表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

哲学短信 思弁家は独我論の夢を見る

作者: 八神あき

 私と物自体の相互作用により、「私は考える」が成立する。

 物自体が、私の直観を触発することで、表象の世界に像が得られる。

 私が、表象に作用することで、三角形、幅を持たない線分からなる幾何学的直観が得られる。


 表象は、外と内から作用を受ける。

 思考もまた、私が表象に作用することで行われる。


 赤を思い浮かべるとき、私は内から作用して、赤の表象を得る。瞼の内に描かれた赤は、外的事物に由来する。

 論理空間とは、表象の一部であり、外的事物との像関係を持つ。


 では、「私は考える」とは何か。

 表象がある、というそのことである。


 表象も、そこに含まれる思考も、「私」ではない。表象は認知されるものであり、私は認知するものである。

 己の目を見ることはできず、私が私を認知することはできない。


 私の認知する可能性のすべては、表象の世界にある。そのすべてに、「私は考える」が付随する。

「私は考える」は排除不可能な記号である。その記号がついていることを以って、世界にあるのは我ひとり、とするのはトートロジーにすぎない。

 トートロジーは無意味である。


 よって、独我論は棄却される。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ