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ロニドナラ侯爵家に来た

全く何をしているのだか?

 さて、私は今どこにいるでしょう?

 なんと!ロニドナラ侯爵家に来ているのです。


 騎士見習いの訓練に参加させて欲しいなの手紙の返事がロニドナラ侯爵から届いたのだ。

 侯爵は騎士見習いの訓練をまずは体験してみて、大丈夫そうだったら定期的に参加してどうぞと快く引き受けてくださった。


 うちとロニドナラ侯爵領は良好な関係だ。

 昔、この国で飢饉が起こった時にお祖父様はロニドナラ領に利益度外視で食糧を融通したそうで、今でも恩に感じていてとても親切だ。

 

 今回もわざわざ馬車の送迎まで出してくれた。

 お祖父様に感謝だ。



 今、私はお兄様とペットのミドラ君とウメと応接室でロニドナラ侯爵を待っている。

 この世界はペットと一緒に行動することが普通だ。

 ちゃんとお出かけ用の首輪をウメとミドラ君に付けてある。

 ただ、ウメはピンクが良いと言って首輪が同化している気がするが……。


 お茶を淹れてくれたメイドさんによると、こちらに来るのにもう少しかかるそうだ。

 私は静かにお行儀良く待っているのにもだんだん飽きてしまった。

 ウメはミドラ君を頭に乗せてソファで寝ている。

 自由な子ブタだ。


 そうだ、お兄様に男の子から見てちゃんとフワまもに見えるか確認しておこう。

 せっかく騎士見習いの男の子達に会うのだ。

 素敵な出会いがあるかも知れない。

 いや、積極的に出会いを引き寄せるのだ!


「お兄様、見て。これ可愛い?」

 私はソルフォード様に見せたウィンク付きの自己紹介をお兄様に見てもらった。


「うん、とっても可愛いよ。さすがキャロは天使だね!でも、片目をつぶるのはまだキャロには早いかもしれないから代わりに首をこう傾けるのはどうかな?」

 お兄様は小首を傾げてフンワリ微笑んだ。

 すごい!可愛い!


「うん、こう?」

「そう、もっと可愛い!拳を当てるとキャロの可愛い顎が隠れてしまうからカーテシーに挑戦してみたらどうかな?」


 拳?ちょっと引っかかったが、ちょこんと小首を傾げてカーテシーをした愛らしいお兄様を見たら忘れた。天使だ!


「素敵!こうかな?」

「うんうん!愛らしくて可愛い!」


 その時コンコンとノックの音がした。

 私達は慌てて並んで立つ。


「はい」

 お兄様が返事をすると、焦茶色の髪を刈り上げた翠の瞳の筋肉モリモリワイルドなおじさんと、きっちりと栗色の髪を纏め背筋のピンと伸びた御婦人が入って来た。スラリとした長身で、はっきりした眉にクールな蒼い瞳の宝塚のような麗人だ。

 後ろには男の子と女の子もいる。


「待たせてすまない。私はロニドナラ侯爵家当主ゴードンだ。隣は妻のレティライト、息子のイリアス10歳、娘のティアラミス6歳だ」


 イリアス君はママとそっくりな容姿で凛々しいのに、ニコニコと愛想良く私に手を振ってきてチャラい。

 私は密かにドン引きした。

 ティアラミスちゃんは同じくママ似の顔立ちだけど、ずっと俯いていて大人しい印象を受けた。


「お初にお目にかかります。ヴィゼッタ伯爵が息子ハウルです。10歳です。こっちはペットのトカゲのミドラ君です」

 お兄様が胸に手を当てて正式な礼をとったあと、ウメの頭にのったミドラ君を紹介する。


 次は私だ。

「ヴィゼッタ伯爵が娘キャロラインです」

 さっき練習したようにカーテシーして小首を傾げて微笑む。

 どうだ?


 よし、侯爵は目尻が下がってその表情は可愛いねと言っている。

 レティライト様は笑顔はそのままだけどひんやりしてるような気がする。うん、前世でフワまも系は女子受けは悪かったりしてたからね。

 イリアス君も笑顔だけど、こちらはずっとチャラいからよく分からない。いや、どちらにしてもチャラい男はすぐ浮気とかしそうでないな。


 今からお会いする騎士見習いの方々に期待しよう!


 あ、ティアラミスちゃんはキラキラした目でこちらを見ている。

 可愛い。絶対お友達になろう!


『さっさと我を紹介せぬか』

 ウメが言った。

 あ、忘れてた。


「あと、こちらはペットの子ブタのウメです』

 え?と今度はみんな同じ表情になった。

 その表情はブタは食べ物だよと言っている。


「この子ブタは手土産ではないのか?」

 ウメは手土産と思われていたようだ。

 大変、ウメが食べられてしまう。

「はい。ペットの首輪もしています。私のペットです」

「手土産は別にあります」

 お兄様が私を見るので頷く。


 私はユーリカちゃんにお返しのロージアをせっせと魔法で出していたから、ロージア限定で大分魔法が上達した。

 私は両手を広げて色々な色のロージアを思い浮かべる。

 出て来い、88本。

 光りと共にバサリとロージアが出てくるのを両手で抱えた。


 お兄様がそこから8本抜き出してレティライト様に差し出す。

「騎士見習いの訓練に快く参加させていただけることに感謝いたします」

 ロージア8本は感謝の意味だ。

 私は残りのロージアを侯爵に差し出した。


 本当にこの魔法はありがたい。

 侯爵家の手土産に下手な物は持って行けない。

 でも、花の手土産は定番の一つだ。

 ロージア88本は見栄えも良い。

 ありがとう!女神様!


「ほう、キャロライン嬢はロージアを出す魔法を持っているのか」

「はい」

「お花屋さんになれる良い魔法ね?」

 レティライト様がニコリと言った。

 お花屋さんか、良いかも!


「ありがとうございます」

 グッドアイデアに私はニコニコお礼を言った。


「ありがとうございます。妹の出すロージアはフィジマグ公爵家もお気に召してくださっているそうです」

 隣のお兄様もにこやかにお礼を言った。

 それを売り文句にする事も良いね!








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html>   html>   好評発売中 ♪
― 新着の感想 ―
[良い点] 花を大量出現する魔法、大変便利そうであります。 (入院患者の御見舞には未だ無理そうな現世でありますが) [気になる点] 花だけでなく植物一般(果物野菜木材)出せるようになったら、これはもう…
[良い点] お兄様ナイスアシストです!あざと軌道修正すると同性には引かれる加減が難しいですねぇ。 ティアラミスちゃんにも何やら事情ありげ。仲良くなれますように。美味しそうな名前ですね。 [一言] ミド…
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