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04

「それじゃ、田中さんはテスラから何も聞いてないの?」

「うん。レスタをよろしくって言うばっかりで」

「……ああ、まぁ、でも、……レスタから聞いたテスラってそんな感じちょっとしたかも。とりあえず、私がレスタから聞いて分かってることをざっと説明するね」


 レスタはちゃんと説明していたという衝撃の事実。レスタは出来る子だった。その上で姉をよろしくもしていた。

 今いるのはレスタの中に入った人、四宮裕子さんの為に設えられた部屋だった。そこに彼女が自分のスキルである『結界』を張って、二人きりになれるようにしてくれた。部屋の中に誰も入れないようにしてしまったのだ。一定の空間を結界で囲って自分が許可した人以外が入れないように出来るものらしい。音も漏れないそうだ。すごい。

 なお話すに際し、敬語はなしでと最初に告げられた。


 さてこの世界のことと今の状況のこと。

 なんでも、この世界には今魔王が現れて、人は危機の最中とやらなんだそうだ。

 この大陸には大きく分けて人の住む国が3つと、魔族が住む国が1つある。どの国も広さは同じくらい。

 魔族の国は、これまでは魔王がいなくて統率が取れてなかった。魔族はめっちゃ強いけど、個々で強いだけだから干渉しなければそこまで怖くなかった。

 それが、魔王が現れてそんな強い魔族達をとりまとめて、人間の国を1つ滅ぼすか! ってことになったらしい。人の国が3つと魔族の国が1つだとバランスが悪いから、1つを魔族の国にするぞ、ってノリらしい。そして滅ぼすと指名されたのが今いるこの国。


「そこで、王子が勇者として立つことになったのだけど、そんなに強くないのよ。顔は良いけど」

「顔は良いんだ」

「顔だけはね。だから強力な補助がいるから、傭兵とかかき集めてて、それでも足りないから、伝説の聖女を呼ぶぞってなって」

「伝説に頼るんだ」

「頼ったのよ。禁術なんだけど。魔術の行使に耐えうるだけの魔力を持った少女の魂を生贄にして、異世界から別の魂を呼び出すっていうね。なんか異世界から呼び出すと強めのスキル? っていうのが付与されてこっちに来るんだって」


 アホかと。ただの博打じゃないかそんなもん。強めスキル=有用とは限らないだろ。いやまぁ、だとしたら彼らは博打に勝ったのか? 結界強いもんな。

 いやそれよりも。


「……生贄?」

「そ。生贄。だからレスタもテスラもどちらも魂は消滅してるわ。私は消えていくレスタからテスラをよろしくって頼まれたのだけど……まさかあいつら、テスラにもやらせてるなんてね。予想以上にクソだわ」


 スペアとか言ってたよな、確か。ということは、レスタが失敗してた時用にテスラにもやらせてたってことか。しかも失敗が分かってからやらせるんじゃなく、確定する前に――うん、クソだな。


「どうせあのテスラの周りにいた爺さん連中の出世欲とかでしょ。聖女を下ろした功労者となれば、重鎮として扱われるもの……レスタからは、テスラは成功する可能性が低いからやらせないことになったって聞いたのに」


 深く深く溜め息をついて、四宮裕子さんは僕を見た。


「えっと、中の人はタナカハジメさん、よね。……男の人なの?」

「うん。吃驚だよね」

「……吃驚だわ。聖女なのに。聖女的な男の人なの?」

「言ってる意味が分からないけど聖なるって言うか清らかっていう意味なら多分まぁ、その、………………一応」

「ああ、うん、そういう意味の清らか……いやそれはどうでもいいわ。で? スキルはなんて?」


 割とさらっと笑いながら流された。突っ込まれるよりは良いけど。てか何だよ聖女的な男って。


「水晶には『パソコン(通信可)』ってあったよ」

「……『パソコン(通信可)』?」

「わけがわからないよね。あははは」

「笑い事じゃないけどね」



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