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【Alternative World Online】翠の天使、VR世界で徘徊中【ミドリ】  作者: 御神酒
第3章『連合国八鏡』

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#同伴者達の饗宴#

 


 ミドリがクリスを打ちのめした頃、屋敷の玄関は死屍累々の惨状が広がっていた。



「極力殺さないように急所を外してあげているのは是非とも優しいミドリくんに感謝してくれたまえ。メッセージに“できるだけ不殺で”となかったら今頃そろってお陀仏だったろうからね」



 そんな風に銃を手の中で回転させてのたまうのは、騎士相手に銃で無双劇を繰り広げたパナセアだ。



「いやー、無双というのはなかなか爽快だが、今はそんな呑気なことを言っていては怒られてしまうから急ごうかねー」



 足のジェットを噴出して、一階からしらみ潰しにマナを捜索する。



「GPSでも作ろうかな……」



 不満をボヤくパナセアが、奥に行く途中の廊下を進んでいると――



「ここー」

「だめー」



 イーとスーが通せんぼをしていた。その様を見て一瞬驚いたパナセアだったが、すぐに気を取り直して銃を向ける。



「つまり敵ということかな?」


「そー」

「だー」



 奇妙なポーズを取る二人に少し気が抜けながらも、銃の引き金から手は離さない。



「そこを通さないのなら撃つ」


「どー」

「ぞー」



 短い言葉を聞き届けたと同時に引き金を引いた。鳴り響く勇ましい銃声とは反対に、驚愕して後退したのはパナセアであった。


 放たれた弾丸は二人を貫き、何も起きなかったからだ。



「……スライム、か」


「せいー」

「かいー」



 二人がペッと弾を口から吐き出す。

 そして、二人はガッチリと抱き合い、ゆっくりと一人になった。



「八鏡のスイでーす」



 左右逆のサイドテールだった二人は、一人になったことでツインテールとなった。しかし他の見た目は何も変わっていない。



「知能も大して変化はないのか。スライムだから完全な分裂が可能というわけか。合体したということはその姿になることでしかできないこともあるのだろうがね」



 一人で推測して、一人で納得するパナセアだが、その目はいつになく真剣で、油断は一切見せていない。



「いっくよー」


「あまりパーソナルスペースに来られるのは嫌いだから遠慮願いたい」



 かなりの速さで接近するスイに、ストレージから取り出したガトリングガンで迎え撃つ。



「無駄だよー」



 服がぐちゃぐちゃになるも、体は蜂の巣になってもすぐに元通りになる。接近されると何かされると危惧したパナセアは真上に天井を突き破って上昇する。



「……あの時の様子からして海水が弱点か。しかし持ち合わせが無いないな。作るか」



 スイはスライムの姿となってパナセアを追う。屋根の上を走って触手状のスライムを躱しながら、ぶつぶつと呟いて思考を始める。



「海水は染み込んでいるな。【分析】、これならいけそうだ」



 ストレージから自分の水着を出して口の中に入れて飲み込んで体内で分析する。


 体内の未消化の物の中から必要な成分だけを集めていく。



「【肥大化ー】」


「ほっ、よいっ」



 膨れ上がったスライムの攻撃を難なく回避しながら自分の腕を取り外す。



「これで、あーん」


 自分の左腕を丸々飲み込む。開いた口の大きさは、機械の体だからこそできると周知させるような動作だ。


 人間に近い皮膚と、中の素材から足りない成分を補って、擬似的な海水が体内で完成した。



「しかし問題はかけ方だ。このサイズだと一部にしか効果は出ないからな。ふむ……」



「【液状同化ー】」



 再び思考を進めようとするも、スイが突然消え去った。


「おっと……これはなかなか厄介だな」



 否、屋根と一体化したのだ。先の尖った柱が屋根から大量に飛び出す。



「【形態変化】、スネークモード」



 人間の体から、蛇の姿へ変貌する。打ち上がる柱の雨を掻い潜りつつ、一つ連絡を入れる。



「具体的な場所を教えてくれると助かる。……ああ、了解だ」



 パナセアだけに聞こえる、ミドリからの情報に従って屋敷の奥へ進んでいく。



 打ち上がった柱、もとい槍が今度は一斉に降り注ぐ。雨のような密度の攻撃に少しずつ体が削がれてしまうが、パナセアは上手くくねらせて重要な部位だけは避ける。



「さぁさぁ! こっちだ!」


「待てー」



 押されているにも関わらず、あえて挑発して誘い込む。

 ミドリ達が居る真上に到着したので、パナセアは振り返って迎え撃つ準備をする。



「【形態変化】、人間モード」



 左手の欠けた元の姿に戻り、ストレージから一丁の狙撃銃を取り出した。



「さぁてと、さよならといこうか」


「まーてー」



 銃を握り、背中から身を投げ出す。綺麗に落下するパナセアを追って、スイも屋根との同一化をやめて飛び降りる。



「……」

「それは効かないって言ったよー」



 銃口をスイに向けているが、それに怯えず余裕綽々といった様子で発砲を待つ。


 が、



「知っているさ。無駄なことは大嫌いなんだよ。【狙撃】」

「え?」



 咄嗟(とっさ)に身を(よじ)って狙いを変えて、狙撃する。余裕ぶっていたスイにその弾の妨害は間に合わない。


 狙い通り、一階にいたミドリと戦闘中のトゥリの足に命中する。



「硬いな。あれなら対物ライフルでもよかったかもしれない。まぁ過ぎた話だが」


「……よくも! 親を!」



 状況を理解したスイは激情し、体を広げてパナセアを飲み込もうとする。スライムはその体の中に入れることで敵を溶かすのが基本的な戦い方なのだ。


 だが、それも予想通りとパナセアは不敵に(わら)う。



「いつぞやと同じく派手に散ろうか」

「まさかっ!」



「やっぱりあの時のスライムも君だったか。ならもう分かるだろう? 【自爆】」



 コアの周りに人工海水を配置することで、帝国で自爆した時より遥かにスライムに効く攻撃と化す。



 補足だが、この世界のスライムには弱点がある。海水と熱だ。



 まさに弱点をつく攻撃がスイを吹き飛ばし、分解されていく。




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