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51頁目「女子トーク」

「しなかったのめか!? 昨日!?」

「デカいんだよリアクションが! 周りに見られるだろうが!」



 翌日、フルカニャルリと街のスイーツ屋さんに趣き二階の席で座って話していたら急にフルカニャルリが大声を出した。やめて欲しいよねホント。人の目があります。


 ヒグンはメチョチョと依頼行っている。すぐ終わる簡単な依頼という事なので、大所帯でもしょうがないしとオレ達は留守番である。



「あ、有り得ず! ちゃんと前もって早めに寝るって伝えておいたのに!」

「だーかーら、いきなりそういう事をするわけないだろって。発情期かって話だろ」

「人間は年中発情期と聴いためが!?」「声、声」

「ちゅーまでして何も無く!? ひとつ屋根の下の男女で!? 普通破瓜を済ませてる頃合いめよ!?」

「だから声。ねえ、見られてるって。私ら服のせいでちょっとした有名人なの意識してよ。また変な噂を立てられるって」

「噂?」



 フルカニャルリが首を傾げる。仕方ない、ここはこの街で流されている根も葉もない醜聞を一部掻い摘んで教えてやろう。



「例えばヒグンは、何人もの女を従えて自分専用の性奴隷にしてるとか」

「別に当たりであり」

「外れだよ。アイツ童貞だろうが」

「? でもこの前咥え」「待って? 知らないよその話。ちゃんと教えて? なに???」



 話を聞いた。なるほどなるほど。本当にこの痴女ロリ、ヒグンとそういう事をするのには前向きらしい。そしてヒグンも本当に、もう既に性欲が限界に達していたらしい。

 童貞ではあるが、童貞でしかないという情報を得た。



「後で絶対本人に詰めてやる……」

「ぼくの口ちっちゃいから苦労しため。苦いし」

「いいよその話は! ったく。他のを出すと、私なんかは朝昼夜の世話をしている娼婦みたいに言われてるし」

「夜はしてるめよね」「してねえわ」

「え? でもよく同じベッドにいため」

「それは……ただの添い寝だろ。世話とかじゃねえよ」

「そう? 前、マルエルのパンツの下にヒグンの手があってバッチリ直にお尻が触れてるみたいなのを目撃しためが」

「あああれはっ、ほら、賭けで負けたからってのでさせてあげただけだから!」

「ヒグン言ってたけど、あの出来事から加速度的に悶々とするようになったらしいめよ?」

「知らねえよ自制しろよ。私のせいではないだろ……」



 てか考えてみるとアイツ十分男としては役得な立ち位置にいるじゃん。性欲悶々とさせてるって言うけど、一人で妄想して抜き放題じゃん。オレらの存在にケチつけてないで一人で発電所に転職してろよ。


 ……あっ、今までは自分の部屋が無かったからそれも出来なかったのか。



「他にはどんな事を言われてるめ?」

「あー。まあフルカニャなんかは、アイツと子供作りたいって大声で公言してるもんだから、そういう行為をしてるって噂はよく聞くな。服装も相まってな。んだよそのセンターチャック」



 フルカニャルリのホットパンツの股間真ん中にあるチャックを指さす。


 まあ普通のホットパンツにもある部位ではあるが、基本こういうのって上から布で隠れてるよね。それがチャック部分丸見えで、しかも尻の方まで伸びてるし、生地はエナメルレザーだし、もうエロ系の意匠にしか見えないんだよな。



「これ、おしっこする時便利めよ」

「トイレかお花摘む時って言いなさい。ここは食べ物屋さんですよ」

「ごめんなさい。あ、てか、その噂も部分的に本当めよ!」

「は? なにが」

「ヒグンとぼくがエッチな事してるって噂」

「あぁ。まあ……咥えたんだろ?」

「その他にもあり!」

「えっ。……処女って言ってたよね?」

「処女であり」

「?? どういう事」

「抜け駆けしたらマルエル悲しむかなって思って入れたりはせず、お尻とかお腹とかおっぱいとかにか」「やめてやめて! 聴きたくないなあフルカニャの口からは! グロいなあ! ロリがそういう事言うのグロいなぁ!?」

「声が大きく」



 怖い怖い!! こんないたいけな少女相手にな〜〜んてことしてくれちゃってんのアイツ!? イカれてんの!? ここが日本なら無事逮捕ですけど!?



「どうしたの。大丈夫めか? マルエル……?」

「フルカニャ。身長、体重、性別を教えてくれ」

「え? えーと確か、身長は137センチで体重は38キロ、だっけ。性別は人間のメスめ」

「ああグロい! グロい!! 数字がグロすぎる、おぞましい!!!」

「……大丈夫?」

「いいかいフルカニャ。一旦その容姿を忘れて大人の尺度で考えよう。ヒグンは身長確か188とかだったんだよ」

「そうなんだ。少し平均より大きいくらい?」

「10センチくらい上回ってるわ平均より。アイツが街歩いてたら対向から来る人大体大袈裟に避けてくだろ」

「そうだっけ? あまり人の流れとか意識しないゆえ分からず」

「そっか。まあいいや」



 フルカニャルリの前に二つの手で人を作って見せる。



「いいか? こっちがヒグン、188センチの巨漢。でこっちがフルカニャ、137センチのロリ。身長差51センチ。凄いなあ、広げた新聞紙くらいの身長差だよ」

「新聞読まず」

「この世界ほぼ唯一の情勢を記した情報媒体なんだけどな。読まないのか、やばいなお前」

「そんなのヒグンやマルエルがしっかり読んでるから問題なく。気になる項目あったら教えてくれるし」

「まあそうだが、こんな話は一旦置いといて。見ろ、フルカニャ」

「?」



 両手をごっつんこさせる。最早縮尺で言えばフルカニャルリは人差し指と中指を立てた人じゃなくてただの親指でいいだろう。


 親指を机に寝かせ、その上にもう片方の手で作った人を乗っける。



「見ろ、この見た目。グロいだろ、性的虐待の現場だろこれはもう」

「……何してるめか?」

「現場検証してんだよ。妖精だから人間の常識を知らないフルカニャルリに親切で教えてやってんだろうが。ほら見ろ。ヒグンは頑張って腰を振ってます。オラッ! オラッ! 孕めオラッ! フルカニャの口から絶え間なく出る嬌声。あーんいくいくいくー。はい。児童虐待の性、犯、罪」

「……頭、大丈夫めか?」



 フルカニャルリがオレの額に手を当てて、自分の額の温度と比較しながら心配そうに言ってきた。そうだな、調子乗りすぎたわ。完全に男子高校生のノリだったね。



「とにかくだ。見た目的に良くないだろ、実年齢が400歳超えててもさ」

「なんで?」

「なんでって、だって子供の見た目だし」

「この大陸では結婚して子供を産んでいい歳は13歳からって言われており。ぼくの容姿、大体同じくらいじゃない?」

「圧倒的に若いよ。3歳くらい若いだろお前の見た目じゃ」

「そんなこと無く。というか、マルエルってそこら辺の価値観が周りの人間とも合わない気がするめ」

「? 何の話だよ」



 今度はフルカニャルリが語り出す。また人間語りモードか? ケーキをつつきながらフルカニャルリは続ける。



「冒険者同士で子供を作ってしまうなんてよくある話め。子供でも貴族階級で無ければ知らない人に子を孕まされたり、遊びで孕んじゃう事もあるっていいめす。あまりにもそういう子が多いから、育てられない子供を保護出来る施設や組織も沢山作られていて、比較的人間は種を増やすのに肯定的だとぼくは感じるめ」

「い、いや、それとこれとは……」

「同じ事であり。同じ屋根の下に男女、こんな環境があったら普通の冒険者なら寒さに耐える為とか退屈を紛らわす為とかで交尾をしたりするめ。現にエドガルとルイスも、屋敷でそういう事をしていため」

「そうなの!?」



 し、知らなかった。そうなのか……こっちには進んでるんだなとか言っておきながら、何よりも爆速に進んでいるじゃないか。



「他の冒険者のやり取りを見てもそういう"色"が見える事は多々あっため。むしろぼく達ぐらいでありよ、三人中三人が、今はメチョチョ加わって四人だけど、全員が未経験なんて」

「それは、さ……」

「15歳になったばかりの冒険者も結構いるめが、そういうのを経験した色をしているのがほとんどであり。つまり、普通の人間はあまりそういうのをする事に関して抵抗は無いと推測するめ」

「いーや! それは違うね! そんなの冒険者界隈だけだね!」

「じゃあ冒険者界隈から見てぼく達は相当な異端であり」

「うぐ……」



 そうなるか……。

 いやまあ確かに、オレが持ってる貞操観念ってのは法整備とかされた現代日本の貞操観念であって、文明レベルが大分昔に戻っていて違う歴史を歩んでいるであろうこの世界に適用しても仕方ないものだと分かってはいるのだが。


 それでもなあ……。やはり貞操観念というのは変え難い価値観だ。郷に入って簡単に長いものに巻かれられるものでも無い。親しんだ法律がやはり肌に馴染むというかな……。



「それに、昨日みたいな場面があったら絶対に交尾する物だと普通思うめよ。後日エドガルとかに聞いてみると良く。絶ッ対驚くめ」

「驚くかなあ……」

「驚くめ。というか、ヒグン可哀想〜って言われると思い」

「そ、そんな事無いだろ!」

「あり。マルエルは潔癖症が過ぎるめ」



 そう言われても、だって現代人ですし。そんなヴァイキングみたいなノリでポンシャカポンシャカ子供なんか産めないってーの。


 百歩譲って避妊具の発明がちゃんと進んでいたなら全然体を許しても良かったよ? でも全然進んでないじゃん。生き物の内臓とかをコンドーム扱いしてるじゃん。誰がそんなの股に突っ込みたいんだよ。



「マルエル達が勇気を出さないとぼくも手を出せないので困り。手っ取り早く一線を超えてほしく」

「お前なあ……。前から言ってたけどさ、なんでお前はヒグンと子供なんて作りたいの?」

「ふぇ?」

「異性として好きでは無いんだろ? だったら意味分からないだろ、これまで処女貫いてきたのに急に子供を作りたくなるなんて」

「……」

「フルカニャ?」



 軽い質問のつもりだったのだが、フルカニャルリは机に向かって目を細めると小さな音を喉の奥から絞り出すようにして思考し始めた。


 ……? あれっ。なんか、なんだか、フルカニャルリの鼻の頭あたりから横一線が、ほんの〜り赤くなっている気がするぞ? なあにこれ。



「……考えたけど、ぼく、もしかしたらヒグンの事好きかもしれないめ」

「えっ」

「分からないめ、そんな感情にこれまでなった事ないので。でも、ヒグンはぼくがこれまで受け取ってこなかった物、初めての物を沢山教えてくれるし、してくれるめ。……誰かに個として認められ、大切にされた事なんて皆無だったし」

「エモ」

「いつの間にか無意識にヒグンを目で追うようになり。前は体が健康だし頑強だから、強い種を残すのも一興かって意味でヒグンと子供を作ってみてもいいって言ってたけど、今はもっと……言語化は出来ないけど、もっともっとずーっと強い意志でヒグンとの何かを残したいって思っており。その結果の一つが、子供め」

「エモ。てか、重……」



 思ったより重めの矢印がヒグンに向いててびっくりした。アイツバチくそモテてんじゃん、童貞キャラやめろよもう。



「しかし、問題があり」

「問題?」



 フルカニャルリがオレを正面から見据える。……うっわ、顔あっか。本人はそれを知らない感情だって言うけど、完全に恋してる乙女の顔してるじゃん。



「人間は、この大陸のこの街の人達は基本一人の妻に一人の夫という暗黙の了解があるめ。つまり、ヒグンとマルエルが互いに想い合っているのなら、ぼくには手出しできないという意味でありな」

「あー。それは別に大丈夫じゃないか?」

「えっ?」



 唖然とした顔をするフルカニャルリ。だがよく考えてほしい、オレ達のパーティーの最終目標として掲げられている、欲望一色の抱負を。



「ヒグンはハーレムを作る気なんだぜ? ハナっから誰か一人とだけゴールインするつもりは無いだろ」

「! 確かに!」

「だろ? いいじゃん、私と同じ相手を好きになろうがそれがヒグンなら。今まで世間に吐いてた嘘が真になったってだけの話だろ」

「め、め……でも、マルエルはそれでいいの……?」



 心配そうな顔で聞いてくる。そんな顔されてもな、ぶっちゃけオレの男の価値観で見たらヒグンの願望も全然分かるし。それに強い嫌悪感を抱く様子も無いんだよな。



「フルカニャルリが相手ならって話かもしれないけど、私は全然問題ないよ。むしろ初めからそういう話を持ち掛けられたんだ。私の告白を聞きいれて私に入れ込んで他をおざなりにしたら、本来見たかった景色と変わってきて退屈になる可能性高いしいいと思うよ」

「おぉ……!」

「フルカニャは? 独占欲とかは無いの?」

「あり!」

「あれ〜私らの仲に亀裂入っちゃった〜」



 あるのかよ、独占欲。流れ的に「ぼくもそれでよく〜!」って言う所だろ。思い切り女としての自我が芽生えてんじゃん。



「でもぼくもマルエルだから嫌な感じはせず!」

「あっ、丸い着地の仕方。滑稽なキャットファイトに展開が転がんなくて良かった〜」

「それにヒグンの始めてもマルエルに譲るめ」

「おっと。ごめんね、そういう話題は女子トークでは普通なのかい? オレ中身男なもんで。ビックリしちゃった今」

「知らず。人間の事はマルエルの方が詳しく」

「じゃあ多分どっちが童貞貰うかみたいな話はしないと思う〜」

「でも重要な事め」

「そうかなあ……」



 別にオレはヒグンの童貞の有無に関しては拘りないけどなぁ。



「でもその変わり、自由にヒグンとイチャつく許可が欲しく」

「……ほう」

「ぼくとマルエルは気持ちを共有しているめ。つまり、話の流れでそういう下りになるのではなく、ぼくが自らヒグンに対し発信したそういう言葉は嘘偽りない真実の要求であると、マルエルも気付けるはず」

「ふむ」

「ぼくもマルエルがヒグンとイチャつく分には邪魔をしたりは……分からず。心がモヤっとした時、変なタイミングで話しかけちゃったりするかも」

「するのかよ」

「で、でもっ! 他人に求愛行動をするなんて初めての事なので、あの、出来れば邪魔はしないで、ほしく……」



 声が恥ずかしそうに萎んでいく。思ったより本気で恋してるじゃん、なんだこれ。急転直下でオレら一斉にアイツに堕とされてない? なに、魅了(チャーム)かなんか使ってんの? アイツ。



「分かった。邪魔はしないでおくよ。お前がアイツを好きだったってんなら、オレがした事こそむしろ抜け駆け行為だもんな」

「! やったあ! 嬉しく!」

「あはは。……でも人前で脱ぐとかは駄目だぞ?」

「せず! あ、それと! 同じくらいマルエルの事も大好きなので、マルエルとのエッチも許可してほしく!」

「……ん?」

「マルエルの事も女の子として好きなので、エッチを許可してほしく!」

「……声でかいねえ」



 いやそうはならんやろ。やっぱり全然人間と違う生き物だったわ妖精。


 あんなに恋する乙女みたいな顔でヒグンを想っておきながら、同じような顔でオレを見れるか普通? 心臓並列で設置してんの? デュアルモーター式の恋煩いしてるじゃん。デュアルモニターで推し活してるじゃん。



「返事は!?」

「……残念ながら、中身が男だしロリコンだから、真に残念な事に……嬉しい許可……!!!」

「やったあ! 早速今日エッチしようね!」

「声がデカい。あと、この後サキュバス屋さん行く? どんなおもちゃ買おっか」

「あれ。マルエルが急に変態の時のヒグンみたいになっため。ちょっと怖く」



 もう手遅れである。絶対に逃がさない、前々からフルカニャルリの格好といい肉付きといい、普通に性欲疼かせる物があったからね。

 相手から許可が降りたのならもうノンストップだよ、止まらないよ。今日は楽しむ事にしました。やったー!

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