表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/12

03

 結論から言えば、レスタの方に『聖女』は降りていた、ということになった。


「レスタ様には『シノミヤユウコ』様が降りておられる! スペアは黙っておれ!」

「テスラ様にも『タナカハジメ』様が降りておられる! スペアだなどとバカにするでない!」

「レスタ様が授かったスキルは『結界』だ!」

「テスラ様が授かったスキルは…………はて、なんだったか」


 そこで僕のスキルを確認するぞと、水晶玉が持ち込まれた。

 でもぶっちゃけ、名前を聞いた時点で決まりだよね、とは思った。

 レスタに入ってるのは女でテスラに入ってるのは僕だから男。絶対聖女じゃない。


「テスラ様が授かったスキルは――…………はて、これは何と読むのか」


 首を捻っているじいちゃんの手元から水晶玉をそっと覗き込んだ。ふむふむなになに、……『パソコン(通信可)』……なんじゃこりゃ。

 読むことすら出来ないスキルなど碌なものではない、とレスタ推しらしいレスタの周りにいるおっちゃんたちが嘲笑している。

 いやパソコンはものすごく有能だと思うけど。でもここでそれを主張してもなぁ。どうなんだろう。


 絶叫交わし合うなかなかにファイティングな話し合いが持たれた。じいちゃんばあちゃんたちが必死に叫ぶ中その意見は全ておっちゃんおばちゃんたちに論破され、最終的に聖女はレスタということに決まった。彼女は王様から聖女としての叙勲を受けた。

 小さな銀色のティアラがその証しのようで、それを王様から授かった後、レスタは王様から無事に聖女を降ろせた褒美を貰えることになった。何でも願いを言うが良いと鷹揚に言う王様に、レスタは頭を下げたままで静かに告げた。


「テスラをわたくしの侍女として迎えることをお許し下さい」

「む……、聖女の侍女であれば、位の有る貴族の娘が良かろう。そなたの後ろ盾ともなろうし」

「いいえ、わたくしは望みません。テスラを侍女に下さいませ」


 割と頑なに「テスラを侍女に」と言い張るレスタに、王様は数度の説得の後あっさり折れた。よかろう、と頷いて下女でも下働きでも好きに使うが良い、と命令が下された。レスタは侍女に下さいって言ってたのに、わざわざ下女とか下働きとか言う王様からはこちらへの悪意と蔑みばかりが盛り盛りで嫌な感じだ。

 その言葉に僕の周りにいるじいちゃんたちはこの世の終わりのような顔をして、憎々しげに僕を睨んだ。視線だけで相手を殺せるなら間違いなくり切ってる感じの視線だった。


 侍女って何すりゃ良いんだろ、身の回りの世話とかかな、とは思ったけど、取りあえずテスラからは『レスタをよろしく』されてたから、近くに行けそうなのは良しって感じかな。

 と思っていたら、レスタの周りにいたおっちゃんたちに小突かれた。


「何をほうけている、テスラ。お前はレスタ様の召使いとなったのだ、さっさと従わぬか」

「やめて、乱暴しないで。――一緒に行きましょう、テスラ。大丈夫、あなたは私が守るから」


 このときようやく、僕はレスタの顔を見ることが出来た。

 ……何て言うか、めっちゃ可愛いな。それで、テスラとは全く似てないな。

 髪の色も目の色も違う。顔立ちもスタイルも正反対だ。

 テスラは濃い灰色の髪に青い目、抜群のスタイルに冷たそうな印象の美人。

 対するレスタは、淡い色の金髪に緑の目、どこもかしこも細くて小柄で、ふんわり可愛く愛らしい印象の美人。


 あれ? でも、『守る』って?



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ