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プレゼントを作ろう

みんなの視線が残念なものに変わるのだった……。

 王都に来て半月、ベラちゃんのお茶会も無事?終え、後は何の予定もなく暇を持て余している今日この頃……。

 お父様とお母様は社交で夜会やお茶会に、お兄様は入学準備に忙しそうだが、私は何もする事がない。


 出かけるにも領地のように気軽にウロウロできないし、何をするにも護衛と侍女にお願いするのは申し訳ない気持ちがしてしまう。

 結局、毎日ロージアを魔法で出してはメイドのキリルに売上の一割を渡す契約をして売りに行ってもらい、お小遣いを稼いでいる毎日だ。


 キリルはライラの娘でミューレの孫だ。年は12歳。

 ライラと同じ黄緑色の髪を三つ編みにしたまん丸眼鏡の可愛らしい女の子だ。

 暇を持て余す私の良き話し相手でもある。


 本当に世の中の貴族の御令嬢方は、一体何をして過ごしているのだろう?



 そんな私に一通のお手紙が届いた。


「お兄様!ユーリカ様からお兄様と私が王都をどうしても案内してほしいなら案内してあげてもいいってお手紙が届いたよ!」

 ユーリカちゃんらしいツンなお手紙だ。

 私はお兄様の部屋に飛び込んだ。


「うん、僕にもソルから同じ手紙が届いたよ」

 ソル?

 あ、ソルフォード様か!

 お兄様は文通をしているうちにソルと愛称で呼ぶほど仲良くなっていたようだ。


「お兄様、一緒に行ける?忙しい?」

「お誘いは来週だから大丈夫だよ」

「やったー!じゃあ、お願いしますってお返事するね」


 私はウキウキとお返事を出したのだった。



 それからすぐにお父様にもフィジマグ公爵家から同じ内容のお手紙が届いた。

 ユーリカちゃん達は私とお兄様の予定を確認してから公爵様にお願いしてくれたようだ。

 公爵家からのお誘いは断れないものだから、事前に私達に確認してくれたのだろう。

 その優しさが嬉しい。



「お兄様、ユーリカちゃん達にお礼のプレゼントをしたいのだけど何が良いと思う?」

「お礼のプレゼント良いね。うーん、公爵家は何でも持っているから難しいね」

「うん」

 私とお兄様はしばらくうんうん唸った。


「そうだ、しおりはどうかな?」

「素敵!じゃあ、私が色々なお花を出すからその花びらを紙に貼って作るのはどう?」

「すごく素敵だね!状態維持の魔法をかければずっと綺麗なままだよ」

「いい!それにしよう。ロージアを売ってお小遣い貯めたからそれで状態維持の魔法を掛けてもらおう」

「僕もこの前父上のお手伝いした時のお小遣いがあるから半分出すよ」


 私達は早速しおりを作り始めた。

 紙はミューレから厚紙をもらって、お兄様にしおりの大きさの長方形に切ってもらった。

 私はその間にせっせと色々なお花を出す。

 もうテーブルに赤や青、黄色、紫色などなど様々な色のお花がいっぱいだ。


「お花綺麗だね。よし、作ろうか」

 お兄様が私にしおりの紙を渡してくれた。

 さあ、私は花びらで何を描こうかな?


 悩む私の隣でお兄様どんどん花びらをちぎり糊付けしていく。


 よし、決めた。

 私は赤い花びらをちぎり、まず形を作ってから中を埋めていく。


 思いのほか楽しくて私達は黙々と花びらをちぎっては糊付けしていった。


「「できた」」

 そして数時間後、ちょうど同時に完成した。


「お兄様は何を作ったの?」

「僕はこれだよ」


 お兄様はニッコリ笑顔で私にしおりを渡した。


 ???


 私は首を傾げた。

 横にして縦にして上下を逆にして……。

 おかしい。

 何の絵も文字も見えない。


「お兄様、とても綺麗な色合いのしおりだね。ちなみ何を作ったの?」

「ウメと頭に乗ったミドラ君だよ」


 え?

 まずソルフォード様にあげるしおりにそのチョイスがよく分からなかったが、もっと分からないのはしおりのウメとミドラ君だ。

 このしおりのどこにウメとミドラ君がいるのだろう?

 あれ?見つからない。

 色々な色の花びらが前衛アートのように散らばっている。


 ピンク色も緑色も確かにあるが、形にはなっていない。

 え?どういう事だろう?


「お兄様、ウメはこれかな?」

 私はとりあえず真ん中へんのピンクを指差してみた。


「え?違うよ?これだよ」

 お兄様が右上の方を指差した。

 ピンクではなく、薄い紫や紫が多い部分で何となく高貴な雰囲気の色合いのような気もしないではないような部分だ。


「……ちなみにミドラ君は?」

「え?もちろんこれ」

 お兄様は左下のオレンジや赤、黄色の明るい部分を指差しだ。


 ウメの上に乗ったミドラ君なのに左下?

 何でウメはピンクでないの?何でミドラ君は緑でないの?あれ?


 私の頭はグルグル一周回ってアートってそんなモノと納得した。


「さすが、お兄様。芸術的なしおりだね!」

「ありがとう。キャロのしおりは?」

「私はこれ」


 私のしおりをお兄様に渡した。

「可愛い。きっとフィジマグ嬢も喜ぶね」


 私達は完成したしおりとお金をミューレに渡して状態維持の魔法をかけてもらってくるようにお願いした。


 さあ、プレゼントもできたし楽しみだ!









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html>   html>   好評発売中 ♪
― 新着の感想 ―
[一言] おにいたまのしおり見てみたいですね〜前衛アート?おにいたまの残念はそっち方面?比較的常識人なフィジマグ兄妹の反応が楽しみです!
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