第6章
仮面の男の刃が、私の視界を切り裂くように振るわれる。
キィンッ!
私は咄嗟に身を低くして避けた。
速い――
しかし、今の私はそれを見切ることができる。
「……っ!」
私は一気に踏み込んだ。
刃が閃き、男の腕に届く――
カンッ!
しかし、またしても弾かれた。
「まだだ。」
仮面の男が低くつぶやき、鋭い蹴りを繰り出してくる。
私は避けきれず、地面を転がった。
「ぐっ……!」
立ち上がろうとするが、足が震えていた。
「お前の刃は、まだ己の意思を持っていない。」
男の声が響く。
「なぜ、お前は戦う?」
「……守るために。」
私は、拳を握りしめた。
「私は、この力を……じいちゃんの思いを、無駄にはしない!」
その瞬間、左腕が熱を持ち始めた。
バチバチッ……!
私の刃が、赤い光を帯びる。
「ほう……。」
仮面の男は、初めて興味を示すように、ゆっくりと距離を取った。
「お前の刃が応え始めたか。」
私は、手を見る。
今までよりも、刃がしっかりと私の意志に馴染んでいる。
「私の刃は……私だけのもの。」
静かに呼吸を整え、再び構えた。
「……来い。」
仮面の男が、微かに笑う。
そして――
次の瞬間、私たちは再び交錯した。
私は、すべての力を込めて刃を振るう。
仮面の男の動きに、もう惑わされない。
「……これで、決める!」
私は跳び上がり、全力で刃を振り下ろした。
ズバァンッ!
刃が仮面の男を捉える。
しかし――
スッ――
男の姿が、霧のように消えた。
「っ……?!」
私はすぐに振り返る。
男は数メートル後ろに立っていた。
「……悪くない。」
彼は静かに私を見つめる。
「だが、試練はまだ終わっていない。」
私は息を整えながら、刃を握り直した。
「……まだやるの?」
「お前の刃が、本当に覚醒するまで。」
男が再び構える。
「今度は、お前の心が試される。」
私は、再び戦いの構えを取った。
「……望むところ。」
私の刃は、まだ進化する。
この戦いが、私の未来を決める。
そして、私は知ることになる。
この刃が持つ、本当の意味を。