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逃亡人生  作者: クク
第一章 “呪われた姫君と愚かな賢者”
14/18

逃げ出した真夜中


 人口の大半が拠点を構える迷宮都市の東区。すでにほとんどの灯りが消えた静かな深夜の通りを、ヒタキとヴェルマは若干の気まずさを覚えながらとぼとぼと歩く。

 

 二人が拠点とする「憩い亭」が店を構える西区とは真逆の東区に来た目的は、リョウ・アカツキを尋ねるためだった。


「……ヒタキ」


 教会にメリルを預けてから今の今まで続いていた気まずい沈黙を破ったのは、ヴェルマのわざとらしいほど平坦なそんな呼びかけだった。

 

「先ずはリョウ・アカツキに、今日あの子に起こったことを全て話し、すぐにあの子の身柄を保護させる。それでここ数日の騒動は一段落、私達はこの件から一切合切身を引くことができる。それが終わったら、すぐに憩い亭に帰って一眠りしよう。そうだな、それから店長にあの代わり映えのしない朝食を出してもらうのもいい」


 前を向いたまま淡々と続け、ヴェルマは「その後だ」と歩みを止める。

 

「その後――先ほどの、異端審問についての話をしよう。今の疲れた状態であれこれ考えても、まともな案が浮かぶはずがない。何より、情報が不足しすぎている。店長ならおそらく何か知っているだろう。とにかく明日の朝、情報を集めることができるようになってから万全の状態で動けるように、先ずは休息が必要だ。……なに、どうにかなるだろう。いや、どうにかする。私は認めないぞ。絶対に認めない。教会だか七法だか知らないが、お前を死なせてたまるか」


 拳を握りしめ、歯を軋ませるヴェルマ。普段は常に冷たい怜悧な光を宿している彼女の瞳は、怒りというよりかはむしろ、悲痛な色に染まっていた。


 初めて見るそんな彼女の様子に、ヒタキは少し驚く。

 

「ヴェルさん、もしかして俺のこと心配してくれてるのか?」


「当然だ! お前は……お前と私は、友達なのだろう? もう、こんなこと……とうの昔に諦めていたんだ。諦めて、いたんだよ。だからお前を、私の友を、たかが神如きの都合で、殺させてたまるか」


「…………」


 何を諦めていたのかなんて、ヒタキは知らない。なんでヴェルマが、あの傲岸不遜なヴェルマが、ここまで泣きそうになっているのかなんてこと、ヒタキには分かりようがない。だけど、真剣に自分を救おうとしてくれていることだけは、ヒタキにもわかった。


 だから、

  

「大丈夫だよ、ヴェルさん」


 大丈夫だ、ともう一度繰り返して、ヒタキは僅かに頬を緩めながら小さなヴェルマの頭に手をおく。

 

「俺、逃げるのは得意なんだ。だからもし捕まったって、その時はこんな都市から逃げ出してやるだけだって」


 そのまま優しくて可愛くて綺麗で、強くて偉そうで、それでもやっぱり小さなヴェルマの頭をくしゃくしゃと撫でていれば、しばらくして彼女は小さく溜息を吐いて何時ものようにヒタキの手を払った笑った。


「……そう、だな。すまない、やはり少し疲れていたようだ。行こう、そろそろリョウ・アカツキの宿が近いはずだ」










*     *     *











「メリルはどこだ! 彼女は無事なんだろうな!?」


「先程から教会の病室で寝ていると言っているだろう。というか、先ずは落ち着け。事情を説明したい」


「嘘をつくな! お前がメリルを襲って連れ去ったと聞いているぞ!」


 ヒタキを睨み据えたまま抜身の長剣を構え、声を荒らげ反論するリョウ・アカツキ。彼とヒタキの間に立って冷静に事を運ぼうとするヴェルマは、「落ち着けと言っている」と少し声を大きくした。

 

 メリルから聞き出していたリョウ・アカツキのパーティーが拠点としている宿。走り回っていたらしく息を切らしたリョウ・アカツキと遭遇したのは、その宿からまだ少し離れた場所だった。

 

 二人がリョウを探していいたのと同様にリョウも二人を探していたらしく、出会うなり剣を抜き放ったリョウは言い放ったのだった。

 

 曰く、メリル・カナートを返せ、と。

 

「どのような噂が流れているかは知らんが、正確な情報は伝わっていないようだな。正しくはメリルを襲撃したのはヒタキではなく、先日貴様と殺り合っていた男――ミリアだったか、彼女の恋人が差し向けた刺客? とやらだ」


 先日、ヒタキとヴェルマがリョウ・アカツキを疑うに至った原因のあの夜。ミリア・フロマージュなる女性が語った、要領を得ないというか、にわかには信じられない話を思い返しながら、ヴェルマは本当の襲撃犯を告げた。しかしリョウは、「恋人の、刺客……?」と何のことだとばかりに眉を寄せる。

 

「いや、そうか……あのストーカー、レオンのことか?」


「ストーカー? いや、俺らが言ってるのはさっきヴェルさんも言ったけど、あの金髪のおっとりした人の恋人が送り込んだ刺客……って、確かそう説明されてた人のことだぞ」


 微妙に噛み合っていない会話にヒタキが訂正を入れるが、大きく溜息を吐いてリョウはゆるりと首を振る。


「そいつが彼女の、ミリアのストーカーのことだ。話す機会があれば分かると思うが、ミリアは……、天然というのか、何を言っているのかわからない時がある。出会った時はそうでもなかったが……いや、とにかく俺はストーカー、レオンという名前の男に付け狙われているミリアの護衛をずっと前からやっている。今回のメリルの襲撃も、メリルと親しい俺を殺そうとし始めた、そのレオンの凶行だろう」


「…………」


「…………」


 なんだそれは、とヒタキとヴェルマはしばし呆然とする。思い返せば最初から意味のわからない話だった気がするが、今リョウの口から語られた話もどう反応すればいいかわからない。

 

 今の話の真否やその先のことについての思考を、ヴェルマは完全に止めた。仮にそのレオンなる男がどれだけ狂っていようと、もう自分には関係がない。

 

「ヒタキ、帰るぞ。メリルの所在と日中の真相については伝えた。もう私達は、この件とは無関係だ」


「いいのか?」


「言っただろう。メリルが自分の意思で動いているのなら、私はもう関わらないと。リョウ・アカツキ、あとは貴様がどうにかしろ。今後は今日のようなことが起こらないように、犯人をどうにかするまでメリルを守り通すか、それが無理なら縁を切ることだな」


 まあ、そうだよな……とヒタキは、何やら少しばつが悪そうにしているリョウ・アカツキをぼんやりと見ながら考える。助けを求められたのなら話は別だが、はっきり言ってお節介で他人のことに構っている場合ではなくなったのは確かだ。


「……ああ、協力感謝する。そこのお前、疑って悪かったな」


「うん、まあ、それはいいよ別に。もうちょっかいかけて来ないんだったら」


 それだけ告げて、すでに踵を返し来た道を戻り始めたヴェルマを追いかけようとしたヒタキは、ふと足を止める。そして大きく、大きく溜め息を吐いた。

 

 冗談は異端審問とやらだけにしてほしい、本当に。いくら何でも、何もかもタイミングが悪すぎるだろう。


「あー、ヴェルさん」


「………何だ。まさかとは思うが」


「いや、うん。そのまさかだ」

 

 一瞬逃げ出そうとかと本気で考えたが、そのときにはもう全て遅かった。唯一できることは、舌打ちをするヴェルマを抱え上げ、リョウ・アカツキの背中側に淡々と回り込むことだけだった。

 

「おい! 何だ、何をしている!?」


「あんた、魔術が効かないんだろ? ていうか、あんたのせいで俺らは巻き込まれてるんだから、あんたがどうにかするのが筋だろ」


「だから、何の話をしている!?」


 怒鳴るリョウ・アカツキに道の先の暗闇を指差せば、彼はぎょっとしたように抜剣して構えた。

 

 そして次の瞬間、ヒタキの指差す先、暗闇の中に収束された赤い魔力の軌跡が――――魔術式が浮かび上がり、紅い焔の矢が闇を切り裂き飛来する。

 

「《魔術無効化マジックキャンセル》!!」


 しかしその魔術、白昼の襲撃時にも使われた中級魔術『翔ける紅の一矢』は、リョウ・アカツキの両の瞳が赤く輝いた瞬間、まるで何事かもなかったのように一瞬で霧散した。

 

「無駄だ! 俺に魔術は効かない!!」 


「どいつもこいつも…………これだから寵愛者は嫌いなんだよ!」


 かき消された魔術の残り火が、金属製の軽鎧が鈍く光らせる。明確な殺意をもって魔術を放ったその男は、やはりというべきか白昼堂々とメリル・カナートを襲撃した襲撃犯、そしてミリア・フロマージュのストーカーと護衛という形でリョウ・アカツキと敵対する、レオンなる人物だった。

 

「動くなよ糞ガキ。魂が同格の寵愛者相手に敵わないことなんて、こちとら百も承知なんだ」


 荒い呼吸をしながら瞳をギラつかせる男の左腕には、ぐったりと気を失った様子の少女が抱えられていた。

 

「アンナ……!? まさか貴様!!」


「安心しな、死んではいねえよ。こいつは大事な大事な人質様だからな」


「ほ、本当だな!? アンナは死んでいないんだな……」


「当たり前だろうが。さあ、選べよ、白銀の神子さま。今ここでこいつを殺されるか、てめえが自分で死ぬ……ああん?」


 そこまで言って、レオンの危険な光を宿した瞳はリョウ・アカツキの後ろ、ヒタキとヴェルマの姿を捉えた。

 

「クソが、やっぱりてめえら仲間だったのかよ。何が敵だ、だ……まあ、ちょうどいい」


 いらただしげに舌打ちをしたレオンだが、その直後にはニタリと不気味に頬をつりあげ笑った。

 

「おい、そこの赤髪のガキ! てめえがリョウ・アカツキを殺――――」


「黙れ、うるさい」


「――――は?」


「これ以上私を、お前たちの都合に巻き込むな。貴様が刺客だろうがストーカーだろうが変態だろうが、私には関係がない」


 それは、とても――――とても冷たい声だった。

 

「そう、私には関係がないんだ。顔を合わせた途端に妙な術式で私に干渉してくる迷惑極まりないお子様。どんな目的があるかは知らないが何も知らない無邪気な少女の人生を狂わせようとする迷惑極まりない男。ああ、そうだ。お前たちのことだよ、リョウ・アカツキとそこのレオンといかいう男。お前たちがいがみ合おうが仲良くしようが殺し合おうが、私には関係がない。私は忙しいんだ、これ以上私に関わらないでくれ。だからこれ以上私をお前たちの都合に巻き込もうとするのなら――――」


 彼女は、キレている。ヒタキはそう確信した。

 

 普段は冷静沈着で、でも怒ると少し子供っぽくなるヴェルマ。そんな彼女が本気の本気で怒るところを、ヒタキは初めて見た。

 

 いや、初めてではない。ヒタキは、今の彼女を見たことがある。

 

 冷たくて、張り詰めていて、隙のない――――純粋な殺気。それは迷宮で彼女が、

 

「――――殺すぞ」


 殺すべき敵と対峙するときの姿だった。

 

「…………」


「…………」


 辺りの空気は、凍て付いていた。冷たく研ぎ澄まされた純粋な、そして明確な殺気。今この場を支配しているのは、間違いなくヴェルマだ。

 

 神の加護による魂の格、クラスは、間違いなくヴェルマが劣っている。ヒタキの見立てでは、おそらくレオンもリョウ・アカツキと同じく二度のクラスチェンジを経た探索者。つまり人間の魂の格、世間でいうランクにしてFの人間を超越したランクDの超越者。

 

 魂の格という超えることが不可能とされる絶対の壁に隔たれながらも、その殺気は確かに二人を貫いていた。


「ヴェルさん、もう帰ろう」


 誰もが動かない、動けない威圧の中で、だからヒタキはくしゃくしゃとヴェルマの頭を撫でた。

 

「……ヒタキ?」


 何故か、そうしないといけない気がした。

 

 彼女は戦うとき、何時だってそうだ。迷いなく剣を振り、術式を綴る。でも彼女は戦うとき、何時だって悲痛に見える。何時だって、死にたがっている。

 

 だからヒタキは、少しだけ頑張ってみることにした。

 

 結局は何もできない自分。あの頃の、忘れ得ぬ狭く淀んだ鳥籠で過ごしていた頃のように、空だって飛べなくなった自分に、この場をどうにかすることも、これからをどうすることも、死にたがっているヴェルマをどうすることも、何もかもがどうすることも出来ないのかもしれない。


 だから今までも、これからも自分は逃げ続けるのだろう。それは変わらない。

 

 だけど、

 

「リョウ・アカツキにも、確かあんたにも言ったよな。ヴェルさんだって、言ってた。これ以上俺たちを巻き込まないなら、俺は何もしないって。だから、あとは二人で勝手にやってくれよ」


 だけど、逃げることはできる。だったら、ヴェルマを連れて逃げることだって、できるはずだ。

 

 少し大変になるかもしれないけど、頑張ったらできるはずだ。そのくらいしか、自分はこの大切な友人のためにできることがないのだから。

 

 ヒタキはヴェルマの小さな体を、その腕で抱え上げた。

 

「てめえら、何を勝手なこと言ってやがる! 見ろよ、ほら、この女を! てめえらがそこの糞ガキを、リョウ・アカツキを殺さねえなら、こいつが死ぬんだぞ! 敵だって言うんなら、さっさとそのガキを殺しやがれ!」 

 

 ヴェルマというイレギュラーな存在に、またも計画を崩されたためだろう。レオンは見るからに取り乱し、怒鳴り散らす。


「だから誰だよ、その人。俺にそんなこと言われたって、知らねえよ。リョウ・アカツキとは他人だってさっきから言ってるだろ」


 メリルのために動いたのなら、同じくリョウ・アカツキの仲間のためなら動くと思っていたのだろうが、生憎と勘違いだ。ヒタキは、ヴェルマだって見知らぬ人のために明確な危険に飛び込むなんてことはしたくない。

 

 それに、

 

「もう俺は帰るけど、レオンさんだっけ?」


「ああ!? 何なんだよてめえら! もう意味がわかんねえよ! クソクソクソクソッ!!」


 放っておいても勝手に助かるような見知らぬ人なら、なおさらだ。


「あんが抱えてる、その人。もう起きてるぞ」


「ちょっ……! 何でバラす――――ああ、もうっ!」


 瞬間、それまでぐったりとしていた女が舌打ち混じりに拳を振り上げた。

 

「あんのせいで私の計画が――――」


 レオンの拘束から抜けだした女が何か言っているが、ヒタキはそれに耳を傾ける気はない。ヴェルマを抱えたまますでに地を蹴り、壁を蹴り、建物の突起部を足場にして屋上へと駆け上がっていた。後はもう、勝手にやってくれればいい。

 

「うっ……重、い」


「失礼なやつだな、お前」


「しょうがないだろ、人を一人抱えた状態って、結構動きづらいんだぞ」


「まあ、身体能力を上昇させていない魔術師にそれをやれと言っても無理だろうな、普通は。どう鍛えればそうなるんだ」


 背後から聞こえる剣戟や、大気を震わす打撃の音。それらを置いて、ヒタキは真夜中の迷宮都市を走る。

 

「言っただろ、逃げるのは得意なんだよ、俺」


「そうだったな。毎回毎回私を置いて逃げるしな、ヒタキは。今回はこうやって、私も連れて逃げてくれているが」


 呆れたように腕の中で笑うヴェルマに、ヒタキも自然と頬を緩めた。

 

 迷宮都市は、外界とは隔絶された空間だ。どういう仕組みなのかは解明されていないが、完全に別の空間に存在するのに、月も見えるし星も見える。

 

「このままさ……」


「ん、何だ?」


「このままさ、ヴェルさん。俺と一緒に、逃げ出さないか? 昼間にも言ったけどさ、俺はヴェルさんに死んでほしくないんだ」


 月の灯りのおかげで、ヴェルマの顔がよく見えた。だから彼女が泣いているのも、よく見えた。

 

 やっぱりそうなんだと、ヒタキは確信する。

 

 それでも、ヒタキは紡ぐ。己が生きるには、あの約束を果たすためなのだから。そのために今まで、生きてきたのだから。

 

「だからさ、俺と一緒に楽園都市に、レイファリスに行こう」


 思えば、あの時からだ。楽園都市の名前を出したその時から、ヴェルマの様子はおかしかった。

 

 だから彼女は、心配してくれたのだろう。だから彼女は、怒ってくれたのだろう。だから彼女は、同情してくれたのだろう。


 だから彼女は、泣いているのだろう。


「ヒタキ……ごめん。本当に、ごめんなさい」


 神とか運命とか魔法とか世界とか現実とか、そんなよくわからない曖昧で理不尽なものを全部憎んでいて、全部に絶望していて、だから死のうとしている彼女は、どこまでも呪われている。


「レイファリスは、レイファリスはもう…………十七年前に滅んでいるんだ」


 そしてそれを知っていて何もできない自分は――――どこまでも愚かだった。

 





 





*               *                  *











楽園都市レイファリス。


幸せの魔法がかけられた、最後の楽園。


満ち溢れる緑、湧き出る透き通った水、恵を約束してくれた豊かな大地。


そこに暮らすものは誰もが笑っていて、誰もが幸せで、誰もが満ち足りた人生を送る。




『ねえねえ、ヒタキ! 大きくなったら、二人でたびをしよ!それでねそれでね、レイファリスを見つけてそこでくらすの。そうしたらヒタキだって、きっとしあわせになれるよ! ヒタキのことしってる人もいないし、あのおじさんもみんながしあわせになれる所だっていってたでしょ!』


 まだ幼い頃、彼女と共に聞いた一人の吟遊詩人の歌。その中に出てきた、『楽園都市』の存在。彼女は誰もが幸せに生きるその都市を想い、夢を見た。


『あのおじさんは、もうレイファリスはなくなっちゃったって言ってたけど、きっとうそだよね! だって楽園なんだもん! ぜったいなくなっちゃったりなんて、しないよね! だから約束だよ! 大きくなったら二人でレイファリスに行って、しあわせになるの!』


 最後には滅んでしまったと締めくくられる、『楽園都市』の歌。彼女は誰もが幸せに生きるその都市を想い、夢を見た。

 

 だから彼女を失って七年、ヒタキは独りで生きてきた。『楽園都市レイファリス』を探して、一人で世界を歩いてきた。彼女の、最期の言葉を胸に。


 ――幸せになってね、という最期の言葉を。










*               *                  *




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