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破壊者の幸せな一生。  作者: さんまぐ
敵を破壊する破壊者。
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第76話 ゲーン探索団の最後。

ハイクイのおかげでウーコンを残した場所はすぐに見つけられた。

だがその場所には紫色になった保育士達の死体のみでウーコンの遺体はなかった。

クオーは大鷲の目で探すと、ウーコンの遺体は街を目指す保育士達に連れて行かれていた。


「愚か者共が!」

「クオー、急ごう」


ハイクイとクオーが追いかけると最後の希望まであと少しと言うところでウーコンは奪還できた。クオーが激怒したのは持ち帰る為に首を切ろうとしたのだろう。ウーコンの首には刀傷があった。



怒り狂うクオーの耳にハイクイの「旦那」と言う声が聞こえてきた。



ズエイが「よお…生きてるなんて流石だなハイクイ」と言い、少し離れた所に何故かレギオンの連中が立っていた。


ズエイはクオーを見て商売人の顔になると「ご機嫌ようクオー・ジン。ワタクシ、投資先を間違えてしまったようです。どこで間違えたのでしょう?」と言った。


「ズエイ・ゲーン。貴方は商売人であり過ぎました。ショーク様とだけ取引をなされれば良かったのにブァーリ等と組んだ事が間違いでしょう」


クオーの返しに笑ったズエイは「手厳しい」と言った後でクオーを睨むが、ズエイが言葉を発する前に「ですがそれも全ては探索団の子供たちのため。そもそもそんな大金を得て何をしたかったのですか?」と聞かれると表情を変えた。


「ワタクシが子供たちのため?」

「見ればわかります。他の経営者達は見る度に装飾品まで変えているのに貴方は数着の服を着回して居る。それは金策の証。食事も栄養価の高いものばかりでした」


クオーの言葉に「よく見て居る。そして本当に手厳しい」と笑ったズエイは「何をしたかったか………、すべての経営者を蹴落としてこの島を全て手中に収める事」と言った。


この発言にクオーの横のハイクイが顔を顰めるがクオーはハイクイの言葉の前に「子供達のためですね。とても素晴らしい事です」と言う。


「…お見通しですか、流石はジン家の男ですね」

ため息をついたズエイにいい加減我慢ができないハイクイが「旦那?」と聞く。


ズエイは最後の希望を一度見てからハイクイを見て「女どもが借金の為に3人の子を産む。それは仕方ねえ。だが生まれてきたお前らにはチャンスがあってもいいじゃねえか。レギオンのマンニィ・パブークなんかは使い潰す事しか考えてねえ。だからそいつらを全部蹴落として金をきちんと稼げば人になれるようにしようとしてたんだよ」と言った。


その言葉に愕然とするハイクイ。

ハイクイが黙っているときにクオーは「それで、この場は?」と聞く。


「キロギーが殺されて運び込まれた。それもただ殺すんじゃなくて袋叩きでだ。いくら仕込んでも情のわく家族を汚されちゃ黙っていられねえってバリジャット、チャーミー、コンレイが剣を抜いて殺された。後ろの4人はその亡骸をお前達に見せる為に居る。



「旦那?そんな事されてムカつかないの?」

「腹は立ってるさ。だがハッピーホープで人になったお前の兄貴衆達、商売道具の女達、そしてハウスのひよっ子共が人質に取られていたらこうするしかねぇ」


ズエイは悔しげな顔で「クオー・ジン。申し訳ありませんがその命を貰えませんか?ワタクシは親の立場で恥を偲んでお願いに参りました」と言うとクオーは少し止まった後で「お断りします。今も大鷲の目で見ました。無駄です。既に全員殺されています」と言った。


ズエイはどこかで可能性は考えていたが旗色の悪さに従っていただけだった。

力無く崩れ落ちると「クオー・ジン…頼めますか?」と聞く。


クオーは「勿論です」と返すとレギオンの4人を即座に殺してキロギー達の遺体を奪還した。



クオーが振り返るとズエイは倒れ込んでいてハイクイが駆け寄って「旦那!?」と声をかけている。


「さっきチクリとやられたからな。遅効性の毒だなこりゃ…。悪かったな。ハイクイ」

「いいって!旦那は俺たちの事を気にしてくれてた!」


必死のハイクイをみてズエイは「お前結構喋るのな…。お前とインニョンの子か…。すげぇ可愛い顔して憎らしい事をベラベラと言うんだろうな…会ってみたかったぜ?」と言うとそのまま息を引き取った。


最後の希望の端では他の連中が状況と隙を伺うばかりで襲いかかって来ようとしない。

クオーはそんな連中を無視してウーコン達の横に5人の遺体を並べた時、クオーはキロギーの遺体を見て「キロギー?君は何を…」と言ってキロギーの胸に手を当てた。


「クオー?」

「ハイクイ。キロギーは炎神の大炎上を飲み込んでいるよ」


そのままクオーが「…私は火が苦手だったが君を迎えたい。共にキロギーの敵討ちをしよう」と言うとキロギーの胸を突き抜けてきた炎神の大炎上を手に取ったクオーは「教えてくれてありがとう」と言う。


「クオー?」

「キロギーはハイクイとダムレイが追いついて来る事を疑わなかった。だから前線基地に火を放てなかったんだ。そこにこの4人が来て、火事を嫌って火を放てないキロギーは死を覚悟して炎神の大炎上を飲み込んで「お前達、俺の体には炎神の大炎上がある!俺の死体を首から切り離したら火が巻き上がるからな!」と言って4人がかりじゃないと運べないようにしてダムレイとハイクイを守ったんだ。そして最後の希望を燃やそうとして、それまでなんとか生きようとしていたが道中に殺された」


説明を終えたクオーは血の涙を流し真っ赤に光っていた。


「ハイクイ、そろそろお別れだ。私の怒りに呼応してカケラ達が暴れ始めた。さあ、聖女の吐息を私に、君はインニョンの元に行くんだ」


手をハイクイに向けるクオーにハイクイは「ん。やめとく。なんかクオーって暴走してインニョン達を殺しそうだし。俺が助けるよ」と言った。

それではインニョンに合わせる顔がないと思いクオーが「いや、それは…」と言うがハイクイは最後まで聞かない。



「クオーが火の制御を苦手としてるから俺もなる。2人で一つのカオス・フラグメントに…、いや、ここの皆…ハウスのチビ達も入れたゲーン探索団でカオス・フラグメントになろうよ。俺はクオーの敵を忘れないように間違えないように力を貸すから全滅させようよ」


この言葉にクオーが困り「ハイクイ…」と行った時、ハイクイは「クオーなら俺の言いたい事、わかるよね?」と聞いた。


「いいのかい?」

「こうまでされて子供とインニョンと穏やかには過ごせないよ。クオーだってそうだろ?」


「ならやろう。すまないね」

「いいって。2人で暴れ…皆で暴れようよ」


ハイクイの笑顔にクオーは微笑み返すと「我が身のカケラ達よ、我が名はクオー・ジン。これより君らと一つになり、この身をカオス・フラグメントへと変貌させる。まずは前線基地まで赴いて全てのカケラを回収し、ハウスの家族達を保護する」と言い、かつてない程空は赤く光った。

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