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破壊者の幸せな一生。  作者: さんまぐ
カオス・フラグメントと対峙する破壊者。
37/82

第37話 会敵。

目視可能な嵐が収まるとカオス・フラグメントは光る大きな亀の魔物だった。

巨大な姿がどんどん近づいて来るが巨体のせいで距離感が狂う。


まだ会敵距離でないことからハイクイが「亀って走ると速いんだね」と言って驚いていて、ダムレイが「馬鹿!ハク!」と怒っている。


「そう言えばなんでダムレイはハイクイをハクと呼ぶんだい?」

「こっちも余裕かましてんなって!」


常識枠のダムレイがツッコむとボラヴェンが「あー、ハイクイが赤ちゃんの時に世話をしたのがダムレイでそのままゲーン探索団に入れて名前を何回教えてもハクだったからハクって呼んでるんだよね」と教える。


微笑ましいエピソードにニコニコと笑顔で「そうなのかい?」と聞いているクオーに「そうだよ。ハイクイって何回教えてもハクは「い」が苦手なのか「はーくー」って言うからじゃあお前はハクだからなって教えたら急にハイクイって言えるようになりやがった」と言うダムレイ。


このやり取りを不思議そうに見たマリア・チェービーは「自然体ですね」と言う。


「私も帝国兵を見た時にそう思いましたよ」

「同じ人間なのに争う…、でも今みたいに談笑も出来る…。なんでしょう…不思議です」


これには呆れたケーミー達が「不思議がっても戦争してるし、倒せばご飯になるから気にしないって」「本当、クオーとお嬢様は難しい事考えるよね」とツッコむ。


「あの、戦争意外で…戦う以外でお仕事はないのでしょうか?」

「え?わかんないけどさ、俺たちよりお嬢様やクオーが偉くなって作れば良くない?」

「そうだよ」


皆に言われて困惑するマリア・チェービーだったがクオーから「皆!離れるんだ!」と言われて状況が変わる。


会敵距離になったカオス・フラグメントはゲーン探索団の家より大きかった。


「うわ、クオーの家みたいなデカさ」

「踏まれたらアウトだよ」


そんな話をしていると必死に追いついたのだろう。

帝国兵が近づいてきて矢を放つ。


「風読みの目だ!クオー!誤射は無いだろうけど流れ弾に気をつけて!」

「ケーミー!助かる!」


クオーは一歩踏み抜いたがカオス・フラグメントは向きを変えて帝国兵達の方に向かってしまう。


「ダメだ!」

そうクオーが声を発した時には帝国兵は蹴散らされて鮮血が舞う。


クオー達からは体当たりした風に見えていたが千切れた感じでなければ切り刻まれたように見えた。


「切れた…」

「風龍の暴風…、カケラだよアレ!」


「マジで取り込んだカケラを使うのか…」

ダムレイが唖然とする中、クオーだけは冷静に「ふむ。カケラの集合体とみるべきだね」と言って駆け出すとカオス・フラグメントの後ろ足に強烈な一撃を加える。


バラバラと光が舞うとケーミーが「あれカケラ!火龍の吐息!風龍の吐息!」と言うと聞こえていたクオーが「ダムレイ!マリクシ!これは宝の山だ!拾ってくれ!」と声をかける。


呼ばれたダムレイとマリクシは肩を落として「マジかよ」「確かにお宝だけど…」と言いながらも回収作業に入る。


「クオー、コレもしかして大儲け?」

「ああ!やるぞハイクイ!」


クオーとハイクイは嬉々としてカオス・フラグメントに向かって殴ったり切ったりしたが飛び散るカケラは多くてもケーミーに聞いても「それはよくわかんない!地面に落ちると消える!」と言われてしまい一度の攻撃で取れても2個くらいで十分に得をしているのに「なんかムカつく」「まったくだね」と言ってしまう。


そして問題なのは散々攻撃を加えているのにカオス・フラグメントはクオーとハイクイを無視して周りのメンバーに襲い掛かっていく事だった。



「またかわす!」

「インニョン!イーウィニャ!戦闘力のない奴はカケラを拾ったら逃げろ!」

ダムレイが指示を出すとハイクイが「ダムレイ!アイツC、B、Aって狙いを変えて最後にカケラ無しに行くんじゃない!?」と言うとダムレイは忌々しそうにカオス・フラグメントを見て「数減らすタイプか?」と呟いていた。



「クオー、連携はやれたらでいいよ。俺が動く」

「ハイクイ…済まない」


「いいって、行くぞ…山猿の毛、風神の乱気流!」

ハイクイは軽やかにカオス・フラグメントの背に駆け上ると辺り一面に風刃を飛ばしてカケラを弾き飛ばしていく。


「うっわ、キラキラして綺麗」

「ケーミー!大物から拾おうよ!」

「あれ!大亀の甲羅!あっちは黒豹の脚!後は当たりが出た!風龍の暴風!」


ケーミーの指示で皆が拾う中、ダムレイだけは「クオー!お前は3個持ちすんな!見張ってろ!」と冷静に指示を出す。


言えているといえば言えていた。

非常識と言えば非常識だった。


ハイクイの攻撃は変わらずにカオス・フラグメントを傷つけ続けるが足止めにはならない。

おかげでゲーン探索団のメンバーは必死に回避をしている。

今も口から炎神の大炎上と呼ばれるAランクのカケラを使って火を放たれてあわやアンピルが死にかけていた。


「くそっ、なんか速くなってないか!?」

「ハイクイが削るから?」

「でも、削らないと、勝てない」


そう、非常識だったのは削れば弱くなると思っていたがそれは違っていた事だった。

身軽になった分だけカオス・フラグメントは高速になっていく。


そしてある一定の小ささになるとマリクシ以外のメンバーでは運良く目の前にカケラが落ちてくれば拾えるが、拾う前にカオス・フラグメントに回収されてく。


カケラを拾ったカオス・フラグメントはまた大きくなる。

ハイクイも長時間のカケラの使用で疲弊してきているのに本人は降りようとせずに「コイツ…ムカつく」と言ってムキになっていた。

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