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とある騎士団下っ端の華麗なる日常の物語(笑)

 脇役のラドリア=メイッシュの日常&視点の番外編です。




 オレの名前はラドリア=メイッシュ。

 魔法使いの一族の中で魔法使いの素質がなかったオレは、周りから馬鹿にされている。

 貴族はもちろん平民出の奴等からも虐めっていうには幼稚な嫌がらせを受けたことも少なくなかった。

 主に他隊で、しかも下っ端同然の奴等ばっかりだけど。

 まぁ、オレも一応は貴族だし痕が残るような暴行は受けたことがない。

 へらへらへら。笑っていればこの罵倒も終わる。

 あー、そしたら訓練に行かないと。もうすぐ火竜隊の訓練の時間だ。

 それにしても、諜報を主に行っている雷竜隊の罵倒はねちっこい。

 皇帝陛下を守っている水竜隊は我関せずだけど皆性格が悪そうだし。


「聞いているんですかっ!?」


 キーキーと喚いているのは、兄その一とその二を敵視している……どっかの誰か。


「えっーと、何の話でしたっけ?」


 本当は聞こえていた。

 彼いわく、オレはメイッシュ家の落ちこぼれだとか、兄たちが可哀想だとか。

 そんなこと言われなくてもわかってる。


「っていうかそろそろ訓練の時間なんでもういいですか?」

「訓練……? っ、さっさと行けばいいでしょう!」


 いやー、引き留めたのはアンタだろーっての。

 平民平民と貶してるくせにヴィシュアたいちょーを怖がってて、陰口しか言わない小心者のくせに。


「あ、ヴィシュアたいちょー」

「ヒ! ヒィイイ!」


 いい加減にしてもらわないと困るので、最も効果的な嘘を吐く。

 と、奴は涙目で走っていった。その後ろ姿を嘲笑う。

 ……まあ、端から見たらまたへらへらしてるだけに見えるんだろうけど。

 そんなことをしていたら、背後から視線を感じた。


「うちの隊の者が迷惑を掛けたようだな」


 振り返るとそこには雷竜隊の隊長が立っていた。

 相変わらずの威圧感はさすがというか、直情型で、戦闘では力で押し切るタイプの火竜隊の奴等とは違って裏がありそうで嫌だ。


「雷竜隊のレゴル隊長様じゃないですか。どーも」

「すまないな」


 全く悪いと思っていなそうだ、というべきか……ヴィシュアたいちょーとは別の意味で怖い。


「いや、別に……」

「あれには厳しく言い聞かせておく」


 思わず「御愁傷様」と言いたくなったオレ、多分間違っていない。


「はぁ」

「本当に悪いな。雷竜隊は貴族が多いからプライドが高過ぎて私にも扱いにくい。あー、さあ行くといい。火竜隊の隊長が鬼のような形相で訓練場に向かって歩いていたぞ」


 本音が聞こえた気がする。


「あーっと、じゃあ失礼します」


 仮にも騎士団の一部隊長を任されるくらいだし悪い人じゃないんだろう……腹は黒そうだけど。

 そんなことを考えつつ訓練場に向かう。


「ねえちょっと、ヴィシュア=バイルシュミットを呼んでくれないかしら」


 ──不意に、呼び止められた。


 危ない香りのする美女。こう、なんつーか、鞭とか似合いそう!


「はっ? ヴィシュア隊長に客……しかも超美女……ウワァアアッこれは夢? 幻覚っ? オレ働きすぎ!?」

「フェレシスが呼んでるって伝えてくれればわかるはずよ、よろしくね?」


 よろしく、と言いつつもその言葉に拒否権はなかった。

 なんか胸がドキドキする……?

 あの笑顔で罵られたら……って。


「…………ちょっと待てオレ!!!」


 いやいやいや違う。

 断じて女王様っぽくてドSっぽいところにトキメキを感じたわけじゃない。はず。

 オレはマゾじゃない。オレはマゾじゃない。オレはマゾじゃない。オレはマゾじゃない。マゾじゃない。マゾじゃない……マゾ、なのか?

 もしかして罵倒されてへらへらしていられるのはオレがマゾだから!?


「ウワァアアァヴィシュアたいちょー!」


 この後オレは自主的に地獄の訓練をこなした。

 その時のオレを見た奴等からの嫌がらせは減ったが何故か、「あいつマゾなんじゃね?」疑惑が浮上した。

 話が進められず番外編に手を出しました……。

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