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あれ?パスカル君?

キャロラインの社交デビューです。


忘備録

⭐︎イザベラ→神殿の女神様の祝福の時にキャロにマウントを取りに行き巻き込まれ事故の遭って改心。今はキャロの仲良しの友人。攻略対象脳筋パスカル君の婚約者。

⭐︎パスカル→脳筋枠の攻略対象。筋肉をこよなく愛している。キャロとの出会いからゲームとは違う道に進み出した?

 デビュタントっと言っても、王族へのご挨拶の時に今年学園に入学する娘がいるよって言うだけで他は何をするわけでもない。

 私は王族(詐欺師)を見たら緊張とイラつきで何かやらかしそうだったから、直視しないようにした。

 私達親子はひたすら笑顔を貼り付けて王族への挨拶を乗り切った。


 その後は社交タイムだ。

 王城の大広間にはもう大分貴族達が集まっていて、ペットを交えて談笑していた。

 いろいろな種類の動物達が着飾った貴族達の足元や肩にいておもしろい。


 私はお父様とお兄様の真ん中でエスコートしてもらいドキドキと人混みを進んだ。

 ユーリカちゃんやソル様、ティアラちゃんやベラちゃんはいるだろうか?


「キャロライン様、ご機嫌よう」

 にこやかに声をかけてくれたのはベラちゃんだった。

 ベラちゃんには毎年社交シーズンにお茶会にお呼ばれしていたが、1年ぶりに会うとやはり全然違った。


 昨年の夏からぐんと背が伸び始めたと手紙に書いてあったが、私より10センチほど背が高くすらりと成長していた。

 明るいオレンジの髪はツインテールにして、大きなオレンジの瞳につんと高い鼻、形の綺麗な薄い唇の彼女は勝気で快活な印象の美人さんだった。


 隣でエスコートされているのは親戚の方だろうか?

 婚約者の脳筋パスカル君とはあの勝負以来会っていないが、ベラちゃんはよく会っているようで二人の仲は良好そうだ。

 だから、今日はパスカル君がエスコートかと思ったのだが会えずに残念だ。

「イザベラ様、ご機嫌よう」

 私はニコニコとベラちゃんに挨拶を返した。


「お久しぶりです」

 ん?ベラちゃんをエスコートしている方が私に声をかけたが久しぶりって?会ったことないよ?

 あ、違う。私じゃなくてお兄様に声をかけたのか。


 私がお兄様を見ると、お兄様は小さく首を横に振った。

 え?違うと?

 じゃ、お父様?

 お父様を見るとお父様も小さく首を横に振った。


 え?じゃあ、やっぱり私?

 はて?こんな知り合いいたっけか?


 スラリと背が伸びたベラちゃんよりさらに背が頭一つ分高く、色白ではあるが病的な白さではない白い肌にペリドットの切れ長の瞳、すっと高い鼻梁に薄い唇のとても綺麗なお人形みたいな顔の男の子だ。

 たがしかし!その体がゴリマッチョだった。

 どう見てもバランスがおかしい!

 どうしてその綺麗な顔の下がボディービルダー系のムキムキマッチョなの!?


 と、思ったところであれ?と気づいた。

 ムキムキマッチョに惑わされたけど、この綺麗な人形みたいなお顔と七三分けの深緑色の髪には見覚えがある。

 私は片目を瞑って右手を前にかざしてムキムキマッチョの体部分を隠して見た。


 私は驚きに口が開いたまんま塞がらない。

「も、も、も、もしかして!リッターソン様ですか!?」

「そうです。あなたとベラのお陰で私は理想の体に生まれ変わったのです」

 パスカル君はムン!と恍惚とした表情でポージングした。

 ヒィ〜!その顔とポージングの合わなさよ!


「驚いたでしょう?私とパーキンで宰相様を説き伏せましたのよ」

 パ、パーキン!?

 パスカルと筋肉を合わせて愛称にしちゃったの?

 アワアワと慄く私の前でパスカル君とベラちゃんはニッコリ微笑み合った。


「だから、腸腰筋を鍛えて正解でしたでしょ?」

「そうですね。ベラの言う通りでした。ほら、ここのキレが良くなりましたよね」

「はい。次は大腿四頭筋はどうでしょう?」

「ええ。私も次はそこかと思ってました」

「じゃあ、今日はお肉をいっぱい食べていきましょうね」

「はい」


 あれ?ベラちゃんも呪文を覚えたのかな?

 しっかり筋肉に洗脳されている?

 ま、まあ、幸せそうだし良いのかな?

 ウメの其方やっちまったなと視線が地味に痛い。

 これは、話題を逸そう。


「そ、そうだ。ベラちゃん、お手紙にペットを飼い始めたって書いてあったよね」

「そうですの。この子ですわ」

 ベラちゃんが後ろを向くとその背中にコアラがくっついていた。


「コアラ!?可愛い〜!」

 大きな鼻につぶらな瞳が何とも可愛らしい。

「そうですわ。インナー君です」

「私のペットも紹介しましょう。ちょっと人見知りですが素敵な女の子です。マッスルおいで」


 あ、2匹合わせてインナーマッスル?

 そう気づいた時、ズン、ズン、と重低音が響いた。

 何?何?何の音?

 お兄様が庇うように私を抱き込んだ。


「マッスルです。人見知りで気弱な子ですが、仲良くしてあげてください」

 ズーンと見上げるほど大きな筋肉ムキムキなカンガルーがいた。

 気弱?私には歴戦の王者の風格で佇んでいるように見えるが?

 人見知りってどんな意味だっけ?


「パーキンとマッスルちゃんは目と目が合った瞬間運命を感じたのですよね」

「はい。この子こそ私のペットだと思いました」

 私もお似合いだと思うよ。はい。


 ヒュン、ヒュンと風を切る音を鳴らしてマッスルちゃんがシャドウボクシングをした。

「マッスルちゃんがよろしくですって」

 私には殺ってやるぜと聞こえたよ?


「えっと、マッスルちゃん。私のペットのウメだよ。よろしくね」

 ウメがプルプルと紹介しないでと首を横に振った。

 ごめんよ。ウメ。この流れで紹介しない選択肢はない。


 マッスルちゃんの目がカッと光った。

 ど、どうした!?

 その瞬間マッスルちゃんの腕が素早く動き、ウメをお腹の袋に入れて跳んで行った。


 え?え?

「マッスルは新しいお友達に嬉しいみたいです」

「少しみんなで遊んで来るみたいですね」

 あ、マッスルちゃんの背中にインナー君もくっついている。

 

 そして、遠くからウメのピギ〜と鳴き声が聞こえた……。

 ごめんよ。ウメ。後で迎えに行くからね!


 




 

 

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html>   html>   好評発売中 ♪
― 新着の感想 ―
[良い点] バーキンくんの仕上がり。 ラブラブカップル成立で何よりでした。 [一言] コアラやカンガルーと普通に出会える世界でしょうか。 うらやましいです! 私もインナーちゃんを腕にくっつけてみたいで…
[一言] マッスルさん(カンガルー)は…女子だったんですね!?
[一言] ウメさーーーんご無事の生還を!!! 筋様の仕上がりが斜め75度行っててベラちゃんもそっちに…うんでも御本人たちが幸せならいいですよね! パーキンてヨークシャーのお菓子みたいで可愛い❤
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