68頁目「災禍には厄をぶつけよう」
「手応えはあった。殺せたと思ったんじゃがの」
シャクラッチャさんが仰向けに倒れたまま語る。度重なる大規模な魔法の行使で魔力切れを起こしてしまったようだ。
「飛ぶタイプの龍じゃなくて良かったな。もし空に逃げられたら、あそこまでダメージを与えることは出来なかっただろう」
ログズバルドさんが、焦土と化した森の最奥で唸りながらもまだこちらへ向かってきているシガギュラドを睨みながら言う。
シャクラッチャさんの攻撃は二発とも確実に命中していた。シガギュラドは時間の跳躍を行い二激目の雷球の攻撃を躱そうとした。が、この魔法、相手の磁気を覚えて電流が伝わる程の速度で相手を追尾するという物だった。
その性質上、時間を跳躍させて逃げたとしてその逃げた先で感電してしまう。実質向けられた時点で必中の魔法だったのだ。
ついでに、この雷球に当たり感電している最中に発動が先送りになっていたキュレルさんの魔法も発動し、追い打ちでシガギュラドの身に落雷が落ちた。だと言うのにやはりまだ動けているのは流石龍と言った所か。
だが、角は両方共にヒビが入っておりシャクラッチャさんの見立てではシガギュラドの特殊技能は軒並み性能が下がっているとの事。
左腕も酷い火傷をおって爛れて、恐らくまともに動かせるのは右腕のみ。攻撃手段は右腕による引っ掻きとブレス攻撃。
いいぞ、城砦じみていたシガギュラドの防御が着実に少しずつ削れてきている! このまま行けばだが、討伐出来るかもしれないという希望も見えてきた! 冒険者達の士気も上がっている、良い調子だ!
「雨が降ってきたな……」
キュレルさんの使った魔法の影響で雨が降ってくる。シガギュラドに対してまだ魔法でのマーキングは外れていないらしく、シガギュラドがバリアを張り直しても定期的に落ちる雷によって剥がされてしまう。
「ッ! ブレスが来るぞ!!」
シガギュラドの喉が赤く発光する。魔法使い、結界術師が前線に立ち並ぶ。
「四重結界!!」
「土塊兵の盾!!」
シガギュラドの正面に四重の結界が展開され、オレ達を囲うように人型の土人形と盾が生成される。
ブレスが放射される。結界が一気に三枚破壊され、一番手前の結界で堰き止められる。シガギュラドはブレスを上に逸らし、そのまま雷雨を降らせる雨雲を縦に切り裂いていく。
「私の魔法がぁ!! 雲をパッカンなんてそんなのないでしょーっ!?」
頬に手を当ててノーッ! って滑稽な仕草で絶望しているキュレルさん。なんかこの人面白いな、仲良く出来そうだ。
「まあでも、これでかなり削れたな。シガギュラドの気力も、集中力も」
「えぇ」
ログズバルドさんが勝ちを確信した顔で言うと、魔法使いや弓術士達の攻撃の手を止めさせる。遠距離からの攻撃が止み、シガギュラドはブレスを吐き出しきると様子を伺うようにこちらを睨む。
シガギュラドの背後からフルカニャルリ現れる。オレ達とは別働隊として動いていたのだ。
「三妖精の悪戯、脱げ!」
フルカニャルリが魔法を唱えると、シガギュラドのバリアが破壊されずそのままシガギュラドの身体をすり抜けて地面に沈んでいく。
フルカニャルリに背負われていたオレの姿をした人型にシガギュラドは驚きおののくように目を向けた。こんな場面で、バリアをアッサリと剥がし突撃してくる奴が居るならそれは切り札であるオレ本人と思い込むだろう。
「胡乱妖精の悪戯……ッ」
その人型は龍の爪により切り裂かれる。オレのガワが剥がれて中からは妖精のヒルコッコさんが現れた。
ヒルコッコさんはバラバラに分解された身体で地に落ちながら、淡々と呟く。
「伽藍堂」
ベチャベチャベチャと音を鳴らし地面に落ちたヒルコッコさんの後ろに裸のヒルコッコさんが現れる。
「胡乱妖精の悪戯」
気だるそうに呟きながらヒルコッコさんは雨で濡れた泥を手ですくい上空に向けて投げる。龍の爪が彼女の身に迫るが、爪が接触しかけた瞬間にヒルコッコさんが姿が消えて上空の泥があった位置に瞬間移動していた。
「ふどぅかなどぅで〜、着地ずんびして〜」
「了解であり!」
龍は時間を跳躍させて距離を取るとブレスをすぐ照射できる状態にして二人を薙ぎ払うようにブレスを放った。
度重なる大量の魔力の使用によりそのブレスは先程よりかなりか細くなっており、フルカニャルリは糸を使って更に高い位置に跳ぶことでブレスを回避しヒルコッコさんはフルカニャルリのジャケットと自身の位置替えを行う事で回避した。
「あ〜!? ぼくの服! お気に入りなのに!」
「どんまい」
ヒルコッコさんがオレと目を合わせ、フルカニャルリの肩に手をポンっと置いた。合図だ、『死の爪』を発動する。
「曖昧な洞」
ヒルコッコさんの魔法により、フルカニャルリとオレの位置替えが起こる。遠距離を一瞬の内に移動したせいで酔いそうになるが、グッと耐えてすぐ目の前のシガギュラドに向かって拳を振り上げる。
今度こそ本物だと、オレの腕を見たシガギュラドが時間を飛ばしてはるか後方へ距離を取った。
「手刀流居合、切捨抜刀!」
シガギュラドが逃げた地点の付近に待機していたフルンスカラさんが凄まじい速度で龍の腕を駆け上がり片方の角を切り落とした。
「よっしゃ!」
「まどぅえどぅ、着地ずんび」
「へっ? ひょわっ!?」
再びフルカニャルリとの位置替えをされ、オレは溜め込んでおいた魔力電池置き場に転移した。
作戦は成功した。シガギュラドの時間の跳躍をどうやって攻略するかの作戦だ。
連発は出来ると言っても、危機回避の直後に奇襲されれば咄嗟には反応出来ないだろう。それでオレ自らが陽動役に買って出たのだ。
シャクラッチャさんがシガギュラドを吹き飛ばし、ヒルコッコさんとフルカニャルリが戦いながらある地点に誘導する。その間に攻撃速度に優れたログズバルドさん、フルンスカラさん、ほか数名の冒険者で周囲を囲い、オレが『死の爪』をチラつかせる。
まんまとシガギュラドは罠にハマって片方の角を折られた。
バリアを発動している角か、それとも時間跳躍を発動している角か、どちらを破壊できたのかは分からないがどちらにせよシガギュラドには痛手の筈だ。
「拳鎚流、岩砕正拳落とし!」
角を負った勢いのまま追撃を使用とするフルンスカラさん。しかし、龍が咆哮を上げると残った一本の角が変容し、彼の拳は今までよりもずっと分厚い何重ものバリアに阻まれた。
「今までで一番強い攻撃なんだが、効いていないのか!?」
フルンスカラさんの攻撃は二枚のバリアを破るだけに留まり破壊しきれず、シガギュラドの頭の先の空間に着地し殴り続けるフルンスカラに対しシガギュラドが口を開いた。
「曖昧な洞」
ヒルコッコさんが呟きフルンスカラさんと位置替えが起きる。フルンスカラさんを庇うように転移したヒルコッコさんの肉体が、小出しの炎弾に焼かれて小さくなっていく。
「何故俺を庇ったんだヒルコッコ……! クソッ!」
「かだじみの色。気にするな、あだしあれ本体じゃだいから」
「ヒルコッコ!?」
フルンスカラさんはオレのすぐ近くに転移していた。本物のヒルコッコさんがひょっこりと地面を這うように現れフルンスカラさんを脅かした。
「しっかし、破壊したのは時間スキップの方でしたか」
「あ、あぁ。みたいだな」
シガギュラドのバリアはこれまで以上に強固になっている。今までなら一撃与えればバリアを破壊出来ていた筈の攻撃も軒並み弾かれている。1箇所に複数の攻撃を当ててやっと小さく穴が空く程度だ。
「もう片方の角を破壊するのが正解だったか?」
「いや、時間跳躍が強化された方が個人的には恐ろしいです。ヤマカンは当たりだった」
「でもこちら側の攻撃は全く効果無いみたいだぞ? シャクラッチャも魔力欠乏症で意識不明の戦闘不能状態だし、あのキュレルって魔法使いには……あまり頼りたくないだろ」
「聴こえてますけどー!?」
わあ、キュレルさんが現れた。
オレのいる場所は冒険者達が固まっている場所の後方だ。ヒグンは前線待機している、そっち行きなさいよ。
「ド派手な魔法を使ってこその魔法使いでしょうがー! 頼りたくないって何さ!?」
「いや、要所要所で選ぶ魔法の選択がゴミなんだよ。相手にダメージを与えるばかりかこちら側が危険に晒される」
「冒険者なら自分の身くらい自分で守れるでしょ!? ヒグンはいつも私に魔法使わせてくれた!」
「アイツは人間じゃねえから魔法なんか食らっても死なねえの!! 一緒にすんな、アイツは特別なんだよ!!!」
「えぇ〜……?」
フルンスカラさんの熱いヒグン理解アピールにキュレルさんが引いていた。てかヒグンって最初期は魔獣を怖がって逃げてばかりだったからパーティーから追い出されてたんじゃ無かったっけ?
怖がって後ろに下がってるのをキュレルさんは譲ってくれたと勘違いしていたっぽいな。相性良いね君たち。
「マルエル〜!!!」
フルカニャルリの声がした。見れば、糸で飛び回りながら龍の炎弾や爪を懸命に躱しながらこちらに向かってきている。
「なんかぼくっ、集中攻撃されており〜!!! たすけてぇ!」
「待って? こっちに向かってきたら私も一石二鳥って事で狙われる羽目になりますが!?」
どうやらシガギュラドはフルカニャルリの『脱げ』の前でバリアは通用しないものだと気付き先に始末するという考えに至ったらしい。防御力が上がった今、何よりも恐ろしいものは防御力を無視してくる手合いだもんな。残当。
「あだしが転移する、お前もづいてぎて」
「俺も?」
ヒルコッコさんがフルンスカラさんの体にベタっとしがみつき消える。代わりにフルカニャルリがこちらに転移され、彼女は「んぎゃ〜!」と叫びながら地面を転がった。
「わ、すご〜! 瞬間移動、私もしたいな」
「ろくでもない感覚であり! いきなり来るから受け身も取れず〜!!」
「運動神経だろそこは」
「ぼくは運動神経よく!」
「へいへい。ま、上手い事削れて相手は時間スキップも出来なくなったんだ。やる気出そうぜ、意地悪はこれからだ」
魔力電池をゴロゴロと転がして運び、あぐらをかいて座って両手と両翼を合わせて魔力を全身から外に放出する。
「キュレルさん、キモい魔法使うんで。巻き込まれたくなかったら離れてください」
「え? いいわよ見せて! 魔法使いとして興味深いわ!!!」
「そっすか」
「ぼくは二度目の突撃の準備に取り掛かるめ!」
フルカニャルリが糸を出しながら木々の中に入っていった。
「さて、そいじゃやりますか」
魔力電池、心臓を動かし運用しているだけの死骸の肉の塊から『涅』を供給し、そのまま体外に放出する。オレの周囲の空間に死の魔力が充満し、冬にも関わらず元気に生え揃っていた緑がどんどんと枯れていく。
「なに、この感じ? なんか嫌な気配……」
「うんそのセリフ、敵が襲ってきた時のセリフなんすよ。私味方なんですけど」
「……なにする気?」
「さあ。私に殺されたり、シガギュラドに殺されたりして悔しい思いをした人達のリベンジをさせてやるんすよ。死者だってやれば出来るんだぞ〜ってね」
ナワリルピリでは無いが、無念のままに殺された人達にも活躍の場は設けるべきだもんな。普通に死者の冒涜ジャンルになる魔法だとは思うが、見せ場を用意したって事にすりゃ許してくれるでしょう。
「厄災解呪。牟限尸酷淵」
かつてオレを苦しめてくれた一万年熟成の死に損ないゾンビの技を使う。
地震が起こる。大地が、枯れた木々が、既に命のない亡骸が、生者の皮膚が、眼球が、爪が、その全身が震え出す。
「な、なにこれ!? 私の体まで震えてる!?」
「形あるもの全部を門にして地獄にいる人らをリクルートする魔法なんで。効果範囲内にいるってことで、キュレルさんも全身ももれなく亡者の出口って事になりますね」
「え、え、え!? なになに、いやあああぁぁぁっ!?」
キュレルさんの腹、胴体、口の中から別々の亡者が出てきた。勿論キュレルさん本人に害は無い。オレが敵として捕捉しているのはシガギュラドだから、亡者達は悲鳴をあげているキュレルさんには目もくれずシガギュラドの方へ向かっていく。
無数の亡者がオレの周囲から召喚されシガギュラドへ向かっていく。
死ぬ直前の姿のまま来るからか、鎧を着込んだ亡者や裸の亡者、普段着のままの亡者すらいる。ゾンビパニックを意図的に引き起こす事が出来る魔法といったところか。
「魔力の減りが凄まじい……貰っといてよかったな、魔力。キュレルさん」
「おぶええぇぇぇ、目から出てくるのはやばくない!? 目から出てくるのはやばくない!?!?!?」
「別にキュレルさんの体に害ないんで、本当に通り道にしてるだけなんで大丈夫ですよ。痛みとかないでしょ?」
「光景がショッキングすぎるんですけどぉ!!!」
「VRゲームやってる感覚で楽しんでくださいな」
「なにそれぇ!?」
「それよか、ここに居るんなら私の手伝いをしてください。後ろの小屋に肉団子が幾つも入ってるんで、こっちの肉団子がカラッカラの干物になったら随時補充お願いします」
「えぇやだそれも気持ち悪い!!」
「お願いしますよ。私、この魔法の発動中は自由に身動き取れないんすよ」
「ううぅぅぅぅ……ヒグンの今の仲間って聞いたから近付いたのに、貧乏くじじゃん私ぃ……」
泣きながらキュレルさんは小屋に入っていった。
シガギュラドは真っ直ぐこちらに向かってきているが、冒険者達も前方に固まり防いでくれているから進行は滞っていた。
特にヒルコッコさんとフルンスカラさん、ルドリカさんとロビンソンさんのタッグ組が良い働きをしてくれている。
ヒルコッコさんがバリアを泥かなんかに置換転移させてそこをフルンスカラさんが殴り抜き、その空いた隙間にロビンソンさんが弓を撃ち込んだりルドリカさんが爪を入れて引っ掻き回したりしている。
この四人の働きでバリアが強化されたシガギュラドでも一応のダメージを入れられているようだ。もう少しでオレのゾンビ兵軍団もシガギュラドと接触する、押し切れるかもしれない!
「またブレスだ!! 防御だ!!!」
いち早くシガギュラドの予備動作から次の攻撃を予測したログズバルトさんが魔法使い達に呼び掛ける。全員が一箇所に固まり、魔法使い達と結界術師達の傍に着き、ヒルコッコさんが妖精の魔力分配能力で彼らに魔力を分け与えて詠唱を始める。
「っ!? やばいっ!! 『肉体硬化』、『金剛合一』!!」
異変を察知したヒグンが魔法使い達の更に前に出て二つのスキルを使う。
シガギュラドは特大のブレスを放つのをやめ、威力を抑えたそこそこのブレスを放つ。それは強化されたヒグンなら防御出来る程度の威力だったが、シガギュラドはそのまま何発も何発も小刻みにブレスを放射した。
炎の流星群とも言える無数の炎弾が冒険者達に差し迫る。防御系の魔法はそこからじゃ間に合わない、オレの方までは届かないが、これでは甚大な被害が出る!!!
「うおおぉぉぉっ!!」
「フルンスカラ!」
フルンスカラさんが飛び出して炎弾を素手で弾き飛ばした。素手で。炎弾、規模は小さいとは言っても火山弾ぐらいの速度と質量はあったんだけどな。
「ヒルコッコ、魔力はもっと必要な奴に回せ! この程度の攻撃なら俺が防ぎきってやる!」
「ふどぅんすかだ……?」
「あと、ら行ちゃんと言えるようにしろ! お前さっきからなんか話しかけてきてるけどさ、何を言っているのか全然分からん!」
「ははっ、女の子に良い所を見せたいかフルンスカラ! 彼女さんもいるってのに、浮気か!?」
「人聞きの悪いこと言うなよヒグン! 俺はな、お姉さんに授乳プレイしてもらうのが好きだ!!!」
何言ってんのあの人。
「ヒルコッコは背負ってる時に思ったが貧乳だ! そもそも体がナメクジみたいだから、そんなに反応しん!! 多少勃った程度だ!!!」
「しつでいだど。あだしはお姉さんだ」
「肉体がロリでは意味がなあああぁい!!!」
本当に何言ってんだあの人。一発でも弾き漏らせば誰か死ぬって状況での発言が気持ち悪すぎるだろ。
「ロリっ子だっていいだろうが! 貧乳だっていいだろうが!! 案外反応するもんだぞ、なんたって"女体"ではあるんだからな!!!」
「黙れロリコン!」
「うるさいぞ変質者!!」
二人とも変質者だが。なんでそんな軽口叩きながらどんどん加速して射出音が機関銃みたいになってるマグマ弾を弾き飛ばせるの? 攻撃してきているシガギュラドも絶対困惑してるじゃんね。
「ついでに気になっていたんだが、お前ってお姉さんが性癖なんだよな?」
「おねショタが趣味だ! お姉さんに意地悪な事をされて悔しい思いをしたと思ったらドロドロに甘やかされて情けなく溺れたい! お姉さんの体に!」
フルンスカラさん、ヒグンよりも身長あるから多分190センチ超えてんだよな。筋肉も立派なイケメンマッチョだし。絶対ショタとしてお姉さんに甘えられるスペックでは無いだろ。
「良い趣味だ! という事はだ、お前の彼女さんって結構着痩せするタイプなのか? 身長はそこまで高くないし、胸もそこまで大きくないよな」
本当に最低な話してない? 後方で避難していたサーリャが突然自分に矛先を向けられたもんだから「えっ!?」って驚きの声を出していたが。
「どうなんだ? 巨乳隠しダウナー系ボーイッシュお姉さんだったりするのか?」
「いや、サーリャはちゃんと貧乳だよ。時々パッドを詰めて大きくみせたりもするなあ」
やめてやれ。
「そうか。……マルエルはすごいぞ! あんなに小さな体なのに胸がこぉんなに大きくてな!!! 本人は気付いてないみたいだがな、添い寝してきた時にアイツが寝た後に胸の間に手を入れたり顔を突っ込んだりするんだがもうふわふわのほわんほわんで」
「アイツ、これが終わったら一回まじでパイプカットしてやろ。二日ぐらい回復せずに放っておこうかな」
「ヒグン、巨乳の方が好きなのかなぁ」
「真に受けなくていいですよキュレルさん。アイツ女体だったら多分なんでも好きなんで」
ゴロゴロと魔力電池を転がしながら密かにしょんぼりしていたキュレルさんを励ましてやる。
そうこうしている内にシガギュラドの炎弾が終わった。全ての攻撃を弾き終えた二人には所々火傷があり、素手で弾いていたフルンスカラさんは両手が火傷で無惨な事になっていた。
シガギュラドが再びこちらに向かってくる。あちらもこちらも、もう大分消耗して気力で戦う段階に移っていた。
「スキル、死体加工」
呼び出した亡者達に死霊術師のスキルをかけて融合させ、数体の巨大な兵に作り上げる。あともう一歩にシガギュラドの首に手がかかる、これまで何もせず見ていた分、働きで返さないとな!




