、後ろ手に組まれていた指はいつの間にか長いスカートの生地を何かに耐えるようにキュッと握り締められている。
言葉を発するたびに頬は紅潮し、気のない様な返事をまりもが返した時には、これ以上ない程に熟れた顔色。
まりもがにやにやと笑みを浮かべているのはベルナにも理解出来ているからこそ、ベルナの視線はまりもに向けられる事はない。
まりもに視線を向ける事なく、ベルナは最後の締めくくりの言葉を、か細い声で、しかし、しっかり聞かせるつもりで言い切る。
「だから……アンタは私の護衛なんだから、ちゃんと、私の傍に居なさいよ……」
「へいへい」
か細く歯切れの悪いベルナの言葉がしっかりと聞こえていたのか、にやにやと笑みを浮かべながらも、まりもはベルナの言葉にしっかりと答えてみせる。
しかし、なけなしの勇気を振り絞ったように見えるベルナには、まりもの態度が軽すぎるように見えたのか、先程までの雰囲気を誤魔化すように食ってかかる。
「だ、大体! アンタはお父様が連れてきた私の護衛なんだからね!? その辺り分かってる!?」
右手を腰に当て、少し上体を屈ませて下から拗ねたように見上げ、左手の人差し指を下から突き上げるようにして指差す彼女は、名家の一人娘である。
まるで学校の委員長が問題児を叱るような体勢のベルナに対し、まりもは軽く肩を竦め、呆れたように両手を掲げてみせる。
「あぁ、知ってる知ってる。ベルナ嬢えらーい、ベルナ嬢さいこー」
「むーっ! 絶対分かってないでしょ! 間接的に見て私は雇い主なのよ!」
「仕事貰えてとっても幸せですー」
にやにやと笑みを浮かべてベルナをからかうような口調に変わりがないまりもに対し、ベルナはますますヒートアップしていく。
むきーっとでも聞こえてきそうなベルナの様子に、まりもは変わらずにやにやと笑みを浮かべ、からかうのをやめない。
「もうっ! もうっ! せっかく恥ずかしいの我慢したのに……」
「あ?」
「いいわよもう……そろそろ戻らないといけないしね。今度はちゃんと傍にいなさいよね?」
「あいよ」
ヒートアップしていた筈が、しゅるしゅるとしぼんでいき、最終的に大きなため息でもって、ベルナはその場を締める。
最後の念押しとばかりに、まりもを見据えて刺したベルナの釘に、やはり軽く答えるまりも。
本当にわかっているのかしら……と小さく呟くベルナだが、結局はそこを問い詰める事なく、ヒールの音を響かせ、まりもの隣をするりと抜けて会場へと足を向ける。
その時には既に凛と澄ました表情に戻っている辺り、伊達に腹の探り合いの場を今まで見てきた訳ではない。
意識は既にパーティーでの挨拶回りの続きに向いており、後ろを振り返らないベルナには知りようもない事だが、まりもの瞳は鋭く細められ、会場の中を睨み据えている。
その際に、ひくりと動く鼻に合わせて、その視線はさらに鋭いものになっていく。
「チッ」
ひくり、ひくりと動かす鼻が何かを察したのか、まりもの口は小さく舌打ちを響かせる。
「品がないわよ、会場に入ったら自重してよね」
「へいへい」
ベルナの咎めるような声に、まりもは軽く答えてみせるが、その声の雰囲気とは裏腹に、鋭い瞳はますますその鋭さを増していく。
何を見ている訳でもないが、鋭さを増し、刺すような瞳とその雰囲気は、正しく護衛としての朝霧まりもの姿なのだ。
凛と表情を引き締め、パーティーの参加者達を目の前にする時には、柔らかく笑みすら浮かべてみせる。
多数の人で埋め尽くされた会場内を踊る様に回る。
その中で見せる表情といえば、その二種類しかない。
流石に有数の名家であるトリスティン家の一人娘。覚える気はなくとも、家柄がそれを許してくれないのか、ポーカーフェイスはお手の物だ。
質が悪いのは、ベルナと言う女性はポーカーフェイスの表情すら美しいという事だろうか。
凛とした表情は思わず話しかけるのを躊躇するような、はっとした美しさがあり、ふわりと浮かべる笑みは花の蜜にも似た抗えない魅力がある。
たった二種類の表情と数多くの雰囲気に言葉を使いこなし、挨拶と共に掛かる誘いを失礼にならないよう断るベルナは、間違いなく優秀な人物。
そして勿論の事だが、これからも伸びしろのある若い女性に付く護衛も、これまた普通ではない。
今現在に限って、ベルナ付きの護衛である朝霧まりも。
水を得た魚の用にパーティー会場を回ってみせるベルナの様子を逐一観察し、感心したような表情を浮かべている。
しかし、そうしていても自らの仕事を忘れず、しっかりとベルナの後ろを着いて回る。
今現在の状況では、まりもの服装は浮く事なく会場に溶け込んでおり、黒いスーツに革靴と言う出で立ち。
護衛である事を主張するパーツは、右耳につけたインカムと、スーツの胸元に付けられた盾型のピンバッジのみ。
銀色に光る盾型のピンバッジは、正式に登録された護衛であり、今の世界にこれを付けていない護衛などいない。
そして、正式な護衛ほど、有無を言わさない物々しい雰囲気を醸し出しているものだが、まりもの雰囲気は完全に場に溶け込んでいる。
正確に言い表すならば、ベルナの後ろをしっかりと着いて回っているにも拘らず、誰もがその存在に気が付こうとしない。と言った方が正確かもしれない。
護衛されているはずのベルナですら、時折不安そうに後ろを振り返る時がある程に、気配や存在というものを感じさせない。
それを証明するように、ベルナが挨拶回りに回った人物は、ベルナとの挨拶の最中、視線を一度たりともまりもの方へ向ける事はない。
すれ違って初めてその存在を認識したような表情をするのだ。
「今まで不思議だったけど、アンタ結構優秀だったのね?」
「当主が態々連れてきたんだ。優秀じゃなかったら意味がねぇだろ」
存在の希薄さが心配になったのか、後ろを振り向いて言葉のやり取りも加えて、ベルナはまりもの存在を確認する。
そこまでしても、ベルナは違和感を感じている様に小さく首を傾げている。
「違和感……っていうか、私はアンタが今ここにいるのかも自信が持てなくなってるわよ」
視覚は認識してるんだけど、意識がアンタを捉えてないって言うか……と不思議そうに首を捻りながら呟くベルナ。
そんな彼女に、まりもは瞳を細め、へぇ……と小さく関心の声を漏らす。
「ベルナ嬢は才能の塊らしいな」
「はぁ? いきなり何?」
「今俺の存在が希薄なカラクリ、今ベルナ嬢はその核心に近い所を指摘した。もう一歩踏み込めばその技能を盗む事も可能だろうさ」
両手をスーツのズボンに存在しているポケットに突っ込み、軽く肩を竦め、軽く息を吐くようにして吐き出される言葉。
しかして、それは呆れではなく感心。
純粋な感心から瞳を細めるまりもは、護衛としての自覚がないとすら思える体勢。
しかし、その事を誰かが指摘する事もなければ、それに瞳を向ける者もいない。
ある種異様とすら思える光景を前に、ベルナは少し身を震わせるが、そんな彼女の後ろより掛かる声。
「ベルナ」
低く、男性である事を疑いようもない重厚な声の主。
「お父様! 挨拶回りはどうしたのですか?」
冷静で重厚な声に、ベルナは驚いたような声を上げるが、お父様と呼ぶ人物へ振り返るその姿は優雅そのもの。
くるりと、そしてふわりとダンスを踊る様に振り返るその姿は、どこから見ても令嬢である事を疑いようもない動き。
掛けられた声へ振り返ったベルナの瞳に映る人物は、ベルナの様な透き通った金色ではなく、少しくすんだ金色のクセのある短めの髪。
彫りの深い顔の造形をしながらも、その瞳は鋭く強い意思に溢れた若々しい青。
高く筋の通ったしっかりと形を保っている鼻に、口元は引き締まり、同時に蓄えられた髭が、元々その人物に備わる威厳を更に高く引き上げている。
高身長で体格の良い身体はだらし無い所など一つもなく、その立派な体躯を覆うスーツは飾り気のない黒。
しかし、敢えて奇をてらわないその姿が、堅実さと豪胆な気質を匂わせる。
そんな男性の隣に立つのは女性であり、艶のある栗色の長く美しい髪。
流れるような栗色の髪を裏切る事のない栗色の眉は、優しさを感じさせるように尻下がり。
小さく深い青の瞳は、瞳の色も相まって落ち着きを感じさせる。
しかして鼻はすっと筋が通り、高い。
全体的に彫りは浅くどちらかというと可愛げのある顔立ちの女性は、隣の男性に比べるとかなり身長は低い。
全体的な身体のラインはベルナによく似ており、出る所は大きく出ており、出なくても良い所はしっかりと引き締まっている。
魅惑と色香を感じるその肢体は、落ち着いた紫色のドレスに包まれている。
大物を感じさせる雰囲気を放ち、引き締まった表情の男性は、雰囲気を裏切る事のない大物。
ベルナ=トリスティンの父親である、ダイアン=トリスティン。
優しげな雰囲気を放ち、ふわりと笑みを浮かべながらも、その表情が何処か色を感じる女性。
ベルナ=トリスティンの母親である、マリアナ=トリスティン。
ベルナとまりもの目の前にいる二人こそ、このパーティーの真の主催者であり、真の大物。
ベルナ=トリスティンの両親である。
「もう済ませてきた所だ。そこで丁度ベルナが目に入ってな」
「この人ったら、ベルナがちゃんと振る舞えているかが心配で仕方なかったのよ」
突き出された右腕に添えるようにして自らの手を置くマリアナが、クスクスと笑いながら、硬く重い声を出すダイアンの心中を隠すつもりがない様にぶちまける。
早々に心中を暴露されたダイアンは、声を上げたい衝動を抱えながらも、むっつりと押し黙っている。
「ご心配なく、私も回ってきました」
相変わらず仲の良い自らの両親を瞳に入れながらも、ベルナはふわりと笑みを浮かべて答えてみせる。
マリアナと言う女性は、時折こうしてダイアンをからかう節が見受けられるが、その程度ではダイアンの纏う威厳や大物の雰囲気を崩しきる事が出来ない。
どの様な大物、堅物であろうと、娘や己の息子には甘い。
そういった事は珍しくないのだ。
まして、ダイアン=トリスティンと言う人物は、中々態度には表さないが、娘の事をとても大事にしていると、トリスティン家とつながりのある家では有名。
その事をよく理解しているのか、言葉少なで少々冷たい雰囲気のダイアンを見る瞳は穏やかな光を宿している。
「む? 朝霧くんも居たのだな……どうかね、私の娘が迷惑をかけていないだろうか?」
「お、お父様っ!」
ベルナの後ろで言葉を発しないまま、静かに視線だけを動かし、辺りを見回しているまりもに、ダイアンから声が掛かる。
ようやくまりもの存在に気がついたまりもは、軽く頭を下げ、口を開こうとするが、それを遮ったのは誰であろうベルナであり、まりもの角度からは見えないが、彼女は頬を少しばか赤く染め、小さく叫ぶ。
うっすらと頬を赤らめ、慌てた様子でダイアンの発言を咎めるベルナの様子に、ダイアンは軽く目を見開く。
そのすぐ後にうっすらと笑みを浮かべて、まりもとベルナを見比べる。
「問題ねぇよ、ご当主。ベルナ嬢はおとなしくパーティーを回ってる。優等生過ぎて護衛の俺が退屈なくらいだ」
「えっと……そ、そうかしら?」
「あぁ、俺はただの護衛だが、だからこそ多くの要人を見てる。そいつらと比べても遜色ない程に振る舞えていた」
「あ、ありがとう……えっと、褒めてくれてる、のよね?」
「当たり前だろ」
「そっか……ふふっ」
つらつらとベルナがしてきた振る舞いを並べながらも、結果的にベルナを認めているまりもの言葉。
飾らないその言葉。事実のみを並べているとしか思えない程に淡々とした口調に、ベルナは嬉しそうに頬を緩める。
まりもに視線を送りながら笑みを浮かべるベルナ。
対して、ベルナに視線を合わせず、鋭い瞳で辺りを探るように視線を動かすまりも。
二人のやり取りを見ながら、ダイアンとマリアナは顔を見合わせ、互いに驚いたような表情を浮かべた後、意外な事に二人してからかうような雰囲気を感じる笑みを浮かべてみせる。
ベルナ=トリスティンと言う女性は、今の今まで浮いた話など一つもなく、ひたすら当主としての知識、振る舞い、態度。
それらを身に付ける事を第一に動いていた。
そんな彼女が、こういった場で表情を崩すことなど一度もなく、振る舞いを間違える事もまた、一度もなかった。
親である二人にとって、それは嬉しい事でありながらも、心配の種として心の内にあったのか、見合いやそう言った場をセットしようと画策したのは一度や二度ではなかった。
このパーティーもそう言った側面がないとは言えないのだろう。
がやがやと上品な会話や、探り合う会話が密やかに飛び交う中、ベルナとまりものやり取りを見ていたダイアンとマリアナ。
二人の表情はからかうような雰囲気を感じる表情ながらも、その瞳は純粋に喜びと確信の色を帯びていた。
「なるほどな……私は一向に構わん」
「えぇ、あなた。私もいいと思います」
唐突に頷き、笑みを浮かべてみせる両親に、照れていたような表情を消し、凛とした表情を再浮上させるベルナ。
表情こそ凛とした、公の場で浮かべるいつものベルナの表情ではあるが、その瞳はしっかりと疑問の色を帯びている。
「所でベルナ、今欲しいものはあるか?」
しかし、ベルナの疑問の瞳に答えるつもりはないのか、ダイアンは要領を得ない質問をその引き締まった口元から放つ。
マリアナはダイアンのその言葉に、何がおかしいのかクスクスと笑みを浮かべている。
何かある。言外とは言えその事が容易に想像がつく両親の態度。
しかし、それに取り合うのは無駄だと理解しているのか、敢えてその態度に流されているのか、それは予想がつかないが、ベルナは問われた質問の返答を考えるように視線を宙へと投げる。
ふわりふわりと宙を泳ぐ視線が、チラリと自らの後ろを見るようにして移動し、その瞬間、さぁっと頬が赤く色づく。
「えっと……あ、朝霧が欲しいわ!」
聞かせるつもりだったのか、それとも気が入りすぎて大きめの声が出てしまったのか、どちらにせよベルナの小さな口元から飛び出た言葉は、明らかに後ろにいるまりもに聞こえる声量。
聞こえていない筈がないまりもは、相変わらずその視線を固定せず、辺りを探るように視線を動かしている。
その様子に、ベルナは人知れず頬をふくらませ、頑張ったのに……と小さく不満が漏れている。
「専属護衛として、という事か?」
ベルナが後ろへ視線を送り、小さく不満を漏らす姿をじっと見据え、いつもと変わらぬ重い声でダイアンはベルナの言葉の意図を表す。
その声に反応して視線をダイアンへ戻したベルナだが、数瞬早ければ、ベルナにも見えていたかもしれない。
まりもへ向けるベルナの視線と態度に、ダイアンの口元がひくりと何かに耐えるように動いていたという事実が。
「え? ……え、えぇ! 勿論! 専属護衛として! に決まっています」
頬を赤く染め、青の瞳がせわしなくあちこちを泳ぐベルナの口から出てきたのは、果たしてダイアンの言葉を肯定する返答。
明らかに慌てた様子の感じられる言葉であったが、ダイアンは特に何かを感じた様子も感じさせず、重く一つ頷いてみせる。
首肯と共に、うむ……と重い返事を一つ。
マリアナに手が置かれていない左手で自らの口元を隠し、考えるような素振りを見せるダイアン。
ベルナに透視能力でもあれば、何の違和感もなく口元に添えられた左手の奥に、確かに笑みの形を刻んだダイアンの口元が見えただろう。
「うーむ、それが可能ならば、私としても安心なのだがな……」
「可能ではないのですか?」
「彼はああ見えて日本の学生でな、残るわけにはいかんのだ」
暗にまりもをベルナの専属護衛には出来ないと言うダイアンの言葉に、ベルナは不思議そうに首を傾げる。
ダイアンが続けて発した学生と言う言葉に、ますますベルナの疑問は解けない。
「大学、ですか?」
「高校……high schoolだ」
「高校? それにしては年齢が……」
ベルナは護衛として提出されたまりもの経歴書の内容を思い出し、更に疑問を積み重ねていく。
ダイアンから聞くまりもの身分と、経歴書に記載されていた情報の際に頭を捻らせているベルナの様子に、ダイアンは口元を覆っていた左手を外す。
そこには安易に軽い言葉を口にしない威厳溢れたいつものダイアンの表情があった。
「朝霧君の仕事が『護衛』なのだ。何故なのかはそれでわかるだろう?」
「あぁ、成程……そういう事ですか」
護衛と言う言葉を態々強調したようなダイアンの言葉に、ベルナは納得の表情と共に一つ頷いてみせる。
そして、ほっそりと綺麗な指を、綺麗なラインを描くシャープな顎に添え、考え込むようなポーズ。
留学と編入……今からでも間に合うかしら……ぽつりと呟くベルナの様子に、マリアナの表情は更に嬉しそうに、ダイアンも表情に出てはいないが柔らかな雰囲気を纏っているように見える。
密やかな呟きと共に思考を止めないベルナの耳に、あからさまとさえ言える舌打ちの音が聞こえる。
この場に全くそぐわない品のない音。
そんな事を躊躇なくやってのける人物といえば、一人しかいない。
ベルナとしてもそれは既に予想済みなのか、咎めるような感情を乗せた視線を自らの後方へ送る。
「チッ、遅かったか……」
ベルナの視線が向かった先に存在する人物、朝霧まりもは、しかしてベルナの方向を向いておらず、その視線はパーティー会場の中央付近へ向けられていた。
鋭く細められる瞳には、目立った感情など欠片も感じられない。
ただあるがまま、起こった事態を受け止め、淡々と行動に移す。冷然とさえ思えるその意思だけが存在していた。
「な、何よ? 何があったの?」
「それに答えてる暇はねぇ、当主に夫人、ベルナ嬢、ゆっくりと入口付近へ移動しろ。出来るだけ自然に、挨拶回りの続きをするようにな」
「だから、何があったのって……」
「いいから、早くしろ。ここはマズい」
すんっと鼻を鳴らす音をさせ、一点を刺し殺すようにして睨みつけるまりもの声音には、有無を言わさぬ圧力と迫力が込められている。
誰の意見も聞かない。自らの言葉に逆らう事も許さない。
確固としたその意思だけが、揺らめくことなく存在していた。
只事ではない。その事だけはハッキリとわかるのだが、まりもの雰囲気や気配は、先程までのものと変わりがなく、慌てた様子もない。
それが今必要な雰囲気であり、振る舞いなのだと気がつくのに、ダイアンを含めたトリスティン一家には一秒もいらなかった。
気が付いたならば後は簡単だ。
ベルナとマリアナはふわりと笑みを浮かべ、ダイアンは屹然とした表情のまま、会場を回るように入口へと近づいていく。
当然、会場に存在する人物達への会釈や口上も忘れてはいない。
まりもはただ悠然とそして希薄なままの存在感で、三人の後ろについていくのみ。
入口付近まで来た時に、まりもが睨んでいた方向へ、ベルナがチラリと視線を送った……いや、送ってしまったのは好奇心なのだろう。
まりもの見ていたものが知りたい。まりもが浮かべる仕事の顔で見ていたものが見たい。
そんな可愛らしい動機なのかもしれないが、それによってベルナは見てしまう。
パーティー会場の中央で、柔らかく笑みを浮かべ、甘いフェイスで貴婦人や家々の当主達に囲まれる、黒髪黒目の美男子。
まりもとは対照的な、艶やかでさらりと流れるような黒髪。目尻の少し下がった優しげな雰囲気のする黒い瞳。
高い身長に細身の体躯。スラリと長い手足。それらの肉体は漆黒のスーツに覆われている。
そんな普通とは一線を画する美青年。
普通の女性ならば一目で虜になってしまいそうな魅力的な男性、そんな彼が明らかにこちらへと視線を向けている。
――目があった。
「チッ、クソ、バレた」
思わずと言った感じで毒づくまりもの言葉に、ベルナの口は質問の言葉を紡ぎかけるが、それは無情にも遮られる。
――パンッ
あまりにも軽く、一種現実離れした音と、大きな破砕音。
赤い絨毯の上に上がる一つの赤。飛び散る礫。独特の匂いに高級な起毛が焦げる一度は嗅いだ事のある焼却の臭い。
鼓膜を叩く音は大きく、現実感がない。
音と共に叩きつけられる衝撃はテーブルを、その上にある料理を、品のある豪華な調度品を吹き飛ばす。
参加者と思わしきドレスやスーツを着た人物が、何人も何人も宙を舞う。
天井から吊るされた煌びやかなシャンデリアがぐらりぐらりと揺れ、ドレスのスカートやスーツの裾も、激しくはためき、その光景が現実の物だとベルナに、会場の全員に教えてくれている。
にも拘らず、視界に映る光景は衝撃的で、現実感がない。
ベルナの視線が移す光景は、正しく夢とさえ思えるような光景で――その夢は悪夢だった。
先程ベルナに対して柔らかく、そして初々しく挨拶をしてきたミシェル=ロックベル。
流れるような金色の髪を持った美少年が、会場の中央で柔らかく笑みを浮かべていた美青年の前に横たわっていた。
そして美青年は変わらず笑みを浮かべている。
綺麗な笑み。一度見れば引き込まれるような綺麗な笑み。秀麗を極めすぎて、それはどこか薄ら寒い。
力なく横たわるミシェルの身体の下からは、絨毯の赤とはまた違った鮮明な赤が広がっていく。
秀麗で魅力的で薄ら寒い笑顔を浮かべる美青年の瞳は、確かにベルナの方を……いや、正確にはその近くにいるまりもに向けられている。
右手には身体の線が細く見える美青年には全く似合わないと思われる鉄色の塊が握られている。
薄く、そして細い煙を鉄色の端から立ち上らせながらも、それには全く興味を示さないと言う様に、青年は笑みを浮かべたまま鉄色が存在しない白く綺麗な手を懐に差し込む。
そして取り出したのは、紫と黒が入り混じり、顔全てを覆うような趣味が悪い仮面。
躊躇なく取り出した仮面を自らの顔へと装着した所で、楽しそうに、そしてこれ以上ない程に嬉しそうに、清涼感のある声で開幕の口上を紡ぐ。
「名家のご当主にご夫人。そして紳士淑女の皆々様、ご機嫌麗しゅう。そして、誠に残念ではありますが、さようなら」
踊る様に、歌う様に、穏やかに告げられたその言葉は、開幕の口上でありながら、終幕のベルにさえ聞こえる。
仮面から覗く綺麗な黒の瞳は、未だにまりもへと向けられ、仮面の男とは対照的なまでに荒々しく鋭い瞳は、確かに仮面の男の視線と交わり、睨みつけていた。
どうも、あっくすぼんばーです。
実はまだここまでしか書いてません。
ここから先書いちゃうと、何だか長くなりそうだったので、切っちゃいました(ぇ
1-2はまだ一文字も書いてません(ぇ
どうする気だ、自分……続きはちゃんと浮かんでいるので、遠くない……かもしれません。
ではでは、これからもよろしくお願いします!
あっくすぼんばーでした。