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47 白の厄災 圧倒的不利

 誰ともなく、【黒天星狼】の亡骸に視線を送る。

 言いようのない不安感を、場の全員が共有していた。

 最初に口を開いたのはセファリスだっただろうか。いや、村の大人だったかも。そんなことはどうでもよくなるくらい、誰もが現れた変化に釘付けだった。


「え、いつの間に……?」


 そう、まさにいつの間に、だ。あるいは、始めからそこにいたのか。

 それは絶対にないだろう。

 見逃すはずないからだ。あんな巨大な生物を。


 横たわる黒狼の傍らに、当神獣よりさらに一回り大きな白狼が立っていた。


 なんて大きさ……。まるで山じゃないか……。

 こんな神獣、いったいどこから出現したんだ。



 と、皆は思っているみたいだね。

 でも、私は見ていた。

 この白狼は、さっき人が見え隠れしてた向こうの森から出てきた。

 正確に言えば、最初は人間の姿だったけど、途中から巨大な狼に変わった。

 あれってユウタロウさんが言ってた人形、いわゆる人型を使用していたということだよね。

 こんな上位神獣を指し向けてくるなんて、森に潜んでいる人達は間違いなくキャラバンじゃない。


 どうしてノサコット村を攻撃してくるの?

 今の時期ということは……、まさかジャガイモの植えつけを妨害するのが目的か?

 まあ、そんなわけないよね。

 何か大変なことに巻きこまれている気がする……。

 相手の目的どうこうよりも、やっぱりまずはこの巨狼をどうするかだ。


 白狼は力尽きた黒狼をじっと見つめている。


「……白の厄災、【白王覇狼】じゃ……」


 村長さんが呟いた。

 何とも偉そうで強そうな名前。

 それにしても村長さん、何十年も前のことなのによく覚えてるね。ずっと村長をしているだけある。


 この【白王覇狼】、名前だけじゃなく、実際にかなり強い。

 マナの量は【黒天星狼】に劣るけど、何しろあの巨体だ。

 脚の一振りが必殺技級だろう。

 それに、マナも決して少ないわけではない。私の満タン時より多いので。

 たぶん総合的に見ると、黒狼と白狼はほぼ同じ実力だ。つまり、倒すにはさっきと同程度の戦力が必要になる。

 ところが、こちらの現状はといえば……。


「む、む、無理だわ……。もう、戦えるはずない……」


 ミラーテさんが青ざめた顔で。

 彼女を筆頭に、第127部隊は全員マナが空に近い。

 今の状態じゃ【戦狼】にも勝てるか怪しいよ。さっき報告に戻ると言い出した時、止めようと思ったくらいだ。


 そして、人のことを言えないのが、私、セファリス、コルルカ先輩の側。

 実は先の黒狼戦、早く決着をつけたかったのはジャガイモ畑のためだけじゃなかったんだよね。


「……私は、まだまだ戦えるぞ」

「先輩、強がらないでください。分かっていますよ」

「く……、あんな神獣相手にペースを乱さずに済むのはお前くらいだ」

「お姉ちゃんは大丈夫よ! まだいけるわ!」

「いやいや、お姉ちゃんが誰よりもギリギリでしょ」


 姉にとっても先輩にとっても、【黒天星狼】は初めて戦う強敵だった。精神的疲労によるマナ消費量が予定より多かったということ。

 その点は心配ない私でも、総マナの半分ほどを使ってしまっている。


 まとめると、こちらの戦力は二分の一の私だけだ。


 だけど、あの白狼、結構長い時間ああやって黒狼を見つめているね。

 どうしてだろ。村長さんなら知ってるかな?


「ふむ、あの二頭は兄弟では、という噂が流れておったのう」


 知ってた。さすが村長さんだ。

 でも、だとすれば一層まずい状況になりそうだよ。


 ようやくこちらを向いた【白王覇狼】の体からは、溢れんばかりの怒りのマナがメラメラと。


 まいったな。

 結局、選べる道は一つだけなんだけど。

 上手くやれば、ここにいる皆の命を救えると思う。

 私一人が死ぬことによって。

神獣進化ルート(参考神獣=【戦狼】)


■一次進化■


【戦幼狼】

 ↓

【戦狼】

 ↓

【戦大狼】

【戦魔狼】

【戦角狼】

【戦甲狼】

【戦毒狼】


■二次進化■


  【戦大狼】      【戦魔狼】

  ↓    ↓     ↓    ↓

【白王覇狼】 ?   【黒天星狼】 ?

  ↓    ↓     ↓    ↓

  ?    ?     ?    ?


同様に、角、甲、毒、ルートも。

最終形態は名前に全て「神」が入ります。

これを独力で倒せた人間は剣神と呼ばれます。


全神獣共通で、一次進化の最後に特性を選択します。

【大】=生命力特性 

【魔】=マナ特性

【角】=攻撃力特性

【甲】=防御力特性

【毒】=特殊特性

二次まで来ると戦略級。(個体差は大いにあり)

辿り着ける神獣はごくわずかです。


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