誕生日のプレゼント
向こうではキリルのお家にみんなでお泊まりするそうだ。
私の誕生日が近づき、嬉しい事に続々とプレゼントが届いた。
「ウメ、見てください。これはベラちゃんからのプレゼントです」
『ほう、これは美しいの。シャオラか?』
ベラちゃんからは髪留めが届いた。
シャオラの花の形をした銀細工の髪飾りでとても可愛らしい。
早速、上の部分の髪を髪飾りで留め下の髪は部分はフワフワとおろす。
「どうですか?」
『ふむ、そなたの髪によく似合っておるの』
可愛い物好きのウメが素直に褒めてくれた。
ユーリカちゃんとソル様からは他国から取り寄せたいろいろな種類のお花が届いた。
「ウメ、いろいろな国のお花ですって。綺麗〜!」
『おお、これはすごいの。植物図鑑で調べてみよ』
私は花瓶に活けるとウメの言う通りに、前にユーリカちゃんからもらった植物図鑑で届いたお花を調べてみた。
何とこのお花達、お薬になるお花だった。
煎じて飲むと、熱冷ましや咳止め、鼻水などの風邪の諸症状に効くお花や、蜜に鎮痛効果のあるお花、すり潰して傷や火傷に効くお花など、生活に役立つお花ばかりだった。
『ユーリカ達は花を出せるキャロラインに役立つ花を選んで送ってくれたようだの』
まだ見たばかりのお花達だから出すのに時間がかかるけど、スムーズに出せるようになったら何かあった時に領民のみんなにも配れる。本当にありがたいプレゼントだ。
ティアラちゃんからは切れ味抜群そうな小さな小刀が贈られてきた。
『この小刀にはよく切れる魔法がかかっておるの。多分岩でも切れるぞ』
岩も切れるの?すごい!
これで枝もスパスパ切れるし、護身用にも良いね。
「キャロー。明日は誕生日じゃな!おめでとう〜!」
「キャロちゃん、お祖父様とお祖母様ですよ〜!はぁ、可愛い。可愛いが過ぎる」
そして、誕生日の前日にお祖父様とお祖母様が来た。
まん丸お顔に恵比寿顔のニコニコいつも笑顔のお祖父様と、お父様とお兄様にそっくりなお顔にさらさら白金のいつまでもお若いお祖母様。
「お祖父様、お祖母様、お久しぶりです!来てくれてありがとう!会いたかったよー!」
私はお祖父様とお祖母様に抱きついた。
「はぁん、キャロちゃんのスベスベほっぺ。愛らしいが過ぎる」
お祖母様のほっぺスリスリが止まらない。
「ずるい!わしもわしも」
「父上、母上、そろそろ落ち着いてください」
お父様が苦笑いして止めてくれた。
孫大好きお祖父様とお祖母様は領地の端っこに住んでいて、農家のような生活をしている。
お互い忙しい上にうちから結構遠いので、気軽にはなかなか会えない。
今までは、お父様達が王都に行ってしまう社交シーズンに泊まりに来てくれていたが、今年はお兄様も私も王都に行ったため本当に久しぶりだ。
「ほら、お祖父様とお祖母様が作った野菜と牛乳だよ」
誕生日恒例のお祖父様の畑で採れた野菜と牛乳をお父様に渡した。
お祖父様とお祖母様のペットは実用的に牛のハナとヒナだ。
よくミルクを出してくれる素晴らしい存在だ。
「ありがとう」
これでお祖母様とお母様が誕生日の料理とバースデーケーキを作ってくれるのだ。
楽しみ!
「父上、母上、先日手紙で書いたミューレの孫のキリルです。キャロの専属侍女のお試し中です」
「大旦那様、大奥様、お初にお目にかかります。キリルと申します」
キリルが緊張した顔で挨拶をした。
「ほうほう、ミューレの孫か。ミューレは元気にしとるかな?」
「まあまあ、ライラの小さい頃にそっくりね〜」
お祖父様とお祖母様はニコニコとキリルを見つめた。
「はい。元気にしております」
「ミューレの孫がキャロの専属の侍女になってくれるなら安心ね」
「父上。事情は手紙に書いた通りなので、まだ正式ではなく、明日のキャロの誕生日に結果を出す予定です」
え?明日、結果を出すの?
確かに明日は偶然にもちょうどキリルが来てひと月だ。
キリルはキュッと手を握って頷いた。
「キャロ様。やれることは全てやりました。大丈夫、きっと大丈夫です」
自信満々な表情でキリルは言うが、その握られた手がカタカタ小さく震えていた。
「うん。キリルなら大丈夫だよ。ずっとそばにいてね」
私は震えるキリルの手をギュッと握った。
*****
そして、とうとう今日は私の誕生日の日だ!
誕生日のお祝いはお昼にやるのが定番だ。
準備が終わるまでは主役の私は、キリルにおめかししてもらった後は部屋で待機なのだがワクワクして落ち着かない。
「ウメ、ちょっとどんな感じか見てきてください」
『阿呆、何を言っておる。先に知ってしまっては楽しみが減ってしまうであろう。我慢せよ』
「でもでも、気になってしょうがないんですよ〜」
私はベッドに座り足をバタバタさせた。
『朝から落ち着きがないの』
だって楽しみなのだ。
『しょうがないの。我からもプレゼントをやろうかの』
え?まさかウメがプレゼントをくれるなんて!?
私は思わず窓から外を見てしまった。
良かった、晴れのままだ。
雨が降るかと思ったよ。
『……やっぱり止めるかの』
「ワー!ウメ様!可愛いウメ様!ごめんなさい!軽い冗談です。だからください〜」
『しょうがないの。さっさと手を出せ』
「はい!」
私は張り切ってちょうだいの手を出した。
ウメがポトンと小さな小さな何かを私の手に乗せた。
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