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破壊者の幸せな一生。  作者: さんまぐ
戦後処理に向き合う破壊者。
66/82

第66話 希望の乙女の剣。

ダンスを終えて賞賛の声を浴びるクオーとマリアの前に国王が現れて「クオー・ジン。忠義の心を見せてもらった。見事である」と言葉を贈る。


クオーはそれだけで嬉しそうに「は!ありがたき幸せ!」と頭を下げて喜びを表すとブァーリが後見人の顔で「武力も王国随一と思われます」とかつてジン家断罪の際に温情をかけたのは自分だとアピールは欠かさない。


「確かに、近衛兵を軽々と持ち上げる実力も見事」

一生日陰者と思っていたクオーからしたら夢のような言葉で思わず目に涙を浮かべてしまう。


ここで話は終わらずに国王は「余はずっと貴公の活躍を見ていた。欲望の島へと赴く前の姿からな」と話し、子供の身で大人の剣術大会に出てリユーと共に優勝と準優勝を手にした事、そしてクオーに想いを告げた令嬢を守る為に破壊者になった事も知っていたと話し、島に渡ってからの活躍も口にした。


それは思いもよらない事だったが「だからこそ会うことが遅く感じる」と言った国王はそのままマリア・チェービーを見て「マリア・チェービー。ひとつ聞かせてほしい」と言うとマリアはキチンと姿勢を正してから「なんなりと」と答える。



「貴公には心に決めた男は居るだろうか?いや、妙齢の令嬢に聞く話ではない事は理解している」


マリアは「いえ、私のような粗忽者を娶ってくださる殿方は共和国にはまだおりません」と返すと国王は「それは良かった」と言う。


言葉の真意がわからなかったマリアに国王は「婚姻の強制は出来ぬが、可能であれば優秀だが言う事を聞かぬ暴れ馬の乗り手になってくれないか?」と言った。

それはクオーを指している事はすぐにわかった。


クオーが「陛下?」と聞き返すと国王は「婚姻は双方の問題でもあるから何も言えぬが、これからもクオーを御して貰い、無闇に力を振るわぬように躾けて貰いたいと思ったのだ」と説明をする。


これに飛びついたのはブァーリで「陛下!それは素晴らしいお考えでございます。王国からの救国の英雄と共和国の希望の乙女が手を結ぶ。民達は皆2人の仲を真似るかのように手を取り合う事でしょう!」と鼻息荒く言う。


遠回しに「クオーに目をかけたのは自分、この場に集めたのも自分、終戦したのも還元すれば自分!」とアピールしているのは言うまでもなかった?



クオーは馬鹿正直に「陛下、私は…私のような破壊者と共に歩く等、マリア殿の気持ちの前に共和国の方々やウーティップ殿から何を…」と進言しようとした時、マリアはそれを制止して「陛下、ありがとうございます。私はありがたくその使命を全うさせていただきます」と挨拶をして困惑するクオーに「クオー様、あなたは皇帝陛下崩御の日に、私の剣…希望の乙女の剣を名乗ってくださいました。これからも剣を握れぬ私の剣でいてくださいますね?」と言った。


それは誰が聞いても告白だった。

クオーは「あの日だけの…」と言ったがマリアは袖をまくりクオーに握りつぶされた歪な腕を見せて「やはり元剣士として剣は握りたいのですが叶いません。ですがクオー様が私の剣であれば心強いのです」と言うとクオーは逆らえないとばかりに「このクオー、忠義の心は国王陛下の元にありますが。マリア殿の剣として生きましょう」と言った。


湧き上がる現場を離れた所で見ていたイーウィニャが「あれ!告白!お姉さんがクオーに告白!」と喜んで、ハイクイはニコニコと「ほらやっぱりお似合いだ」と言った。


流石にダムレイ達も「おいマジか?」「えぇ?結婚しちゃうの?」「うわ、すっげー」「お祝い、めでたい、嬉しい」「結婚式のご馳走ってなにかな?」「…俺も結婚とか出来るのかな?」「わぁ、凄い!」「アンピルも喜ぶね」「コイヌもだよね」と言って驚いている。


ショークと話し終えたズエイは戻ってきてこの超展開に言葉を失っていた。

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