表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
203/211

203 [コルルカ]防御特化の人 対 防御特化の神

 側近達が飛び去った空を見つめていたザンデュガは、一息吐いてから視線を私達に戻した。

 焦りは全く感じられないな。

 最初から配下達はあてにしていないということか。実際に、あの二頭とザンデュガの間には大きな力の差がある。単独で戦況を変えうるのが二十将だ。来るっ!


 巨竜が尻尾を振ると周囲に水が舞い、すぐに大波となってこちらに押し寄せてきた。〈水の尻尾〉だ。

 この攻撃に対して、私は先ほど同様に二つの魔法からなる炎の壁を作り上げる。


 ザンデュガの口元に笑みが浮かんだ気がした。

 ……やはり、奴の技を止められるのはこの防壁しかないと読まれているらしい。だから火に相性のいい水の神技を出してきた。

 だが、そう来るのはこちらも読んでいる!


 私は背負っていたメイスを取ると、天に向けて掲げた。

 この武器には、以前は地属性の魔法が入っていた。(ノサコット村のイモ畑を耕したあのメイスだ)しかし、現在は別の属性が付与されている。

 突き出したメイスの先端から、前方の〈フレイムウォール〉へ雷が放たれた。

 電流は炎の壁の表面を広く覆っていく。


 見るがいい、これが私の全力防壁。

 風霊強化〈フレイムウォール〉、の雷霊コーティングだ! この防御魔法に弱点はない!


 私が胸を張っている間に、防壁は大波をはねのけていた。


「あんたもなかなか大したもんじゃない。だてに部隊長やってないわね」


 再び人型になったメイティラ様が、ミラーテさんと共に戻ってきていた。彼女はそびえる炎の壁を眺めながら言葉を続ける。


「さっきの一列並びで配下の神獣達を退かせた作戦も、この魔法も、よく考えられている。本当に大したもんだわ」

「まあ全部、リズテレス姫の入れ知恵だけどね」


 クランツが苦笑いでネタばらしをしていた。

 そう、あの作戦も、メイスの魔法を入れ替えたのも、リズテレス姫の助言によるものだ。

 自慢じゃないが私は頭脳的な戦い方が苦手だし、この部隊でそれができるのはせいぜいクランツくらいだろう。

 我が隊唯一の頭脳とも言える彼は、まだ私に何か物申したそうだった。


「クランツ、何だ?」

「マナは大丈夫か、コルルカ。これだけ同時に維持するのは相当きついだろ?」

「……全然、余裕だ」


 私は現在、ゲイン三種に〈トレミナゲイン〉、防壁用の属性魔法を三つ同時に発動している。

 正直なところ、ものすごくきつい。

 底上げして量が増えたはずのマナがぐんぐん持っていかれる……! だがリーダーとして弱音など吐けん!


「……いやいや、そこはちゃんと言ってくれないと。全員の命に係わることだから……。皆、コルルカはあまりもちそうにないから、急いで攻撃に移ろう」


 クランツが槍を構え、そこに風霊を宿らせる。

 連続で槍を突くと、ザンデュガに向かって無数の風の弾丸が飛んでいった。

 あれはクランツが得意とする戦技、〈風刃乱舞〉だ。(ちなみに、私の防壁は味方の攻撃は通す設定にしてある)

 確かトレミナも学年末トーナメントでめった打ちにされていたな。あの頃より威力は格段に上がっている、はずなのだが……。


 ザンデュガは全く防御の姿勢を見せなかった。鋼のようなその鱗が風霊弾をことごとく跳ね返す。

 これを見ていたエレオラが拳に雷霊を纏わせた。


「なんて硬さだ! だったらアタシの技を受けてみな! 〈爆裂雷撃連射パンチ〉!」


 あれはエレオラが得意とする戦技、……技名は自分で叫んでいたな。

 連続で放たれた雷の弾丸も、やはりザンデュガはものともしない。


 むぅ……、ノーダメージというわけでもないのだろうが、この程度は避けるまでもないと言わんばかりだ。さすが防御特化の神……。

 しかし、こちらの攻撃もこんなものではない。

 私が視線を送ると、彼女は力強い頷きを返してきた。


「いつでもいけるわ! 食らいなさい! 私の最大技よ!」


 ミラーテさんが、一つの火霊戦技と二つの火霊魔法を込めた矢を放った。


「〈スーパーメテオアロー〉!」


 矢は巨大な炎の塊と化し、空から降る隕石のようにザンデュガに衝突。直後に火炎が広がって大きな紅蓮の花を咲かせた。

 うむ、まるで花火みたいだ。

 ザンデュガは見た目と威力がそぐわないこの攻撃に首を傾げる。

 当然だ、あれは派手なだけの陽動だからな。そして今のは予行演習、本番はここからだぞ。


 ミラーテさんがもう一度〈スーパーメテオアロー〉を発射した。

 再び大輪の花が開いたその時。


 ズドンッ!


 火炎の中を突っ切った一発の銃弾が巨竜に命中する。


 ドッゴ――――――――ン!


 大きな爆発が起こり、天を突くほどの火柱が上がった。

 どうだ、これはしっかり見た目と威力が一致しているだろ? と尋ねるまでもないな。

 あの岩山のようなザンデュガが大地に倒れこんでいる。


「やはりだ。お前なら神をも撃ち抜けるぞ」


 私の視線の先では、大型のライフル銃を構えてニルレイアが立っていた。


「岩山のようにでかいから、すごく当てやすい」

小説とコミックの、トレミナのキャラクターの違いについて活動報告にまとめてみました。

何だかモヤモヤしている方はご覧ください。

10/18付けのやつです。

おっとり天然なところ(要=かなめです)は共通なんですけど、コミックは異なる点も結構あります。

漫画というコンテンツを考えてああなっています。

トレミナはなかなか面倒なキャラクターをしていますから。


トレミナ

「生み出したのはあなたですけどね」


ですね。


評価、ブックマーク、いいね、感想、誤字報告、本当に有難うございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。





強化人間になってしまった聖女のお話です。
↓をクリックで入れます。




腕力で世界を救います。

強化聖女~あの聖女の魔力には武神が宿っている~








こちらも連載中の小説です。書籍化します。
↓をクリックで入れます。




事故で戦場に転送されたメイドが終末戦争に臨みます。

MAIDes/メイデス ~メイド、地獄の戦場に転送される。固有のゴミ収集魔法で最弱クラスのまま人類最強に。~




書籍 コミック


3hbl4jtqk1radwerd2o1iv1930e9_1c49_dw_kf_cj5r.jpg

hdn2dc7agmoaltl6jtxqjvgo5bba_f_dw_kf_blov.jpg

1x9l7pylfp8abnr676xnsfwlsw0_4y2_dw_kf_a08x.jpg

9gvqm8mmf2o1a9jkfvge621c81ug_26y_dw_jr_aen2.jpg

m7nn92h5f8ebi052oe6mh034sb_yvi_dw_jr_8o7n.jpg


↓をクリックでコミック試し読みページへ。


go8xdshiij1ma0s9l67s9qfxdyan_e5q_dw_dw_8i5g.jpg



以下、ジャガ剣関連の小説です。

コルルカが主人公です。
↓をクリックで入れます。




コルルカの奮闘を描いた物語。

身長141センチで成長が止まった私、騎士として生きるために防御特化型になってみた。




トレミナのお母さんが主人公です。
↓をクリックで入れます。




トレミナのルーツを描いた物語。

婚約破棄された没落貴族の私が、元婚約者にざまぁみろと言って、王国滅亡の危機を逃れ、ごくありふれた幸せを手に入れるまで。



― 新着の感想 ―
[一言] 膠着状態で今回終えると思ったらスッテンコロリンと意表突かれて向こうは転んじゃったかーw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ