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万魔の王  作者: 天狗道
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ノイアのステータス

座学が終わり、今日は自分が生まれて丁度一月目ということで、体調や健康の管理をしてくれていた『魔女』アリアがOKサインを出したことで、今日から外に出て体を動かす訓練をしていいことになった。

アリアに渡された動きやすい服に着替え、長い髪をまとめ上げながら屋敷の広間に向かうと、そこには『蜘蛛族(アラクニド)の女王』ナターシャと『牛蹄族(タウロス)の王』ガザンが待っていた。


「オウッ! 来たなノイア様! 今日からは俺とナターシャも交えて訓練をしていく! 我らの子であろうと手加減なんざしねぇからそのつもりでいろよな!」


「魔法、剣術、体術、搦め手を含め、全部教えていくから、逃げないようにお願いするわね?」


「うん、よろしく!」


「挨拶はそこそこにして、ノイア様! アンタは自分のステータスを見たことはあるか?」


ステータス……?

聞き慣れない言葉に首をかしげていると、なんとなーく魔法の授業でヤンが話していたような気がするのを思い出した。


「その様子だと、耳には挟んだことはあれど実際に確認したことはないって感じねぇ。『ステータス』というのは、自分がどれだけの魔力を保有していて、“どんなことができるか”を記した自己紹介カード……のようなものだと思えばいいわ」


「自分の情報を詳しく知りたいって時にこう……ビビっとな! 念じたら自分の前に透明な板みてぇのが出てくるはずだ!」


自分の情報を知りたいときに……ビビっと?

ガザンに言われたイメージではいまいちピンと来なくて四苦八苦していると、ガザンを押しのけてナターシャが顔を寄せてくる。


「ノイア様の場合は感覚よりも考え方から教えた方が良さそうね……。ノイア様、ステータスに映る情報の種類を今から説明するから“自分に宿るそれらの情報を知りたい”と念じればきっとできるはずよ、いい? 説明するわね?」


『ステータス』に表記される情報は主に5つ。

名前、性別、種族、魔力量、そしてスキル。


名前と性別は言わずもがな、種族はナターシャの場合は『蜘蛛族(アラクニド)』と映る……わけでもなく、長く生きた個体にもなると『自分の種族』という単位で変化が起きる。

これは一部で『転化(てんか)』という様に呼ばれており、例としてナターシャは『蜘蛛族』から二回ほど『転化』して、いまでは『女王型絡新婦(アラクネ・クイン)』という種族らしい。とはいえ、本人は種族に関してはそこまで気にしている訳でもなく、「普通に蜘蛛族でいいのに」と愚痴を漏らされた。

因みに『人間』や、その近縁にあたる『亜人』には、『種族』と『魔力量』の間に『職業(クラス)』なるものが挟まっていたりするらしい。


次いでの項目である魔力量、これは自分の保有できる魔力の上限数と、使った分を差し引いた残量が表記される。魔力の量を数値化できる時点で驚きだが、あとどれくらいで切れるかの目安が見えるのは分かり易くて良い。

そして一番重要なのが『スキル』。

これは種類によって分けられるらしいが、代表的なもので例えると『通常スキル』『魔法スキル』『上位スキル』『希少(レア)スキル』『恩恵(ギフテッド)スキル』の五種類で、例外的に『固有スキル』というものもあるという。


順に説明していくと『通常スキル』は生きていくうえで必要な技術や戦闘技術の習熟度を表したものであるらしい。スキルにはLv(レベル)が割り当てられており、そのスキルに該当する行動をする毎にLvは上昇していく。

上限がLv10で、それ以上使い続けると消失し、代わりに『上位スキル』として派生してまたLv1から始まる。

しかしこの『上位スキル』には個別の欄がある訳ではなく、基本的に通常スキルと同じように『スキル』の欄に並べられる。


『魔法スキル』は前述の魔法版で使える魔法の属性と、その習熟度が表記される。こちらにも上位スキルは存在する。魔法スキルの場合は『スキル』とは別の『魔法スキル』の欄に表記される。


希少(レア)スキル』は、一部の条件を満たしたものに発現する強力なスキルで、同じような効果でも同じLvの通常スキルとは比べ物にならない効力を持つ。条件さえ満たせば誰でも習得可能でもあるらしく、後述する『固有スキル』とは全くの別物。

『希少スキル』にもそれ用の欄が用意されている。


恩恵(ギフテッド)スキル』、これは人間や異種族とも違う知的生命や、上位存在から分け与えられた『権能』の一部を扱えるようになるスキルで、神や聖獣、生きた魔導書などから授かる『加護』のようなもののようだ。

魔王軍の中では唯一『魔女』がこれを持っているらしい。


最後に『固有スキル』これは100年に一度ほどの確率でこの世界に住む人々の中からランダムに一人習得するといわれる非常に珍しいスキルで、どの効果も強力無比かつ同じ効果を持つものは無いとされている。

しかし、珍しいといえばそうなのだが、100年を軽く超える寿命をもつ種族が数多(あまた)いるこの世界では、所有しているのは世界に一人だけ……という訳でも無かったりするようだ。


「――と、ステータスに関しては大体こんな感じだけど、どうかしら? できそう?」


「……やってみる。」


「見えたらその内容を羊皮紙に描いといてくれ! 俺たちは『看破』のスキルを持ってねぇからそうしてくれないと確認できねぇんだ!」


「わかった」


近くにあった木箱の上に腰かけ、あずかった羊皮紙と羽ペンをもってイメージする。

―――自分の…詳細情報……ビビッと!


**********


名前:ノイア

性別:両性

種族:魔造混合生命体(サタン・ルーラー)

魔力量:44990/45000


【固有スキル】

魔王転輪(エヴォル・デモンズ)

 ・蜥蜴人

 ・精霊種

 ・魔人

 ・不死者

 ・馬蹄族

 ・蜘蛛族

 ・牛蹄族

 ・人間


【希少スキル】

覇王眼(はおうがん)Lv1 ▽

 ・幽魂(ゆうこん)の魔眼

 ・抑留(よくりゅう)の魔眼

 ・爛輝(らんき)の魔眼


【スキル】

集中Lv3

硬質化Lv1

暗視Lv2

看破Lv1

演算Lv5

読解Lv5


【魔法スキル】

火属性Lv1

水属性Lv-

土属性Lv-

風属性Lv-

雷属性Lv-

光属性Lv-

闇属性Lv-

無属性Lv-

陰陽属性Lv-


**********


見たままのステータスをつらつらと羊皮紙に書き写し、見直して確認した後、それをガザン達に手渡した。

目を見張るほど……という訳でもないものの、ガザンとナターシャは興味深げにステータスを見ていた。


「ほほーっ! ノイア様はなかなか魔力量が高いみてぇだな! 俺なんか魔力総量3000だぞ! 人間の弱い魔法使いくらいしかねぇわ!」


「まぁ、高いにしても珍しい訳でもないわ。(わたくし)は67000、アリアに至っては200万もあるらしいし、生まれたてにしては高い程度かしらね。それより種族よ、ノイア様は錬金術によって生まれた御方だし、てっきり人造生命(ホムンクルス)かと思っていたのだけれど……」


魔造混合生命体(サタン・ルーラー)ねぇ、融合魔獣(キマイラ)ともまた違うっぽいし、新種なんじゃねぇの? 俺は聞いたことねぇし、今度アリアかヤンに聞いてみようぜ! あいつら俺らより断然年寄りだからな、なんか知ってるかもしんねぇ」


「えーっと……あのさ二人とも、それよりも突っ込むところがあるんじゃない……かな? ほら、固有スキルとか、希少スキルとか……さっき説明で聞いた珍しそうなやつが二つもあるんだけど……」


ノイアが気まずそうに目を逸らしながらそれらの事を指摘すると、2人は肩をすくめながら反省したように頬をかく。


「あー、まぁぶっちゃけ予想はしてたしな、ノイア様は俺たちや、他の仲間の種族達の血肉を元に生まれた、それこそ唯一無二の、本物の『魔王様』。そんなお人が固有だの希少だのなんだの、それくらいは二つか三つ、持ってて然るべきだ! ……ってな」


「正直に言えば、もっとあって欲しかったわね。希少スキルくらいならこの屋敷にいる七種族の長全員が二つ以上持っているし、ヤンも固有スキルを一つ持っているらしいわ」


「えぇ~……、ついさっき『一般的な認識』を知ったのに、現環境がそれから逸脱してるんですけど……。」


「まぁ、それについてはなんも言えねぇよ、だが話の本題はここからだ」


仕切り直しと言わんばかりに蹄で地面をザリザリと鳴らしながら、ガザンは深呼吸して言葉を続ける。


「さっきナターシャが説明した通り、スキルとはつまり“今の自分にできる事”だ。それを態々書き起こしてくれているんだから、神なのか世界そのものなのかは知らんが、便利に見せてくれる“それ”には大きく感謝する事にしよう。できることが表示されるって事は、それを使う行動を起こせば、文字通り“出来る”ってことだ。……あー、だからなんだ、えーっと」


「つまり、今からノイア様にしてもらうのは“スキルを用いた体の慣らし”という事よ。」


頭を使うような説明に慣れていないのか、このままでは話がループしてしまいそうという所でナターシャが助け舟を出す。これから行う事は実際に意識して『スキルを使う』という、実戦の前の訓練“の前の訓練”という事だ。


「ではノイア様、いまからスキル使用の練習をしていきましょうか」

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