表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ジャガイモ農家の村娘、剣神と謳われるまで。  作者: 有郷 葉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/212

72 この世界と世界樹から来た竜

 私はキルテナさんを連れて寮の自室に戻ってきた。


「この部屋は私ともう一人で使っているんですけど、今はいないからそっちのベッドで寝てくれていいですよ」


 セファリスはもう二週間も帰ってこない。

 ジル先生によれば、今はドラグセンにいるらしい。騎士になって早々、ハードな任務に就いているようだ。いや、訓練だっけ?

 何にしても、その内強くなって戻ってくるだろう。


 ベッドに座ったキルテナさんは、確認するように布団に手を沈めていた。


「やはりこの国の民は皆、こんなにいい暮らしをしているのか……」

「ドラグセンってあまり豊かじゃないんですか? 大国なのに」

「大国なのは軍事力ゆえだ。財政は非常に苦しい状況にある。だからコーネルキアの経済力が喉から手が出るほどほしいんだ。一方で、次々に新たなものを生み出すこの国の技術を警戒もしている。だが、いつまでもそう慎重にばかりなっていられないだろう」

「戦争は避けられないんですね。キルテナさん、コーネルキアの守護神獣になってくださいよ」

「……無理だ。絶対に負けると分かっている側につくことなんてできない」


 ドラグセンには国を統べる五竜という恐ろしく強い神獣達がいるそうだ。かの国の軍事力とは、この五頭の戦闘力に他ならない。

 それ以下のドラゴンは、彼らの力に引かれて群がっているだけなんだって。


「キルテナさんも群がっている一員なんですか?」

「し! 仕方ないだろ! 去年外界に出てきたばかりなんだ! 他においてくれる所なんて……」


 同族の大先輩を頼ったというわけか。

 出てきたばかりってことは、彼女は結構若いドラゴンなのかな? 人型も子供だし。


「キルテナさん、実年齢を教えてもらっていいです?」

「いいぞ。十一歳だ」

「いえ、実年齢ですよ?」

「だから、十一歳だ」


 ……そんなに若い守護神獣、聞いたことない。というより、その若さで守護神獣になれるわけがない。

 こう思うのにはちゃんと理由がある。


「つまり、十歳で修羅の森を抜けてきたということですか?」


 尋ねると、キルテナさんは初めて得意げな表情を見せた。


「私は竜族の最強種【世界樹竜】の生まれで、さらに神童と謳われた逸材だからな。五、六回死にかけたが、無事あの地獄の森を突破した!」


 あ、割りとギリギリだったんですね。



 順番に、まずはこの世界のことから説明するね。


 私達のいる大陸には、中央に巨大な森が広がっている。神獣の森と呼ばれ、その中心にあるのが世界樹だ。

 世界樹は高さ一万メートル以上ある大樹で、この半径約千キロは神獣達が子育てする保護区になっているらしい。


 保護区の外側約千五百キロに渡って続くのが、世界で最も危険な超巨大ドーナツ地帯、修羅の森になる。暮らすのは保護区出身の神獣達で、齢数百歳の化け物がうようよと。弱肉強食の、まさに修羅の世界だ。

 保護区を出た若い神獣は、身を潜めて生き残るのが精一杯。

 まして千五百キロにも及ぶ旅なんてできるはずがない。

 ギリギリでも何でも突破したんだから、キルテナさんが神童と呼ばれていたのは本当かも。

 ただ、彼女はどこかコルルカ先輩に似ている。見栄を張るタイプってことだ。

 たぶん死にかけたのは五、六回どころじゃない。その倍、いや、五倍くらい命の危機に瀕したはず。


 ちなみに、修羅の森の外縁に広がるのが野良の森だよ。野良神達はここで生まれ、その外側、人間の世界にちょっかいを出してくる。


 なので、守護神獣になるのは、保護区出身で修羅の森を抜けてきた神獣なのが一般的。黒白狼達みたいに例外もあるようだけどね。


 まとめると、大陸中央には、世界樹、保護区、修羅の森、野良の森、からなる神獣の森が広がっていて、その外に人間が沢山の国を作っているということ。

 コーネルキアは北西の位置にあるよ。


 世界に思いを馳せていると、キルテナさんが「なあ」と。


「トレミナの実年齢も教えてくれ。どんぐりみたいで小さいから八歳くらいじゃないか? 当たってるだろ?」

「私には実年齢しかありませんし、どんぐりでもありません。キルテナさんと同じ十一歳ですよ」

「本当か。なんだ、じゃあ敬語使わなくていいよ。名前も呼び捨てで頼む」

「そうするよ、キルテナ。何だか長い付き合いになりそうな気がするし」

ようやく世界の説明ができました。

大陸はユーラシア大陸よりもう少し大きいくらい。

で、もう少し丸みがあります。

コーネルキアは大体ヨーロッパあたりに。


評価、ブックマーク、いいね、感想、本当に有難うございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。





書籍化しました。なろう版へはこちらから。
↓をクリックで入れます。




陰キャ令嬢が沼の魔女に。

社交界で沼の魔女と呼ばれていた貴族令嬢、魔法留学して実際に沼の魔女になる。~私が帰国しないと王国が滅ぶそうです~








強化人間になってしまった聖女のお話です。
↓をクリックで入れます。




腕力で世界を救います。

強化聖女~あの聖女の魔力には武神が宿っている~








こちらも連載中の小説です。書籍化します。
↓をクリックで入れます。




事故で戦場に転送されたメイドが終末戦争に臨みます。

MAIDes/メイデス ~メイド、地獄の戦場に転送される。固有のゴミ収集魔法で最弱クラスのまま人類最強に。~




書籍 コミック


3hbl4jtqk1radwerd2o1iv1930e9_1c49_dw_kf_cj5r.jpg

hdn2dc7agmoaltl6jtxqjvgo5bba_f_dw_kf_blov.jpg

1x9l7pylfp8abnr676xnsfwlsw0_4y2_dw_kf_a08x.jpg

9gvqm8mmf2o1a9jkfvge621c81ug_26y_dw_jr_aen2.jpg

m7nn92h5f8ebi052oe6mh034sb_yvi_dw_jr_8o7n.jpg


↓をクリックでコミック試し読みページへ。


go8xdshiij1ma0s9l67s9qfxdyan_e5q_dw_dw_8i5g.jpg



以下、ジャガ剣関連の小説です。

コルルカが主人公です。
↓をクリックで入れます。




コルルカの奮闘を描いた物語。

身長141センチで成長が止まった私、騎士として生きるために防御特化型になってみた。




トレミナのお母さんが主人公です。
↓をクリックで入れます。




トレミナのルーツを描いた物語。

婚約破棄された没落貴族の私が、元婚約者にざまぁみろと言って、王国滅亡の危機を逃れ、ごくありふれた幸せを手に入れるまで。



― 新着の感想 ―
[一言] つまり…トレミナが強くなればこっちに来てくれるわけだな!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ