表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/212

64 最強の属性

 ロサルカさんは準備運動でもするように大鎌をブオンと振った。その刃が真っ黒に変色していく。


 彼女の鎌、私の剣と似た感じかと思ったけど、違うみたい。

 自分の属性を刃に付与できるんだ。


 私の視線が武器に行っているのに気付き、ロサルカさんはフフと笑った。


「そう、この鎌は属性を反映させることができます。ですが、トレミナさんの〈プラスソード〉のように、自在にサイズを変えることはできません。そして、私の体を覆っているのは〈闇の護り〉という防御結界です。チェルシャさんと違って、飛べたり形を変えたりはできない仕様ですよ」


 これは、あえて教えてくれてる?


「通常は対戦相手の能力は知っているものですので。私もトレミナさんの手の内は装備も含めて存知上げていますから。ここはフェアに、ということです。では、まずこの状態で接近戦を挑ませていただきます。強化技能は使いません」


 ご親切にどうも。

 じゃあ、こちらも準備します。

 マナを〈闘〉に。

 〈プラスソード〉は刃渡り五メートルほどの大剣にした。


 私の支度が整ったのを見て、ジル先生が「始め!」と開始の合図。


 ロサルカさんが音もなく駆け出す。

 私の間合いに入ってきたところで、マナの大剣を振り下ろした。


 彼女はそれを大鎌でいなして難なく回避。

 そのまま刃を滑らせながら接近してくる。


 う、剣のマナが吸われる。

 これなら自分で収納した方がマシだね。

 〈プラスソード〉を縮め、バックステップで距離を稼ぐ。

 突きと同時に再び剣を伸ばした。


 ロサルカさんは鎌の柄で受け止める。

 刃部分じゃなくても〈闇の護り〉で覆われているので、接触しただけでマナを持っていかれる。大剣の先端が溶けた。


 ……これはダメだ。

 武器を合わせるだけでどんどんマナを吸収される。

 接近戦、……すごく不利だよ。親切に教えてくれたから思わず乗っちゃったけど……。

 視線を送ると、ロサルカさんはまた微笑みを返してきた。

 罠だったみたい。

 穏やかな空気を纏っているけどかなり食えない人だ。気を付けないと。


「接近戦、やめます。〈トレミナボール〉使いますよ」

「分かりました。では私は攻撃に、〈オーラスラッシュ〉に闇属性を付与した〈ダークスラッシュ〉を。防御に〈闇の盾〉を使わせていただきます」


 律儀にまた……。

 もうその手にも、あなたのペースにも乗りませんよ。

 剣を鞘に収めると、手の中にマナ玉を作った。

 〈トレミナボール〉、発射。


「闇霊よ、盾となって私をしばらく守ってください。〈闇の盾〉」


 空中に出現した黒い板がボールを食い止める。が、すぐにヒビが入り、粉々に砕けた。

 飛んできた玉を、ロサルカさんは大鎌でサクッと。

 あえなく〈トレミナボール〉は消失した。

 そして、黒い粒子が集まり出し、壊れたはずの〈闇の盾〉が復元されていた。主人を守るようにその周囲を旋回する。


 あれが「しばらく」ってことか。

 盾と鎌、二つを破るには威力を上げるしかないね。

 小手の〈オーバーアタック〉を発動。

 即座にマナ玉を形成して投げた。


 〈トレミナボール〉は〈闇の盾〉を易々と貫通し、大鎌の刃も砕く。

 しかし、ロサルカさんは体を傾けてこれを避けた。


「さすがに、強化されたこのボールを完全に吸収するのは無理ですね」


 ん? 吸収……?

 そうだ、闇属性の盾と刃で受けてるんだから、ボールのマナも奪われてるよね。


「次はこちらから参ります。闇霊よ、刃に宿ってください」


 死神が鎌を振ると、闇の波動が生み出された。


 相当な威力だ。〈プラスシールド〉展開。

 二重の盾でどうにか耐え抜く。

 ……え、マナが持っていかれる。

 まさか、遠距離攻撃でも吸収できるの?


 フフフとロサルカさんの笑い声。


「トレミナさん、勘違いなさってますね。私はあなたを接近戦に誘導したわけではありませんよ。近距離でも遠距離でも、私が有利なのですから」


 あ、吸収されすぎてマナの量が逆転してる。

 ……こんなのありだろうか。マナ切れの心配が全くいらないなんて。

 減るどころか時間と共に増えていく。

 闇属性って、最強の属性じゃない……?

評価、ブックマーク、いいね、感想、本当に有難うございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。





書籍化しました。なろう版へはこちらから。
↓をクリックで入れます。




陰キャ令嬢が沼の魔女に。

社交界で沼の魔女と呼ばれていた貴族令嬢、魔法留学して実際に沼の魔女になる。~私が帰国しないと王国が滅ぶそうです~








強化人間になってしまった聖女のお話です。
↓をクリックで入れます。




腕力で世界を救います。

強化聖女~あの聖女の魔力には武神が宿っている~








こちらも連載中の小説です。書籍化します。
↓をクリックで入れます。




事故で戦場に転送されたメイドが終末戦争に臨みます。

MAIDes/メイデス ~メイド、地獄の戦場に転送される。固有のゴミ収集魔法で最弱クラスのまま人類最強に。~




書籍 コミック


3hbl4jtqk1radwerd2o1iv1930e9_1c49_dw_kf_cj5r.jpg

hdn2dc7agmoaltl6jtxqjvgo5bba_f_dw_kf_blov.jpg

1x9l7pylfp8abnr676xnsfwlsw0_4y2_dw_kf_a08x.jpg

9gvqm8mmf2o1a9jkfvge621c81ug_26y_dw_jr_aen2.jpg

m7nn92h5f8ebi052oe6mh034sb_yvi_dw_jr_8o7n.jpg


↓をクリックでコミック試し読みページへ。


go8xdshiij1ma0s9l67s9qfxdyan_e5q_dw_dw_8i5g.jpg



以下、ジャガ剣関連の小説です。

コルルカが主人公です。
↓をクリックで入れます。




コルルカの奮闘を描いた物語。

身長141センチで成長が止まった私、騎士として生きるために防御特化型になってみた。




トレミナのお母さんが主人公です。
↓をクリックで入れます。




トレミナのルーツを描いた物語。

婚約破棄された没落貴族の私が、元婚約者にざまぁみろと言って、王国滅亡の危機を逃れ、ごくありふれた幸せを手に入れるまで。



― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ