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ジャガイモ農家の村娘、剣神と謳われるまで。  作者: 有郷 葉


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178/212

178 武神、持ち去られる。

 一人だけ〈トレミナゲイン〉がなく、全強化も五割増しもないセファリス。落ちこみ度合いがすごい……。


「お姉ちゃんにはあれがあるでしょ。ほら、やるよ」

「そ、そうだったわ!」


 一転して笑顔を弾けさせた彼女は、私の差し出した手を取る。二人のマナとマナを合わせた。

 私達姉妹の本気モード、〈合〉だ。


 一連の強化を見ていたシグフィゼが突然笑い出した。


「……やはり私が出て来て正解だった。こんなことができるなんて。人間など取るに足らない戦力だと思っていたし、実際、この認識は間違っていないだろう。だが、お前達は例外らしい。確実にドラグセンの脅威になりうる。特に、どんぐり、お前が一番危険な気がするぞ」


 ドラグセンが誇る知将の眼差しから伝わってきたのは、明確な殺意。今回、絶対に私の首だけは挙げて帰る。はっきりとそう宣言されたように感じた。

 シグフィゼは私を見据えたまま、隣の女性に呼びかける。


「予定変更だ。レギレカ、武神の相手はお前がしろ。できるだけここから引き離せ」

「相変わらず勝手だな……。まあいいか、アタイもあの兎に興味あるし」


 ため息交じりにそう言うと、女性はヴィオゼームの頭から跳んだ。その全身が光に包まれる。

 現れたのは、頭部に鋭い一角を持つ、青緑色の鱗に覆われた体長七十メートルほどのドラゴン。【迅矛神竜】だ。

 すぐに角を中心に風が集まり始める。

 レギレカが首を振ると、生み出された風刃が次々に発射された。ルシェリスさんに向かって飛んでいく。


 対して、武神は大きく動くことなく、右前脚をスッと差し出した。

 〈水の拳〉を発動させると、あとは相手の技に意識を集中させる。


 シュルルルルルルルル!


 風の刃は展開する水の防御陣に触れるやことごとく逸らされる。

 依然、主の頭上に留まったままのシグフィゼは感心したように。


「全くもってすごいな。妙技と呼ぶ他ない。しかし、あまりレギレカを侮らない方がいいぞ。バカだが戦いの才だけはあるからな」


 これにレギレカは「余計なお世話だ!」と言わんばかりに吠えた。

 その一角竜はもうルシェリスさんのすぐ前まで接近していた。

 ……そうか、〈風の角〉は陽動だったんだ。私達が背後にいるから、ルシェリスさんはあの場で防御に徹するしかない。あっちの目的は、あくまでも彼女をここから引き離すこと。


 レギレカの巨体が炎に覆われる。

 両の前脚を広げると、水の防御陣ごとルシェリスさんの上から被さった。

 倍以上の体格差と取り囲む炎に、さすがのルシェリスさんも脱出はできない。

 直後にレギレカは〈火の突進〉を本格発動。

 まずい、発進する。


 ドッ! ギュ――――――――ン!


『くっ! すまないトレミナ! 死ぬんじゃないよ!』


 その言葉を最後に、ルシェリスさんとの通話は途切れた。

 炎の塊と化した二頭は草原を突っ切る。遠くの方で岩山にぶつかるのが見えた。


 ……一番頼りになる武神を持ち去られてしまった。

 そして、本当にまずい状況になったよ……。


 私の心を見透かしたようにシグフィゼが微笑む。


「では、私達を相手に、ナンバーズとやらと半人前の竜でどこまで戦えるか、見せてもらおうか」


 言うが早く、彼女の姿は空中に。


 キィィ――――――ン!


 光の中よりその真なる姿で現界する。

 神々しく銀色に輝く鱗。翼を広げて降臨したのは見惚れるほど美しい竜だった。


 ……これが、黒天と対をなすもう一つのマナ特化型、その最終進化体【滉仙神竜】。

 マナの量だけなら、もう隣の【煌帝神竜】ヴィオゼームに匹敵するほどだ。

 最上位の中でもおそらく上位にいる二頭を、私達だけで……。


「これは絶対に無理」


 全員が思っていることをチェルシャさんが率直に述べていた。


「ですが、やるしかありません。リズテレス姫を信じて、誰も死なせずに時間を稼ぐしか」

「む、私は誰よりも姫様を信じてる」

「だったらお姉ちゃん、私も力を貸す」


 声に振り返ると、気絶していたはずのモアが起きて私を見上げていた。

 しかもこれは、本能型のモア。おどおどした感じが完全に消えてる。

 きっとこの子が本来持っている才能を存分に発揮できるはず。なかなか頼もしいかも。そしてよかった、……こっちでも私をお姉ちゃんと呼んでくれた。


 豹変した妹を、セファリスとキルテナが二人で挟みこむ。


「気持ちは嬉しいけどね、モアじゃ神獣化してもこの戦いは危険よ」

「そうだぞ、お前なんて一口で美味しく食べられて終わりだ」

「黙れウザゴン。セファリスの言う通り、私の弱い体では戦力にならない。だから、感知能力でお前達を補助する」


 あれ? 私への態度と違わなくない?

 本来はモアの方が年上だから別にいいんだけど。……それにしても、キルテナには厳しい気がする。

何気に、これで神獣全ルート出た気がします。

生命力特化 【白王覇■】【煌帝滅■】

マナ特化  【黒天星■】【滉仙月■】

攻撃力特化 【穿槍暁■】【迅矛碧■】

防御力特化 【水晶輝■】【鎧鱗剛■】

毒特化   【災禍怨■】【冥獄凶■】

ここまでずいぶん掛かりました。


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身長141センチで成長が止まった私、騎士として生きるために防御特化型になってみた。




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婚約破棄された没落貴族の私が、元婚約者にざまぁみろと言って、王国滅亡の危機を逃れ、ごくありふれた幸せを手に入れるまで。



― 新着の感想 ―
[良い点] 神獣進化先全ルート紹介達成(=´▽`=ノ)ノ パチパチ 世界戦前に来るかなっと思ってましたー
[一言] そろそろセファリスお姉ちゃんも進化しなきゃね! そして…追い付いた!( ̄ー ̄)ニヤリ
[一言] 戦いの才はあってもバカじゃあねぇ 戦力差が圧倒的に開いてればともかく トレミナはマナ特化型ルートかな 団栗の神獣?は最後の文字はどうなるやら
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