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ジャガイモ農家の村娘、剣神と謳われるまで。  作者: 有郷 葉


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114/212

114 魅惑の兎神

名称変更のお知らせ

【古玖裏兎】→【古玖理兎】

古の黒く美しい(玖)理の兎です。

 朝起きると、セファリスは元気を取り戻していた。


「よく考えてみれば全然へこむことじゃなかったわ。私は元々、総額二千万くらいだと思っていたのよ。そして、今あるのは一億相当のゴッドクリスタル。なんと五倍に増えてるじゃない!」


 彼女のいいところは、物事をポジティブに切り換えられる点だ。

 よくよく考えてみれば、本当は最初十億相当の宝石があって、九億ほどを失った事実に愕然とするだろうけど、せっかく元気になったので言わないことにした。

 今日はこれから兎神の一団に会いに行かなきゃならないんだから。


 他の人達はと言えば、第1部隊は疲労が残っているので一日休養日にするとのこと。

 メルーダさんを筆頭に昨日は大変でしたもんね。

 ゆっくり休んでください。


「そうさせてもらうよ。俺らはこの町の英雄らしいから居心地も悪くないし。もらった水晶の使い道でものんびり考えようかな。五千万もあると、いっぱい女性達への贈り物を買えそうだよ、はは」


 軽薄な笑みを浮かべるナディックさんを、メルーダさんは怖い目で。

 この二人は相変わらず仲が悪いね。


 それから、昨日の疲れが尾を引いているのがもう一人。ロサルカさんだ。


「闇を使いすぎたせいか、少し倦怠感が。私もお休みさせていただきますね」


 魔王を出しておきながらちょっとだるいだけで済むとは、暗黒お姉さんはやっぱりただ者じゃない。


 というわけで、今日行くのは私とセファリス、あとキルテナ……。そうだ、キルテナも疲れてるんじゃないかな。


「昨日の戦い、大分熊に咬まれたり引っかかれたりしてたよね?」

「あんなの大したことないって。トレミナの方こそどうなんだよ? マナを使い果たしてたじゃないか。バーストもやばかったし」

「マナはもう完全回復したよ。体も別に……、いつも通りだね」

「く、怪物め……。私はもう体中が痛くて痛くて……」

「え……?」

「何でもない! (こっちの)体は無傷だ! それに、これから会いに行くのは【古玖理兎】だろ? 昔、あいつらには散々ボコボコに……、とにかく借りがある」


 戦いにいくわけじゃないよ。


 【古玖理兎】は兎族最強にして、神獣の中でもかなり古い部類に入る種族だ。

 サイズも兎族最大の体長約五メートル。

 だけど、彼らが最強たる所以は大きさじゃなく、その戦闘スタイルにあった。後脚で立ち上がり、まるで人間のような格闘術を使う。

 ただ、この表現は間違っているかもしれない。人の方が【古玖理兎】の真似をして格闘術を生み出した、とも言われてるんだよ。それくらい古い神獣なんだ。

 扱う神技も他の兎族とは異なる。この点でも特別だと分かるね。



 今回の群れは、セドルドからさらに南へ行った所にある渓谷を根城にしていた。

 私とセファリス、キルテナは早朝に町を出発し、太陽が朝露を照らす頃には渓谷の入口に着いた。

 谷底を透明度の高い小川がサラサラと。

 視線を上にやると、巨大な黒い毛玉が。高台から一頭の【古玖理兎】がこちらを見つめている。

 兎は一跳びで私達の前へ。


 大きい……、【猛源熊】よりは小柄だけど、それでも兎としてはかなり大きい……。

 加えて、なんて柔らかそうな毛……。

 高貴ささえ感じさせる、光沢のある黒毛……。

 ……触りたい、……抱きつきたい。


「トレミナ! 吸い寄せられてるわよ!」

「外見に騙されるな! こいつらは凶暴だぞ!」


 セファリスとキルテナが、引き止めるように私の腕を掴む。

 大丈夫だよ、敵意は感じられないし。


 この【古玖理兎】は拠点の見張り役だろう。

 私達の方にも敵意がなく、この黒煌合金の鎧を着てるから下りてきてくれたんだ。先に来ている第2部隊の仲間だと判断してね。

 そうそう、その第2部隊の騎士達がちょっと困った状況に陥ってるんだよ。連絡は取れるんだけど、見動きが取れないというか。

 急いで確認しなきゃ。


 思いが伝わったのか、【古玖理兎】は回れ右して走り出した。

 すぐに立ち止まり、チラリと振り返る。

 ついて来て、ってことだね。


 兎の後を追って、私達は谷底を川沿いに進む。

 情報通り、一団の本陣はこの水源にあるらしい。


 もふもふのお尻を見ていて、ふと。

 【古玖理兎】、普段は四足歩行なのに、戦う時だけ二足になるんだ。聞くところによると、熊よりもっと二足なんだって。

 もっと二足……、見てみたい。

 それにしても可愛いお尻だ。


 やがて兎神達の本拠地をマナで感知した。

 信じ難い様子に、兜の〈透視〉で改めて確認。

 ……思っていた以上に、大変なことになってる。特に隊長の人が。

 今行きますよ、聖女騎士さん。

トレミナ、ついにドラゴンからも怪物認定される。

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― 新着の感想 ―
[一言] あ〜絡まれてるのかな〜?(笑)
[良い点] きっと皆モフモフに埋もれちゃって………良いことでは?
[良い点] 聖女騎士さんかぁ [一言] もふもふにやられてるか シリアス展開は少なそう
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