表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/212

52 村を救った勇者

「エンジェルキャノンには改善の余地がある」

「一撃で必ず殺さなきゃいけないのはリスクが高すぎるので、その辺では?」


 チェルシャさんと他愛ない会話をしていると、村の方からぞろぞろと向かってくるのが見えた。

 セファリスにコルルカ先輩、第127部隊の騎士達、そして、村人全員。

 一早く駆けてきた姉が泣きながら私に抱きつく。


「トレミナのバカ! 死ぬつもりだったでしょ! そんなのお姉ちゃん! 絶対に許さないから!」


 次いで、村の皆が雪崩れこんできた。


「トレミナちゃんは村を救った勇者じゃ! 皆の者! 勇者を称えようぞ!」


 村長さんの号令で担ぎ上げられる私。

 やばい、度重なる命の危機と、緊張からの解放で、皆のテンションが振り切れてる。いつになくスキンシップが激しい。

 あれ? お父さんとお母さんは……?


 二人は少し離れた所で、苦笑いで安堵の表情を浮かべていた。

 心配かけてごめんね。


 一方、チェルシャさんは同級生のコルルカ先輩の元へ。


「ここの村人、すごく変」

「ああ、私も薄々気付いていた。この村は普通じゃない。しかしこの白狼、立ったまま息絶えるとは敵ながら見事だ。私もこんな最期を迎えたいものだな」


 先輩は【白王覇狼】を見上げながらしみじみと。


 そんなものに憧れる先輩も充分変です。

 だけど、村の威信はしっかり守らないといけない。


「皆、勇者である私からのお願い。普通にして」

「……はい、すまんのじゃ」


 村長さん始め、皆少し熱が冷めたみたい。

 ようやく解放されたものの、相変わらずセファリスは引っついたまま。

 その彼女が突然、彼方に視線をやった。


「来る! 師匠だわ!」


 そう言われても私には感知できず。

 たぶん師弟の絆……、いや、危険を察知する姉特有の動物的直観だと思う。


 一緒に眺めていると、地平線の向こうから土煙が。

 レゼイユ団長が凄まじい速さで走ってくる。馬の数倍は速度が出ているだろうか。あの人はこんな風に国中を駆け回っているらしい。

 セファリスはあれで小脇に抱えられて運ばれ続けた。

 トラウマになるのも納得だ。


 後続の応援ってレゼイユ団長のことだったのか。と思っていると彼女は、ギュン! と私達の目の前を通り過ぎた。

 そのまま一直線に森の中へ。ドラグセンの人達が潜伏している森ね。

 すぐにそこから多くの悲鳴。木々から鳥達が一斉に飛び立った。

 そして、さらなる異変が。

 ベキベキと周囲の木を薙ぎ倒し、巨大生物が頭を覗かせた。

 ドラゴンだ。深緑の鱗に全身を覆われ、背中には翼が生えている。


 なんと、近所の森に竜が棲んでいたよ。

 まあ、そんなわけはない。ドラゴンの体長は、二十メートルほどある木の倍近い。こっちに立っている【白王覇狼】より少し大きいくらいかな。どう頑張っても隠れようがないだろう。

 間違いなく、あれも人型になっていた。

 ドラグセンの守護神獣だね、きっと。

 強さは……、黒白狼達よりちょっと上くらい、だと思う。

 もう戦うのは無理だよ。その心配はないだろうけど。

 何と言っても、ランキング一位が来ているから。


 噂をすれば、木々の上、空中にレゼイユ団長の姿が。私と同じ〈ステップ〉で宙を駆けている。

 うん? 双剣を抜かないのかな?

 魔法で戦うつもりなのかも。

 と見ていると、彼女はそのまま素手で、ゴンッ! と竜を殴りつけた。


 ズズゥゥン…………。


 巨体が森に沈む。

 レゼイユ団長はファイティングポーズをとり、相手が起き上がるのを待っている。

 殴り倒すつもりだ……。さすがランキング一位。

 すると、チェルシャさんが。


「団長、たぶんあのドラゴンを捕獲するつもり」


 そう言った後、彼女は彼方に視線を移した。


「来る! 姫様だ!」


 こちらも何か特異な直感が働いたようだ。

この騒動後に、チェルシャ主体で書きたいと思っています。

そこで、彼女が光属性を手に入れた経緯、

リズテレスを大好きな理由も明らかに。

もっと早く入れたかったのですが、タイミングが……。


評価、ブックマーク、いいね、感想、本当に有難うございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。





書籍化しました。なろう版へはこちらから。
↓をクリックで入れます。




陰キャ令嬢が沼の魔女に。

社交界で沼の魔女と呼ばれていた貴族令嬢、魔法留学して実際に沼の魔女になる。~私が帰国しないと王国が滅ぶそうです~








強化人間になってしまった聖女のお話です。
↓をクリックで入れます。




腕力で世界を救います。

強化聖女~あの聖女の魔力には武神が宿っている~








こちらも連載中の小説です。書籍化します。
↓をクリックで入れます。




事故で戦場に転送されたメイドが終末戦争に臨みます。

MAIDes/メイデス ~メイド、地獄の戦場に転送される。固有のゴミ収集魔法で最弱クラスのまま人類最強に。~




書籍 コミック


3hbl4jtqk1radwerd2o1iv1930e9_1c49_dw_kf_cj5r.jpg

hdn2dc7agmoaltl6jtxqjvgo5bba_f_dw_kf_blov.jpg

1x9l7pylfp8abnr676xnsfwlsw0_4y2_dw_kf_a08x.jpg

9gvqm8mmf2o1a9jkfvge621c81ug_26y_dw_jr_aen2.jpg

m7nn92h5f8ebi052oe6mh034sb_yvi_dw_jr_8o7n.jpg


↓をクリックでコミック試し読みページへ。


go8xdshiij1ma0s9l67s9qfxdyan_e5q_dw_dw_8i5g.jpg



以下、ジャガ剣関連の小説です。

コルルカが主人公です。
↓をクリックで入れます。




コルルカの奮闘を描いた物語。

身長141センチで成長が止まった私、騎士として生きるために防御特化型になってみた。




トレミナのお母さんが主人公です。
↓をクリックで入れます。




トレミナのルーツを描いた物語。

婚約破棄された没落貴族の私が、元婚約者にざまぁみろと言って、王国滅亡の危機を逃れ、ごくありふれた幸せを手に入れるまで。



― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ