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破壊者の幸せな一生。  作者: さんまぐ
破壊者の子供達。
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第80話 新生・ゲーン探索団。

コイヌとリユーは甘え倒してズオーと風呂に入りズオーに寝かしつけてもらう。

申し訳なさそうにするマリアにクオーの父母は「いいんだよ」「本当、これであの子にも父性が芽生えて結婚をしてくれたら助かります」と言う。


戻ってきたズオーは「兄上は本当に好かれて居たのですね。ずっと兄上がこの家でどうして居たかを聞かれました」と笑う。


「はい。子供達にはクオー様は私達を守るために赤い光の巨人になったと教えました。子供達はクオー様を敬っていますし、街の人達もクオー様を崇めてくれています」


落ち着いたところで使用人達も来てズオーがマリアに「コイヌとリユーから聞きました。剣を…握れるのですね」と聞いてきた。


「はい。最後の日、クオー様は私にコイヌとリユーを任せると言って聖女の吐息で腕を治してくださいました。常人でしたら死に至る事ですがクオー様は事もなく治してくださって死地に…家族の元に赴きました」


マリアは涙ながらにクオーの…ゲーン探索団の最後の日を説明する。


「ごめんなさいね」と謝ってからクオーの母は「夫としては最低でも、ジン家の男としては最高の最後です」と続けてマリアも「はい。だから私はクオー様に惹かれました」と答えて泣いた。

使用人達も泣いてクオーを惜しむ。


滞在中はコイヌとリユーは基本動作を教えて貰い「1番大変なのは継続だよ。私やリユー兄さんが弱音を吐いて休んでしまった日も兄上…クオー兄さんは休まなかったんだ」と言われて基本動作を反復練習させる。

ズオーは身体を壊さないように気をつけてトレーニングさせたがクオー譲りの筋骨は壊れる事を知らなかった。


コイヌとリユーは年に2回ジン家に10日ずつ訪れてズオーから新たな技を授かり鍛える。


リユーが九つの時にコイヌと2人がかりでズオーから辛くも1本を取り、それから3年後にコイヌ、リユー共にズオーと一対一で1本を取ることが出来た。


この日にコイヌとリユーはクオーの人生を聞き、理不尽な最後に怒りを覚えた。


だがクオーと違うのは既にマリアがパーティーの中でクオーに贈った言葉があった事。

それにより他者を理由に破壊者となってはいけないと……心は高潔なまま純粋な武力を得て居た。




ナクリーとマットゥモもコイヌとリユーと訓練を積んで強くなり、ある日コイヌがケーミーにお願いをした。


「ケーミーお母様、私達にもカケラを授けて」

「コイヌ?何考えてんの?」


ケーミーもコイヌを娘と扱い、コイヌもケーミーを母と思っている。


「お父様達を休ませて差し上げたい。多分お父様とハイクイお父様なら中にお父様とハイクイお父様以外の人達を残してくださってる。それをジン家で埋葬して差し上げたい」


この言葉にケーミーは窓の外を見て「アンタ…、あれと戦うの?」と聞いた。


「はい。リユーもやる気です。イーウィニャ姉様はカケラの事はケーミーお母様に聞けと教えてくださいました」

止めずに道を示すイーウィニャにケーミーは「あのバカ…」と言った後でコイヌに「死ぬよ?」と言う。


「死にませんわ!私はコイヌ・ジン!ジン家の人間は決して挫けません!」

「クオーみたいなこと言って…、イーウィニャみたいに婚期逃すよ?」


「ならマットゥモに貰ってもらおうかしら?」

「えぇ?アンタ可愛いけど嫁になるのはなぁ…」

このやり取りにコイヌは嬉しそうに「あはは。なるようになりますわ!」と笑った。


ケーミーは大きく息をつくと「オッケー、買い付けると弱っちいから力場が生まれたら取りに行く。ボラヴェンも大鷲の目が無いから取らせなきゃ、マリクシは相変わらず速いから先に行かせて…」と言い始めた。


「ケーミーお母様?」

「はぁ?アンタ達だけじゃ話になんないからゲーン探索団を再結成するんだよ」


この後は早かった。

ウーティップはショークを通じてズエイ・ゲーンの財産を引き上げてゲーン探索団で配分して居たので誰一人として働かなくても済むだけの蓄えはあった。


それが故、再び神のカケラを手にしクオー達を眠らせる。この事に皆が燃え上がった。


力場の発生はウーティップが領主権限で押さえ込み片っ端からケーミー主導の元で狩り尽くさせる。



インニョンは聖母の抱擁と言うAランクのカケラに選ばれる。


「ケーミー、これって何?」

「これ、かなり凄いよ。戦闘に使えはしないけど無尽蔵にカケラを持ち歩けるんだ。だから戦闘中のカケラの交換も可能になるし、カオス・フラグメントから剥ぎ取ったカケラをぜんぶアンタが持てば籠まで逃げる必要もない」

この説明にインニョンは「皆、任せてね!」と言って燃え上がる。



最初の力場から半年かかったがリユーは風神の乱気流に選ばれてコイヌは魔神の身体を手に入れる事が出来た。


マットゥモは大亀の甲羅や大蛇の束縛を得て、ナクリーは火龍の吐息や風龍の吐息ばかりだったが目を見張るのはそのどれもと強く結ばれて居た。



最後の希望とは微妙に違っていたのは希望の街は港まで出ないとカケラに食われる事もなく生活することが出来てきて皆の暮らしは変わらないで済み、1年が過ぎてようやくカケラの育ち切ったゲーン探索団はクオーとハイクイを休ませる為に行動を開始した。



共和国と王国に赴きカオス・フラグメント討伐の許可を取る。


共和国は島の守り神に等しいカオス・フラグメントの討伐には難色を示したがウーティップは民衆にクオーやゲーン探索団の皆をクオー達の子供やゲーン探索団が救う話をして許可を得る。


王国はショークの推薦もあり、12年もカケラを手にする事が出来ていない事から二つ返事で許可が降りた。


隠居していたかつての国王は堂々と「我が名はコイヌ・ジン!」「我が名はリユー・ジン!」と名乗りを上げて「父を救う許可を頂きに参りました!」「カオス・フラグメント討伐のご許可を頂きたい!」と話す2人を見て涙を流し、帰り際に「そなた達の父上は立派な男であった。時勢が活躍を許さなかった事を余は残念に思う。父上を救ってやるがいい」と言葉を送っていた。

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