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【Alternative World Online】翠の天使、VR世界で徘徊中【ミドリ】  作者: 御神酒
第7章『暴食』

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##11 魔王

 

 ちょいちょいと魔王に場所を変えるように示し、敵のサキュバスと引き離す。律儀に従ってくれたのは私を脅威として認識してくれたのだろうか?



 {適応魔剣}と{吸魔剣2号}を手にした私は、おぞましいオーラを放つ剣を持った魔王と相対している。相手は右手で剣、空いた手で魔法系統を放つのだろう。間合いが純粋な剣士のそれではない。



「【適応】」

「【不浄の魔毒(マイト・トキシン)】」



 魔王の周囲からいかにも危険そうな気体が出される。玉座の間はかなり広いので、コガネさんたちの方まで充満することはないだろうが、長期戦になればなるほど量は増えるしキツくなる感じかもしれない。




「【ダッシュ】」



 駆け出す。無作法に、隙だらけに、正面から。




「なめられたものだな。【突――」


「【縮地】!」



 緩急をつけて距離を詰める。

 ジェニー先生が言っていたように、長期戦に備えてとっておいた方が普通は良いのだが、今回は状況が違う。長期戦は毒のせいで圧倒的に不利になるのだ。臨機応変に倒す。



「しっ――!」

「疾く爆ぜよ〖ファストボム〗」




 ゼロ距離で魔法が展開される。

 私はバツ印で剣を振っているので防ぎようがない。



 ――なんて考え無しに特攻してはいない。



「【吸魔】!」



 今にも爆発しそうだった魔法は2号に吸い込まれ、私の斬撃が無防備な魔王に入った。


 我ながらとんでもない初見殺しである。私が相手だったら理不尽過ぎて引くレベル。



「くっ、かはっ……なめていたのはこちらだったか」



 初手は様子見だったからかなりのダメージを与えることができたが、結果としてはあまりよろしくない。ここで仕留められなかったから――筋肉が張ってきた。息も苦しい。間違いなく毒の効果だろう。



「それに先の魔法の吸収、何の遺物(アーティファクト)かは知らぬが、許容量を上回ればいいのだろう。確実に仕留めよう」


「やれるものならどうぞ?」



 とは言ったものの、打開策が一つしかない。魔法は2号がどうとでもできるが問題は攻め手だ。想像以上に毒の効きが強くてまともに斬り合える気がしない。【不退転の覚悟】を使えば回復と強化は可能だが……。



「黒き光の雨をここに〖カースレイン〗」

「【吸魔】」


「死の権化を〖デッドリーブレイク〗」

「……【きゅーま】」


「救済の堕落に〖ゲフォルテン〗」

「【きゅま】」



 見た目の強さ的に魔術っぽいけど詠唱を短縮できるスキルとかあるのかな、なんて考えながら適当に吸収し続けていると、突然2号から妙な音声が響いた。



 〈貯蓄限界に達しました〉

 〈周囲の一般人は避難してください〉

 〈爆発まであと3……〉



「へ?」


 何か知らないけど爆発する!?

 と、ととととりあえず魔王にぶつけてしまえ!



「パースッ!」


 全力投球した後、とてつもない規模の爆発が起こった。どういう仕組みか指向性を持った爆発で、魔王を刀身で押しながらどこかへ吹き飛ばし、




 ――――どこかの街で盛大な花火が上がった。

 いや、正確に言うと街が花火になった。



「よ、ヨシ! 魔王退治完了ですね!」


 壁になぜか穴が空いたので毒も薄まっていく。どうやら体内に残るものではないらしく、私も少しずつ回復している。



「さて、あちらの加勢に行きますかー」



 コガネさんの幻術で大量発生した彼女の方へ向かう。2号が殉職したので【適応】を使って大剣状態にしておいて。



「――【曇天の(つるぎ)】」

「な!? くぅ……!」



 背を向けた壁の穴から攻撃が。

 何とか咄嗟に防いだが、威力は殺しきれずに吹き飛ばされる。(うめ)きながら攻撃してきた者を睨む。


「この姿になるのは久しぶりだ」

「魔王……あれを食らって生きてるんですか」



 ボソッと愚痴を吐く。殺すつもりはないので完全に事故なのだが、あれでピンピンしているのは腹が立つ。私の予想通り第二形態とかある系の魔王だったようだ。


【不退転の覚悟】を温存していたのも、その効果は対象を倒すか私が死ぬまで。それゆえに、変身されたら効果が切れる可能性があったのだ。

 別個体として認識される場合も考えて温存しておいて正解だった。



「……ちなみにそれ以上変身とか残ってます?」

「まさか。これが最強の魔王の全てだ」



 それが最強?


 ――――戯れ言を。



「……貴方の境遇には同情します。魅了という洗脳をされ、実の娘と敵対して、愛の無い営みをさせられて」

「何を言っている」



 立ち上がって剣を拾う。



「すぐに分かりますよ。目を覚まさせてあげますから」

「意味の分からないことを。【霞斬り】」



 魔王はきちんと強い。それこそ普通の状態であれば世界でも上位の強さだろう。


 だが、真に最強であるジェニーさんに比べたら全てが弱すぎる。優しい王なのだろうが、君臨する王としての大事なものが欠けている。



 細く鋭利な太刀筋を前に、私は満を持して()と成った。




「【不退転の覚悟】」





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