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140 虎狐神連合軍[モア]走る兎

 戦いが始まるまで時間があるようなので、私も気を静めて過ごすことにしました。そう思っても心の奥から不安が。

 ド、ドキドキが止まりません……!


「トレモアちゃんがまた震えているわ!」

「可愛い、じゃなくて可哀想に。さ、私の膝に」


 騎士のお姉さん達の膝は落ち着きます。ほとんどが私(実年齢二十二歳)より年下とはとても思えません。

 心に平穏が訪れたところで、私もやるべきことをやります。

 それはトレミナ様からいただいた〈トレミナゲイン〉の習得。技能結晶の解析は済んでいるので、この強化技の素晴らしさは分かっています。

 はっきり言って、人間の作ったものだとは信じられません。

 攻撃、防御、素早さ、全てを高いレベルで絶妙に調和させています。やっぱりトレミナ様はすごいです。

 習得までまだ数日は掛かりそうなので、少しでも急がないと。


 やがて王宮を出発する日がやってきました。

 私達コーネルキアの援軍がエントランスに下りていくと、すでに支度を整えたメアリア女王とオージェスさんが。

 お二人、何か言い争いをしていますね。


「オージェス、別に来なくていいって……」

「来るなと言われても絶対行きますよ。…………。少しの間、言葉を昔に戻すことをお許しください。メアリア、お前に追いつけないのは分かってる。それでも俺はこの二年、必死に腕を磨いてきた。こういう事態になった時、お前と一緒に戦うためだ。だから、メアリアに何と言われようと同行させてもらう」


 彼が言い放つと、騎士の皆さんは歓声を上げて沸きました。

 いったいどうしたんでしょう?

 そっぽを向いた女王様の顔は、長い前髪の下まで赤くなっています。親衛隊隊長が言うことを聞かないので相当お怒りのようです。

 そんなに怒らないであげてください。オージェスさんの実力は騎士の人達にも劣らないので、本当に頑張ったんだと思いますよ。

 オロオロする私を見て、アデルネさんが「くく」と。


「モアはまだまだ子供ね」


 どういうことですか?

 チームは何とか和を取り戻し、王宮を後にしました。


 虎神と狐神の連合軍は南から北上してきています。

 それを迎え討つべく、私達は一路南へ。

 移動手段は自分達の足です。これが一番速いので。

 ……だけど、私だけ遅れがちに。

 マナの量はこの人型でも騎士のお姉さん達と同じくらいなのですが、体格の差が……。(人型年齢七歳)


 すると、アデルネさんが私の横に並んできました。


「抱え持っていってあげましょうか、トレモアちゃん」

「……いえ、結構です」


 また運ばれるくらいなら、


 キュイ――ン!


 【古玖理兎】に戻ります。

 体長五メートル弱の黒兎。これで私が最大です。

 ……姉弟子、なぜ不機嫌な顔に。


「得意げな表情、モアのくせに生意気よ。同志達、疲れたらモアに乗って構わないから」

「では遠慮なく! トレモアちゃん失礼します!」


 我先にと背中に乗ってきたのはシエナさんでした。

 毛に体をうずめる彼女に、同志達からは不平不満の声。


「ずるいですよ! 同志シエナ! 全く疲れてないでしょう!」

「この人は欲望に忠実ですからね。自分の部隊に次々同志を入れていった人ですし」

「新たな特務部隊の隊長とするには、品格に疑問が残ります」

「そんなっ! 同志達――っ!」


 なるほど、特務部隊というのができても隊長はシエナさんじゃないかもしれません。

 と思っている内に、さらに五人のお姉さんが背中に。

 別に重くはないので乗れるだけ乗ってもらって大丈夫です。私も何度も膝の上に乗せていただいたのでおあいこ、……とはなぜかどうしても思えませんが。


 目的地までの道中、皆さんを順番に背中に乗せました。

 たぶんオージェスさん以外全員乗せたと思います。

 なぜ姉弟子まで……。


 それにしても、一大決戦の前だというのにこんなに和やかでいいのでしょうか。

 コーネルキアの騎士は、やっぱり他国の騎士とは違う感じがします。


 半日ほど平地を走った後、山道に入りました。

 そのまま頂上へ。

 眼下に見える広大な森が、決戦の地のようです。

そう、次話から決戦です。

ほのぼのしていられるのもここまでです。


モア

「…………!」(ドキドキ)


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― 新着の感想 ―
[一言] 体長五メートル弱の黒兎…乗りたい!モフりたい! そしてトレモアを膝にも乗せたい!(笑)
[一言] 体長五メートルで大きいイメージあるのに 小さい印象に思えてきちゃうから不思議
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