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151 虎狐神連合軍[シエナ]が誇るナンバー4

 あちらの破廉恥な狐神も虎神に先を譲った。最初からそういう計画だったようにも見えるわね。


 自ら前に出た同志メアリアだったが、その足がピタリと止まった。


「きひ……、きひひ……」


 大変だわ! 同志メアリア、すごく緊張してる!

 相手の人型は高圧的な大柄の男性。普通の人にも緊張する彼女には刺激が強すぎるわ。……神獣ならどれだけ巨大でも平気なのに。

 よし、ここは私が後ろから支えよう!

 駆け寄ろうとしたその時、オージェスさんがそっと同志メアリアに寄り添った。

 あら、まあ……。


 虎神の男性も立ち止まり、腕組みしながら口を開いた。


「レイサリオンの女王、名をメアリアというそうだな。俺はロイガだ。二年前、お前にあしらわれたあの日から、ずっとこの瞬間を待っていた」


 婚約者の支えを得て、同志メアリアもどうにか背筋を伸ばす。


「そこまで、私を恨んでいるのか……? 執念深い虎め……」

「否定はしないが、俺は何よりこの国の王になりたい」

「王となって民を食らうか、この鬼畜生が……」

「す、少しは口を慎め。野良だが俺は神獣だぞ……。人間は食わん。生かしておけばもっとうまいものを作ると知っているからな。レイサリオンは人と物が盛んに行きかう国だ。支配できればこの上なく贅沢な暮らしが送れるだろう」

「浅はかな……。力だけで王が務まると思うな……」


 え、同志メアリア、あなた割と力だけで女王に君臨していませんか? 政務をこなしているのは主に部下の方達ですし。

 と話の腰を折るのはやめておこう。

 それにしても、国取りの理由が贅沢な暮らしをしたいからだなんて、何だか可愛い虎神ね。

 ロイガと名乗った彼は、同志メアリアに指を突きつけた。


「だが、力が必要なのは確かだろう。メアリア、王の座を賭け、俺と勝負しろ」

「望むところ……。ではあるけど、お前……、自分が狐達に利用されていると分かっているのか……?」


 全員から視線の集中を浴び、狐神の女性はたじろぐ。

 ロイガはフッと笑みをこぼした。


「ああ、承知している。しかし、俺もこいつらを利用しているからお互い様だ。狐共が欲しいのはコーネルキアらしい。俺はレイサリオンが手に入ればそれでいい」

「だったら、もう言うことはない……。戦おう、一対一で……。神獣に戻れ……」

「そうするつもりだが、お前は武器を使わないのか?」


 気になって思わず聞いてしまったようね。

 同志メアリアは鎧姿で武器らしき物は何も持っていなかった。

 元々、彼女は武器を用いない戦闘スタイルだ。マナの量が飛び抜けて多いので、魔法を思う存分使うことができる。

 ただ、それはちょっと前までの話。

 今の同志メアリアには専用の魔導兵器がある。しかも魔導研究所で開発されたばかりの最新式のやつよ。

 それが現在、どこにあるのかというと……。


「もうトレモアちゃんは大丈夫ですよ。同志メアリア、全力で戦ってください」


 私の言葉に対し、彼女はしばらくしてから頷いた。

 共有している〈霧状感知陣〉で私達は常にトレモアちゃんの所在や状態が分かる。

 加えて同志メアリアは自分の武器に追跡させることで、いつでもあの子を助けられるようにしていた。

 食べられそうになっても助けられないなんて言っておいて、本当に優しいんだから。

 ちなみにトレモアちゃんの方は……、……あれを大丈夫と言っていいのか分からないけど、大丈夫よ。少なくとも、彼女自身の命の危険はないと思う。


 主の呼びかけに応えて、森の奥から同志メアリアの武器達が戻ってきた。


「それは……、何なんだ?」


 ロイガ、そう問いたくなる気持ちは分かるわ。

 同志メアリアの周囲には、人の頭ほどの大きさの正八面体が四つ浮かんでいた。

 あれらが彼女の武器、遠隔操作型魔導発動体、メアリア2号、3号、4号、5号よ。(1号は本人ね)

 リオリッタさんの毒電波弾と同じで、入れた魔法を遠隔操作で放つことができる。違うのは事前に複数の魔法を登録しておける点。いずれも下級か中級だけど、それで充分とも言えるわ。


「これが私の武器……。二年前の私と、同じと思うな……。今度は、押し流すだけでは済まさない……」


 同志メアリアのマナがいっそう力強くなった。

 それに対して、ロイガの方は全身が光り出す。どうやら神獣に戻るようね。


「はは、面白い。俺もこの二年、ただ配下を集め回っていただけではないぞ!」


 こちらはマナのみならず体もどんどん大きくなっていく。

 その様子を眺めながら同志アデルネが私の所に。


「神獣は修羅の森にでも篭らない限り、二年じゃそれほど強くなれない。あの同志メアリアにどこまで通用するかしら。やっぱり彼女の武器は反則でしょ」

「……私もそう思います」


 近頃のナンバーズは皆、成長が著しい。

 たぶんトレミナちゃんの存在が影響しているんじゃないかな。

 ナンバー4、同志メアリアもコーネルキアに来る度にマナの量が増えている。またオージェスさんが止めるのも聞かずに錬って錬って錬りまくっているらしい。

 加えて、新兵器の実装。

 メアリア2号から5号はその名の通り彼女の分身体よ。今なら最上位の神獣とも渡り合えるはず。

 個人的には、同志メアリアはもう剣神になっていると思う。

トレミナも剣神がゴールではありません。

むしろそこからが本番です。


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― 新着の感想 ―
[一言] …ファンネルか!? 本人合わせて5方向からの集中攻撃… 神獣でも…骨が残るか?(笑)
[良い点] わーい略称が決まったぞー! ヽ(´∀`≡´∀`)ノ [気になる点] >>>剣神がゴールではない<<< いやぁ衝撃でしたね! 剣神で終わりじゃあないとすると、現人神とかにランクアップしそう(…
[一言] ロイガさん、結構話の通じそうな虎ですね そこそこ贅沢な暮らしをさせる(たまにトレミナの料理も食べられるかも)って条件で降伏しないかな?
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