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伯爵令嬢セリア・エストレラの叛逆 〜前世勇者の令嬢は、前世聖女の王子との運命を切り開く〜  作者: 阪 美黎


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令嬢たちのお茶会メヌエット(1)

 セリアの元にお茶会の招待状が届いた。

 差出人は、レオノーラ・フォン・ヴァルシア。……そう、リシュアンの元婚約者候補の聖職貴族令嬢である。


 セリアは14歳になり、貴族令嬢たちの社交の場に顔を出すことが許される年齢になった。

 社交界デビュー(デビュタント)の準備段階に入ったというわけだ。

 しかし、今まで彼女の元にお茶会の招待状が届いたことは一度としてなかった。もちろん、こちらから令嬢たちにアプローチをかけても反応はなく彼女は事実上、孤立状態にある。

 その事情の裏には、レオノーラが深く関わっている。

 王都の名門ヴァルシア家のレオノーラは、令嬢社会の中心的存在。

 婚約事情が公にされていないことを逆手にとって、彼女は令嬢社会でリシュアンの婚約者然と振る舞っていると聞く。

 同時に、リシュアンとの婚約の横槍をいれたセリアの根拠なき悪評をそれとなく令嬢達に吹き込み、暗に彼女を嫌っていることを知らせる。未来の王子妃と目されるレオノーラの認識は、令嬢界の常識ともなる。

 そもそもヴァルシア家の影響力は大きく、彼らの顔色を窺う王都暮らしの令嬢たちに距離を置かれるのは仕方がないにせよ、中立、王政府派側の令嬢にすら距離を置かれているのだからどうしようもない。

 今のところ表立って対立しているわけではないけれど、エストレラ家とヴァルシア家はいわば政敵。私と関わって、妙な噂を立てられでもしたら、()()()()()()()()可能性がありますものね。貴族社会は何よりも悪い噂に名前があがることを忌避するわ。ご令嬢たちが日和見になるのは止むを得ないこと。

 各々の立場を鑑みて一応納得してはいるから、静観していただけれど……。

「レオノーラ嬢。……まさかここに来て、浮いている私をお茶会にお招きくださるなんて」

 セリアはゆったりと居室でお茶を嗜みながら、品よく美しい文字で記された招待状のカードを指先で弄ぶ。

「聖職貴族らしい慈悲を私に示してくださったのね。感激だわ」

 カップをテーブルに戻して傍に控える若き執事のユリウスにカードを渡す。

「……では、お嬢様。先様に参加のご意向をお伝えしてもよろしいので?」

「ええ。せっかくのご招待。無下にはできないわ」

「しかし、郊外の別邸というところがまたなんとも……」

 ユリウスは軽く眉を顰めた。

 セリアと考えていることは一緒らしい。

「レオノーラ嬢がどんな()()()()()をしてくださるのか……ふふ、楽しみね」

 不敵な笑みをセリアは浮かべた。

 上品な招待状の意図は好意ではない。

 孤立無縁のお茶会など並の令嬢ならば怖気付き、当たり障りのない事情を織り込んで断ってしまうだろうが。

 リシュアン殿下の婚約者であるなら尚更、婚約者候補だった彼女に背を向けるわけにはいかないのよ。

 閉鎖的な令嬢社会に新風を吹かせてあげなくてはね。

「私の行動予定にこのお茶会を入れておいてちょうだい。ドレスを新調する機会をいただいたのよ。感謝しなくちゃね」

 ……ああ、そう。ついでに。

「お茶会に同席するレオノーラ嬢と仲の良い取り巻きについても調べておいて。役立つことがあるかもしれないわ」

「かしこまりました」

 ユリウスは無駄なく礼をした。

「お願いね」

 怖いもの知らずの主人は執事に一瞥を残してメイド達に号令をかける。

「さぁ、あなたたち。私の社交デビューよ。お茶会は令嬢の花咲く小歩舞踏場(いくさば)。私の矜持に相応しい装いの提案をしてちょうだい」

「おまかせください、お嬢様」

 メイドたちは心得ているように笑みを浮かべて頭を下げた。


お嬢様は14歳になりました(つまり王子様は16歳)。執事は19歳です。いい感じです。

区切りのよいところでお話を切ったので、今回は短めとなっております。


すでにお気づきかと思いますが(特別意識してないかもしれませんが。笑)、全体的に改題いたしました。

タイトルフックの弱さは、以前から気になっていたのですが……(うぬぬ……)。

頻繁に改題してても許されるのは不人気作品の特権(汗)ということで、ご容赦くださいませ……。


そして今年はこれが最後の更新になるかもしれませんので、ご挨拶をば。

2025年も拙作をご覧いただき、ありがとうございました。

2026年も何卒よろしくお願いいたします。

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