表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒と白の天冥  作者: ゴン谷田部
1/2

悪夢

カムラは暗闇の中にいた。


「助けて……」


 暗闇の中から掠れた女性の声がする。

 声は徐々にこちらに近づいてくる。


「助けて……お兄ちゃん」

 『おにいちゃん』この単語でカムラは妹のエリヤの声だと判断した。


「エリヤか?」

 カムラが暗闇の向こうに聞き返したが返事は無く、ただ助けを求める声だけが近づいてくる。その声の出所にカムラは若干の違和感を覚えた。歩いてこちらに近づいて来ているにしては、妙に低い位置から声がしている。


 確かめようと暗闇の中を進もうとするが、自分の意思に反して全く体が動かない。

 

「どうして……」


 もう声は目の前まで来ていた。


「どうして助けてくれなかったの……お兄ちゃん」


 やはり声は妹のエリヤだった。

 涙をながし、苦悶の表情を浮かべながら助けを求める顔をしている。

 その顔を骨壺を持つように首の無い胴体が抱えていた。流れている涙は血の色に変わり、胴体側の首の切断部分からゴボゴボと血が溢れ出す。溢れ出した血が暗闇に散らばり暗闇を真っ赤に染め上げていく。

 それはやがて暗闇だけでなく、カムラまでも飲み込んでいった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ