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破壊者の幸せな一生。  作者: さんまぐ
帝国の闇を晴らす破壊者。
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第61話 セーバットの誤算。

「またまた〜、ほら、早く私を王国に案内するんだよ」

まだ状況の読めていないセーバットがヘラヘラと軽口を叩くがもはや意味をなさない。


「クオー、とりあえずおじさんが心配すると困るからお姉さんにあのソファの人を連れて行かせようよ」

ハイクイの提案に「そうだね」と返したクオーは真っ青なマリアに向かって「マリア殿、セーバットの嘘に惑わされてはなりません」と言う。


「嘘?」

「そうです。何が解除薬ですか?その目で実物を見ましたか?効果は見ましたか?」


マリアは半ば放心状態で「…ありません」と返す。


クオーは教え込むように「そうです。無いのです。あれは狡猾な揺さぶりです。惑わされてはなりません」と言う。


万全の策だと思った蟻地獄を使った作戦が肩透かしに終わり、セーバットは青い顔で「え?あるよ?作ったよ?」と言うがボラヴェンは「やだね嘘つきは」と笑い飛ばし、ハイクイも「下手な嘘だな」と言って笑うが目は笑っていない。



「逃す訳ないだろ?」

「お前はここで死ぬんだよ」


そう目は語っていた。


クオーはマリアの肩を持って「皇帝陛下をお連れして保護をしてください」と言うとマリアは今もソファでポリポリと蟻地獄を食べて笑う皇帝を見て「わかりました」と言った後で「ですが蟻地獄の流出…」と続けるとクオーは「ズエイ・ゲーンにご依頼いただければゲーン探索団は帝国から蟻地獄を根絶させましょう。お任せください。蟻地獄を広める者はどうなるか…二度と持つ気も起きなくなるでしょう」と言い切った。


マリアはクオーの言葉を支えにして皇帝を連れて「陛下、我が父にお言葉をください」と言いながら隠し部屋を後にした。


マリアの姿が見えなくなると殺気を放つクオー達にセーバットは涙を流しながら「ある…あるよ…解除薬」と言うがクオーは「ない…ないよ…そんなもの」と言い聞かせるように呟きながらセーバットの右つま先を踏み潰してしまう。


痛みに苦しみながら「ある!あるんだ!だから助けて!」とセーバットが声を張り上げて言うが、ボラヴェンは「知らないよ。どうせクスリなんて蟻地獄だけじゃない。蟻地獄が売れなきゃ次の薬だろ?次のクスリに解除薬が無ければ同じ事だよ」と言うとフランシスコのシュレイカーをセーバットの左手に刺し入れる。


ハイクイは背後からセーバットの頭を持つと「まあ、実物が有れば信じてやったけど今ここに無いんだろ?なら死ねよ」と言ってボラヴェンの刺した左手に風刃を放って細切れに変える。



左腕を失った事で出血の激しいセーバットの腕に注射型の蟻地獄を打ち込むクオーは「これで血は止まるよ。快楽はないよね?さっきアンピルを連れて行った看護師で試したから知っているよ」と言って右脚をコレでもかと握りつぶしていく。


微量の蟻地獄は痛みの緩和が鈍いようでセーバットは痛みに苦しむ。

ボラヴェンはコレでもかとセーバットに剣を突き立てるが致命傷にならない箇所ばかりを狙い、クオーは蟻地獄でセーバットの命を繋ぎ止めていく。


セーバットはずっと「やめて」「解除薬はある」「世の中にある他のクスリの解除薬も作るから助けて」と言っているがクオー達は誰一人としてその言葉を受け入れない。


暫く痛めつけた時、命乞いを続けるセーバットを見てクオーが「…ふむ」と言った。

ハイクイが「クオー?」と聞くとクオーはボラヴェンを見て「コイツの最後に価値が生まれたんだ。ボラヴェン、トドメは外で刺せないかな?」と問いかける。


「良いけど、何すんの?」

「いや、ちょっとね」

クオーの顔は怖いくらい爽やかでハイクイが「ボラヴェン、見てみたい」と後押しをした。


クオーはセーバットの左脚も破壊すると頭を持って謁見の間に出る。

謁見の前ではウーティップが横たわる皇帝の胸に剣を突き立てて殺し、泣き崩れていた。


「ウーティップ殿?」

「クオー殿、陛下は再起不能でした。私の事もわからずに口にするのは蟻地獄とセーバットの名ばかり。そして急にに苦しんだので…」


だから殺した。

忠臣にとってそれがどれだけの事かわからないクオーではなかった。


「お見事な忠義でございます」

「帝国の太陽をこの手で…」


手で顔を覆って嘆くウーティップに「太陽にまとわりつく闇を晴らしました。胸をお張りください」と言葉を贈るクオー。



クオーの顔と声だけ聞いていれば穏やかな会話に見えるが現実は違う。

怒り混じりにセーバットを握り潰して殺しそうになっている。

セーバットは「ピギャぁぁぁ」と叫んで暴れている。


「バカ!クオー!まだ殺すなって!俺んだろ!」

「あはは、クオーは面白いな」


クオーはこのままでは握りつぶしてしまうと思い放り投げる。

セーバットはボロボロの身体で何とか逃げようとするが叶わない。

マリクシ達がセーバットを囲っている。


マリアはよたよたとクオーの前に来ると「クオー様?セーバットは…」と聞く。

てっきり隠し部屋で始末すると思っていたのに生きていたセーバットを見ながらクオーに聞くとクオーは「こんな奴の命にも価値がありました。殺す為の演出です」と言う。


「マリア殿、この破壊者にお力添えをお願い出来ませんか?」

クオーの願いにマリアが困惑しているとセーバットは「ある」「解除薬」「他のクスリも解除薬を作るから助けて」と言っていて聞こえたウーティップは動きを止めてクオーの顔を見たがクオーはウーティップを見て首を横に振ると「先程からなのです。痛みから逃れるために嘘しかつかなくなりました」と言い、ハイクイが「島でも同じだよね?実物があって初めて信用に値するよね?」と続けて、ボラヴェンが「本当、領主様まで騙せるとか思ってるから救えないよね。それにクスリの解除薬?どうせ本気で作らないで新しい薬を作るよね」と言って蹴りを放った。


これが茶番なのは理解できて悩むウーティップだったがマリクシが「領主さんは皇帝さんの介錯が辛かったろ?コイツが生きてても良い事ないよ」と言うと、ウーティップは「まったく、嘘をつくなんてけしからんな」と言ってセーバットに蹴りを放った。

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