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ジャガイモ農家の村娘、剣神と謳われるまで。  作者: 有郷 葉


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153/212

153 [アデルネ]狐神の手口

 まさか二度も国を襲った敵を守護神獣にするとはね。

 やっぱりこの同志達は愉快だわ。彼女達と一緒にいるのは楽しい。

 本当にここが私の居場所なのかもしれない。

 神獣は長い時を生きるけど、それはあてのない旅路を進むようなもの。望む場所に辿り着くのは簡単じゃないと思う。

 あのロイガも過去に色々あったようね。

 辿り着いたそこがあなたの居場所になることを祈るわ。同志メアリアが言った通り、なかなか大変でしょうけどね。

 ロイガの前には鋭く睨みつけるオージェスさんが。


「女王様の方針には従う。だが、お前の配下には騎士の仲間達を殺されてるんだ。町の人達もな。俺もお前を許さない者の一人だということを忘れるなよ、ロイガ」

「分かっている。それでも俺は守護神獣なのだから、一定の敬意をもって接してもらおうか。ロイガ様と呼べ。それから、婚約者だか何だか知らんが、貴様はさっきからメアリア様にベタベタしすぎだ」


 と険悪な二人。間に同志メアリアが割って入る。


「守護神獣と親衛隊隊長は、同格……」

「だそうだ、ロイガ様。俺のこともオージェス様と呼べよ」

「……ロイガで構わん」

「オージェスも少し堪えて……。レイサリオンの戦力は私達だけ……。あまりいがみ合うな……」

「……すみません、女王様」


 しゅんとするオージェスさんを横目に、ロイガが遠慮がちに尋ねる。


「メアリア様、俺の人型を怖がっておられたようですが、もう平気なのですか?」

「うん……、半殺しにして下僕にしたら大丈夫になった……」

「そ、そうですか」


 同志メアリアそれ、婚約者も下僕ってことじゃないの?

 絶対女王を前に、男二人は大人しくなった。彼女が中心にいれば何とか上手くやっていけそうね。

 私の隣では、シエナがその様子を羨ましそうに眺めている。

 ちなみに私がシエナを同志と呼ぶのは表向きだけ。彼女とは同志達の絆が生まれるずっと前からのつき合いだから。もっとも、本人はそのことを覚えてないんだけど。

 今も能天気に、私ならどっちの男前にしようかな、なんて考えているに違いない。


「正統派とワイルド系、どっちも捨て難い」

「相変わらずだわ。あなた、結婚相手を決める時も悩みに悩み抜いていたものね」

「え……? 同志アデルネ、私はまだ未婚ですが? ……あなたはちょくちょく私のことを言い当てますよね。もしかして、神獣特有の予知能力とかですか?」

「そんなところよ」

「……なんだか私、ずっと昔、同志アデルネに会ったことがある気がするんですよね。だけど、そんなはずないです。あなたが人型を手に入れたのはほんの最近なんですから」

「そうね、きっと気のせいよ。くく」


 もうはぐらかす必要もないか。

 おそらくこれが私のトリガー。この引き金を引くために今回の作戦に加わったんだし。

 とはいえ、戦う相手はいた方がいいわね。

 私は狐神の女性に視線を送る。

 彼女は相方が寝返っても黙ってそれを見守り、周りが敵だらけになっても逃げずにいた。

 それも当然。私が威嚇のマナで抑え続けていたんだもの。

 そろそろ解放してあげようかしらね。

 ほら、どうぞ。


「ロイガ! あんた何裏切ってんのよ !そ! それよりこんなに強い人間がいるなんて聞いてないっ! というよりこんなに人間が強くなれるなんて聞いてないっ! と! とにかく逃げなきゃ、ぐぅ!」


 逃げられるのは困るわ。

 もう一度マナで狐神の動きを止めた。

 こんなことができるくらい実力差があるんだけど、いないよりはマシでしょ。

 と思っていると、同志達から哀れみの声が。


「破廉恥な人ですが、ちょっと可哀想ですね」

「ええ、破廉恥を差し引いても可哀想です」


 なんて優しいのかしら。ここは彼女達のやり口を教えてあげるべきね。


「狐達はあなた達を殺してなり代わるつもりだったのよ。まず〈認識擬装〉で周囲の目を欺いてコーネルキアに入りこむ。それからゆっくり人と狐を入れ替え、やがて国の中枢を掌握。これが【霊狐】種の手口よ」


 ロイガが頷いて同意。


「俺が聞いたのも大体そんな感じだ」


 途端に、同志達の狐神を見る目が冷たくなった。


「こんなに悪い神獣は知りません」

「隣の人がいつの間にか別人になってるとか、怖すぎです」

「もう退治してしまいましょう」

「ええ、退治しましょう。今すぐに」


 魔女達は刃物や鈍器を手に、狐神の女性を取り囲む。

 楽しい宴になりそうだわ。それでも構わないんだけど、やっぱり私の獲物だしね。


「待って、同志達。彼女は予定通り私が倒すわ」


 どうにか逃げ出そうと忙しなく視線を動かす狐神。挙動不審な彼女に詰め寄る。


「いずれにしろ、あなた達の計画は失敗したわよ。コーネルキアにはそこの女王様と同格の使い手が、少なくとも六人はいるから」

「ろ! 六人も!」

「あと擬装を見破れる兎(師匠)もね。まあ情報管理は徹底してる国だから調べようがなかったんでしょうけど。さて、あなたにチャンスをあげるわ。私と一対一で戦って、勝てたら見逃してあげる」

「あんたに……? そんなの勝てるわけ」

「断れば今すぐ皆で殺」

「やるわ」

[メアリア女王の対人恐怖症克服法]

 半殺しにして下僕にする。

(※絶対に真似しないでください)


アデルネの言う、メアリアと同格の六人

リズテレス、レゼイユ、ジル、トレミナ、ロサルカ、ライ。

チェルシャ=惜しい。

セファリス=もう少し。(〈合〉を使えば七人目)

リオリッタ=もっと頑張りましょう。

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― 新着の感想 ―
[一言] ナンバーズの皆さんはもう人外ですからね!(笑)
[一言] 手探りな疑心暗鬼で進む人狼ゲームみたいだ… 漫画だと最終巻発売まで気になっても見れないチキンです…(ヽ´ω`)
[一言] 昔そんな映画があったなぁ 異星人がTVの電波に乗っけて認識阻害電波を出して人間そっくりになって入れ替わるってのが
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