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195 特務部隊

 私は玉座の前でアルゼオン王と向かい合った。


「では、トレミナ熊の代理で私が契約の儀を務めさせていただきます」

「わ、分かった。トレミナさん、よろしく頼む」


 戸惑いながらも、王様は右手を前に差し出してきた。


「トレミナ熊様、末永くこのコーネルキアをお守りください」

「熊の言葉をそのままお伝えしますね。『承知した。俺とトレミナの魂に誓って』え、私の魂にも誓うの? あ、すみません。『俺とトレミナの魂に誓って、命の限りこの国を守護しよう』とのことです」


 王様と握手を交わしつつ、ふと疑問が。

 トレミナ熊、もう命はなくなってるんじゃない?


『細かいことを言うな、気持ちの問題だ』


 精神世界のジャガイモ畑で、トレミナ熊はBとGから拍手で祝福されていた。照れながらそう言った後に。


『……トレミナ、俺が守護神獣となれるように取りはからってくれたこと、感謝する』


 神獣にとって、守護する国を持つというのはやっぱり特別なことだからね。

 そして、私が準備したのはこれだけじゃない。

 私が視線をやると、察したセファリスがこちらまで上がってくる。実は、熊の意識が向いてない隙を見計らって、お姉ちゃんに頼んでおいたことがあった。


「魔導研究所のデザイン部の人達、すごくいい感じに作ってくれたわよ。はい」


 手渡されたのは二つのペンダントだった。どちらもトップに水晶がはめこまれている。

 そう、これはセファリスが拾って私にくれた【水晶輝熊】の神水晶だ。

 本人(熊)が中にいたこともあり、換金する気になれなくてずっと持っていた。今回、それをお揃いのペンダントにしてもらった。

 私はペンダントを二つまとめて首からかける。


 一つはトレミナ熊の人型が完成したら渡すよ。その時まで私が預かっとく。

 とりあえず、それまではこれで。

 トレミナ熊の首に同じペンダントを出現させた。


『トレミナ、お前……。……分かった。必ず人型を完成させてみせる!』


 トレミナ熊は力強く私にそう誓った。

 どうやら私からの守護神獣就任祝いの贈り物を気に入ってくれたようだ。


 私達が済むと、契約の儀は次の神獣へ。

 進行役のジル先生が紹介する。


「続きまして、コーネルキア初の最上位守護神獣となられます、アデルネ様改め、アイラ様です」


 暗黒女王のような装いのアイラさんが、邪悪なオーラを漂わせて王様の前へと。


「まあ、魂に誓って国とシエナを守るわ。くくくく」


 気後れ気味のアルゼオン王と握手した。

 ジル先生は淡々と進めていく。


「続きまして、禍の象徴と(悪)名高い九尾の狐、ミユヅキ様です」


 和装幼女のミユヅキさんが、同じく邪悪なオーラを漂わせて王様の前へと。


「ほっほっほ、わらわが(実効支配するまでの間は)しっかり守護してやるのじゃ」


 不信感を隠しきれないアルゼオン王と握手した。

 その後、娘のメイティラさんが契約を完了させると、チカゲさん達、影月の番となる。四十六名の、明らかに闇の住人の雰囲気がする忍者達が順番に握手していく。

 ……何だか、今回は全般的にダークだな。


 もう玉座の前は人と人型で大混雑の状態だった。次から確実に会場は変わるだろう。

 人を押し分け、ルシェリスさんがアイラさんに歩み寄っていた。


「ついに制約を乗り越えて真の力を解放したな。アイラ、間違いなく今のコーネルキア最強はお前だよ。私と勝負しろ」

「嫌よ、面倒だわ。戦っている途中に最上位進化されたらもっと面倒だし。というより、そっちも自分の制約突破が目的でしょ?」


 いや、それならそれでいいじゃないですか。協力してあげてください。

 と思っていると、アイラさんが私に視線を移してきて微笑んだ。


「これから一年、最強の座なんてきっところころ変わるわよ。一番有望なのはこのどんぐりちゃんね。元々の成長速度が異常な上、内なるどんぐり達が独自に研鑽を積んでいくんだから」

「ああ、分かっている。ゆえに一緒に暮らすことにしたんだ」


 ルシェリスさんも私を見て微笑む。

 ……この武神、そんな狙いが。私も戦いませんよ。


「それに私、今後は忙しくなるからあなたの相手をしてる場合じゃないの」


 そう言ってアイラさんは私達に、ジル先生に注目するように促した。

 先生は現在、南方遠征で活躍した第1、第2部隊、さらにレイサリオン王国を救った魔女の皆さんを称える文言を述べていた。


「――そして、今回功績を挙げた部隊を主軸として、複数の特務部隊を創設することになりました。各部隊には守護神獣様お一方に専属としてついていただきます」


 どうも特務部隊は五つ編成されるらしい。

 その概要が発表された。



[特務親衛部隊]

 専属守護神獣 ミユヅキ

 部隊長 メルーダ 副隊長 ナディック


[特務聖女部隊]

 専属守護神獣 サイゾウ

 部隊長 ソユネイヤ 副隊長 セルーザ


[特務魔女部隊]

 専属守護神獣 アイラ

 部隊長 シエナ 副隊長 エメリーン


[特務諜報部隊]

 専属守護神獣 チカゲ

 部隊長 ジル 副隊長 プレシナ


[特務コルルカ部隊]

 専属守護神獣 未定

 部隊長 コルルカ 副隊長 クランツ



 第1部隊が母体の親衛部隊は、メルーダさんとナディックさん、隊長が入れ替わっちゃってるね。本来あるべき形になった感じだ。

 それから、魔女部隊のエメリーンさんというのは、あの背が低めで大きなハンマーを背負った人か。シエナさんが後衛の指揮を、彼女が前衛の指揮を執るのかな。背が低いといっても、コルルカ先輩ほどじゃないけど。

 …………。

 ……やっぱり、あれに触れないわけにはいかないよね。

 特務コルルカ部隊って、何……?

コルルカ先輩、いよいよ本格再登場です。

クランツ以外にもコルルカ部隊にまとめて入ってます。


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― 新着の感想 ―
[一言] 遠目からで不審者の列が王様に向かうという光景 しかも最後の部隊名が全てを持っていったカオスっぶりw
[一言] 個人名が部隊名に使われるとか凄いな、先輩 ただ看板として働き倒す事も期待されるだろうけど
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