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そのいち

勢いで書いてる小説ですのであしからず。

更新は不定期です。

内容はノリです。

「いらっしゃいませー」


若い店員の声がドラッグストアに響く。


その声に向かって軽く会釈した客はつばの広いハットを目深に被り、季節外れのコートを着ていた。


なにあれ?と、内心眉を潜めるが、そこは接客業、持ち前の営業スマイル満開で表情を固定した。


そのお客は、何点か素早く籠にいれると、足早にレジにやってきた。


顔はほとんど見えないが、肌がやけに白くて寒々しい。


「これ‥」


しゃがれた声が思いの外低かったことから、男性だとわかった。


「‥で2050円になります」


どこか、うすら寒い気配を、気のせいだと追いやって、店員は精一杯のスマイルで応対した。


「あ、ばぃ‥(声帯が溶けて、声が‥) ‥はい、これで」


喉を仕切りと叩いたりつまみながら、彼は、スマホのバーコードを差出し、精算した。


そうして、店員が差し出した袋を持とうとした彼の手が、ポトリ、とカウンターのそとに落ちた。


「へっ‥?‥‥‥ひっ!?」


理解不能の事態に、暫し固まった店員だが、徐々に青ざめ、客と、彼の手を交互に見やり、しゃくりあげた。


「あ、いや、ごれば、違うんでず‥ずみまぜんでじた」


何故か、客の男は慌てて、取れた腕をぬちゃっとくっつけ、商品を持って走り去っていった。


空白のあと。


「ぎゃーーっっ!!」


店員の叫び声が、昼間の誰もいない店内に響きわたった。





「いやー、参ったな。あの店舗、小規模ながら、品揃えがよくて重宝してたのに……。向こう1年はいけないなぁ。残念」


人通りのない、路地裏で、息を整えながら、帽子を外した男はタオルで汗をふきながら、ひとりごちた。


「うわっ、このタオル、もう洗濯しないとつかえないや。ほんっっと、不便だよねぇ、このからだ」


タオルに付いた、汗と、その他の体液を見て嫌そうにしながら、男はカバンにいれてあるビニールにそのタオルを入れた。


「つーか、ニールに文句言わないと。今回の薬、効き目が悪すぎて、腕取れちゃたじゃない。声帯も腐ってきたし‥」


トントン、と喉をたたき、ポケットから取り出した錠剤を飲んで、これでよし、とうなずいて歩きだす。


向かうは、腐れ縁のマッドサイエンティストのところだ。


「あーあ、ゾンビって、本当に不便だ」


ため息をはきながら、彼はとぼとぼとあるくのだった。







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