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破壊者の幸せな一生。  作者: さんまぐ
破壊者の子供達。
78/82

第78話 叔父、姪、甥。

夜が明けて、ウーティップ・チェービーが最後の希望に降り立つと「全て知っている。全てあの時クオー君が教えてくれた」と言った。


これは後日わかる事だが、クオーとハイクイの宣言は本土にまで響き渡り、謀殺を試みたブァーリは国民から非難を受け、国王からも責任を取り事態の収束をしろと命じられる。


カオス・フラグメントの火炎岩は必ず1日に一度だけ本土に向けて放たれたがそれは今のところ人の居ない土地だったが角度を変えれば城に直撃出来る物だった。


そして必ず火炎岩の後にはブァーリを許さないという声が聞こえてくる。

これはブァーリを差し出すまで止まらない事を意味していた。



海が落ち着くとハッピーホープの経営者達は我先に逃げようとしてカオス・フラグメントの攻撃で船を沈められる。

決して無差別攻撃はせずに警告と同時に攻撃が行われているが3日目には「明日からは周りにいる者も殺す」と言われてしまい死にたくない連中から無理矢理袋叩きのかたちで街の外に放り出された経営者達は毒針で苦しめられて骨も残さずに焼き尽くされた。

これはズエイがされた事への復讐だと最後の希望では言われていた。



ブァーリは恐怖に怯え数日で痩せてしまう。

周りからはブァーリを生贄にしろと聞こえてきていつ暴動が起きてもおかしくなかった。

その恐怖を誤魔化す為に討伐隊を編成し欲望の島に向かわせたが何一つ成功しない。

奇しくもハイクイ達がショークの依頼で育てたカケラ達は逆にカオス・フラグメントに奪い取られ、遂にカオス・フラグメントは希望の街からでも見えるようになった。


そして自業自得だが軍備縮小を謳ったブァーリの為に兵はすぐに底が見えてしまい欲望の島に向かえる余力は無くなる。



ここで発言力を失っていたショークが復権すると「クオー・ジンならばこうなる事は明白だったにも関わらず欲望の島に追いやるだけでは飽き足らず全権を使用し追い込んだ事は知っている!どうするのだ!」と言って追求し、ブァーリとソーリとゾウモウンをショーク自ら欲望の島まで送っていくと「聞け!クオー・ジン!お前の元に怨敵を用意した!民達が怯えている!無差別な攻撃は止めよ!」と言ってブァーリ達を差し出す。


カオス・フラグメントはブァーリ達を鷲掴みすると天高くに投げ飛ばして地表に用意した風刃が激突と同時にブァーリ達を粉々に切り裂いた。




ここで一つの問題が起きた。

クオー達は宣言通り自壊する事なく生き続ける。

そして王国側に力場が生まれると力場を占拠して生まれたカケラは全て取り込んでしまう。


王国側が欲望の島でもっていた産業は全てが台無しになり、女は借金返済の為に島に送られる事はなくなった。



そしてあの日から半年が過ぎた日、ケーミーは男の子を産み、数日後にインニョンは女の子を産んだ。


ケーミーは男の子に「マットゥモ」と名付け、インニョンは女の子に「ナクリー」と名付けた。


コイヌは始めはクオーの不在に泣きはらしたがボラヴェン達が決して寂しがらせないようにし、「クオーならば」「クオーの喜ぶ子供に」と言って育てていく。


コイヌは「お父様の話を聞かせて!」とよくせがむが皆して「どうする?どの話も破壊した話ばかりだよな」「腹の肉をむしった話とかダメだろ」と言いながらも強く愛国心に満ちた男だったと、そして島の真ん中で見守っている赤い光が父だと教えていた。


カオス・フラグメントは宣言通り、経営者達とブァーリ達を殺した後は力場の発生以外は大人しい。

こうなると共和国側からは救国の英雄達が謀殺の果てに家族を守る為にその身を変えた証として観光名所のようになり、あのゲーン探索団最後の日にはお祭りが催されるようになった。



一度だけ、マットゥモとナクリーが3歳の時にカオス・フラグメントは希望の街を攻撃した。

それは王国側…ブァーリの親族に雇われた暗殺者がマリア達を狙っていたからで、街に入り武器を構えた瞬間に大蛇の束縛で握りつぶされていた。


クオーの力だと察したマリアは涙ながらに「見ましたね?コイヌ、リユー、お父様はいつも私達を守ってくださっているのですよ。悪い事を行わず恥じぬように生きましょう」と言うとコイヌもリユーも「お母様、本当にお父様はあの光の巨人なんですね!」「私達のお父様は凄い方です!」と喜んだ。


インニョンもナクリーに「見てたよね?あれはクオー。でも一緒に中にいるお父さんも私達を見てくれてる」と言った後でカオス・フラグメントを見て「ハイクイ!見てるよね?ナクリーはこんなに大きくなって可愛いよ!」と言う。


ケーミーは少しだけ違う。

誰が何を発動させたかを見て「あの大蛇の束縛はクオーとダムレイの合わさった物。マットゥモ、お前のお父さんもあの中で見守ってくれてるんだ。頑張って強くなるんだよ」と言葉を送った。



この話はすぐにショークの耳に入る。

ショークはブァーリの愚行に負い目を感じていたのである策を講じた。


リユー5歳の誕生日。特使としてショークはウーティップと共に希望の街を訪れる。


港でマリアと待っていたコイヌとリユーはウーティップを見つけると「お爺様!」「こんにちは!」と駆け寄って胸に飛び込む。


ウーティップの胸に飛び込むコイヌとリユーはとても愛らしい。2人ともどこかしらクオーに似てきていてウーティップはマリアとクオーは確実に愛し合っていた事を実感する。


「やあ、元気にしていたかい?今日は特別なお客様が居るからキチンとご挨拶できるね?」

「はい!」

「あちらの方ですか?」


ウーティップの後ろの老人は「こんにちは。私はショーク・モー。君達のお母さんやお父さんの古い知り合いだ。そしてこちらの方は君達が今一番会いたい人だ」と言って横の大男を紹介する。


大男は身をかがめると「はじめまして…ではないのだけど君達は覚えていないよね。はじめまして。私の名はズオー・ジン。ジン家当主だよ」と名乗った。


「ズオー?リユーみたいな名前ですね?」

「ジン?僕達と同じですね」


ズオーはここで耐えられずに大粒の涙を流しながら「そうだね。私は君達のお父上、クオー・ジンの弟。ズオーだよ」と挨拶をして「もっと近くで顔を見せておくれコイヌ、リユー」と言って2人を抱き寄せた。


「お父様の弟?」

「ズオーさん?」


ズオーは涙ながらにカオス・フラグメントを見て「兄上、遅くなりました。ショーク様のお力添えのお陰で再びお会いする事が叶いました」と言い、手を合わせた後で「兄上には遠く及ばないが父や母からは兄上に似てきたと言われるようになったんだ。兄上の代わりは無理でも抱き締めさせてくれないかな?」と言ってコイヌとリユーを抱き締めてから2人を肩に乗せる。


「わぁ!」

「高い!」


コイヌとリユーは大はしゃぎでズオーに「ズオー様!お父様とどちらが大きいのですか?」「お父様ですよね!?」と聞くとズオーは「兄上は偉大だったから私は足元にも及ばないさ」と言う。


優しく語るズオーの前に近付くのはマリアで「ズオー様、5年ぶりでございますね」と言って挨拶をする。


「マリア殿、5年もの間…よくお一人で子供達を立派に育て上げてくれました。ジン家はこの恩に報いたいと思います」

「クオー様の妻として当然のことでございます」


2人が話し込む前にイーウィニャが「あー!ズオーだ!」と言って駆け寄ってくる。


「コイヌ!リユー!ズオーだよ!クオーの弟だよ!目の端はクオーとコイヌに似てるし口の形はリユーとクオーに似てるよ!」

「本当ですか姉様!?」

「嬉しい!」


マリアはズオーを見て「ズオー様、私1人ではなく皆で育てました。屋敷にご案内します。インニョンやケーミーの子供達にも会ってあげてください」と言って案内をした。

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