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英雄たちの悲劇  作者: ひおなちゃん
1/2

仲間

ここは昔、1番栄えてた酒場だった。

そして今はバカでかい声で笑い声が、下品な笑い声が聞こえてくる。


「ほんの数年前さ。奴らが現れたのは…

なんて言っていいのかね幸運なのか不幸なのか。でも少なくともその時は彼らがいてよかったと思ってたよ。」


酒場のマスターはいつもあの時の話をする。

それだけ彼らに裏切られたのがショックだったのか。


「マスター、その話何回聞かせんだよ。"彼ら"が帝国のやつらをやっつけたんだろ?そしてそいつらは我らが王様から権力を与えられたって訳だ!めでたしめでたしってな」


はっはっは

柄の悪そうな奴らがそう口にするとマスターが不機嫌そうに続けた。


「それで終わってたらどれほど楽か。この店もこんな経営状況に陥ることは無かったよ。"彼ら"はね。この店の常連だったんだよ。だが王様から貰った権力とやらでこの店を潰そうとしたんだ。あの時の絶望ときたら今でも腹が立つ!あぁ、クソっ!!思い出したらまたイライラしてきやがる!」


周りの空気がどんと沈み込み酒場中に殺気のような何かが覆う。


「で、でもよ。そいつらは短い期間で多くの悪事を働いたせいでそいつらのリーダーは処刑、他の奴らも追放されたんだろ?よ、よかったじゃねぇか」


だんだんと熱くなるマスターをなだめるように柄の悪い、いや"さっきまでは"悪かった人がそう言った。今は怯えた小鹿のようだった。


……


周りで少し緊張が走る。


「あぁ、俺はそんな安い刑で許したくはないがな。」


なんとか怒りが収まり、みんな苦笑いを浮かべながら心の底で安堵した。

ふーっともちろん僕も止めていた呼吸をもう一度し始めた。酒場に篭もっていた殺気はすっと消えた。

ここの酒場はこんなのが日常だ。

なぜいつも僕がこんな日常に居るかと言うとそんなマスターは少しだけ本気で楽しかったという顔を"見せる"からだ

また笑い声が戻り始めると、僕はさっきまで隅の方で飲んでいた集団が外に出るのに目がいった。その集団は4人組で全員フードをかぶっていたので、来た時から僕は時々彼らに目を移していたのだ。

うーーん、怪しい…

そう思った僕は彼らを追うように酒場を後にしたのだった…。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あぁ!もうなんなんだよ"あの噂"は!」


「まぁ、落ち着け仕方ないだろ?俺達はお尋ね者ってことだよ。」


「だから"俺達"はなんもやってねぇじゃん!」


「そうだなぁ。たしかに俺達は何もやってねぇ。あぁ、いやこの王国を救ったか?ははっ、そうだそうだ。救ってしまったんだよ。"こんな王国"をな。」


「だったら俺達はなんでこんな目に!」


「まぁそうかっかすんなって、あとの2人は落ち着いてんのにお前だけだぞ?」


「でも!あの酒場のマスターは俺達のことを恨んでる!あんなに殺気が満ちるほどに、よく知りもしないくせに!」


あぶないあぶない見失うところだった。

あの4人組…何かもめている?

離れすぎて声は聞こえないな…もうちょっと近づくべきだったか。


僕はいつも通りメモを取り出した。

騒ぎ立てる男の頭をを落ち着いた男が掴む。


「それまでだ。あのおやじのことを悪く思わないでくれ。あれでも、俺達の大切な仲間の1人だ。」


「分かったわかったから下ろせー!」


騒いでた男もなかなかガタイの良い男なのにそれを片手で軽々と持ち上げるなんて…なんて怪力…

僕はつい持っていたメモを落とした。しかし、魅入ってしまってそのことにも気づかずに夢中になって観察を続けた。


「あぁ、わりぃ。つい力が入っちまって、あははっ」


「わざとでしょ。それともあなたが取り乱すことなんてあるの?」


もう1人は女性か?身長は4人組で2人がずば抜けて背が高いせいで彼女が低く見えるが普通の女性と同じくらいだろう。あとの1人は子供のようだが

ここで僕はメモを落としていることに気づいた。


ぁ、あれ!?メモは?あぁなんだ落としただけか。まったく、急に消えるなよ。僕が悪いんだけど…


メモを拾うとまた彼らの観察を続けた。


「そんなことより、あれいいの?あなたも気づいていたんでしょ?」


「え?あれって…」


「あぁ、"あれ"ね」


「…ぅん…あれ…」


4人組が一斉にこちらを向く。


「え?こちらを向く?」


メモに一瞬目を移し、もう一度彼らを見ると彼らはもうそこにはいなかった。


「え?消えたっ!?」


僕は慌てて彼らがいた付近を"見る"がどこにも見当たらない。


「やっほー。お嬢さん、俺たちのこと見てたでしょ。」


急に背後から声が聞こえた。

いやいやそんなはずはない。ここは民家の屋根だ。登るのにも苦労するし、まず誰もやってこない。"目が良ければ"見通しはいいから観察するにはうってつけなこと以外は来るメリットがない。


「嘘…こんな子供…。」


「お前が言うなよ!ってかこいつほんとに王国の刺客?こんなちんちくりんが?」


「見た目に騙されちゃだめだよ。聞けばわかる。お嬢さん、ちょっと聞きたいんだけどぉ」


後ろを振り向くと予想通り、さっきの4人組だった。


え?なんでここに?あそこからめちゃめちゃ離れて"見てた"のに!?嘘っ!逃げなきゃ!こいつらはやばい!絶対にやばい人達だ!


私は焦りを押し殺して逃げた。


はぁはぁ早くここじゃない場所へ


「お嬢ちゃん、なんで逃げるのかなぁ。少し話してくれるだけでいいんだけどぉ」


ガシッと腕を捕まれ体が宙に浮く。


「ひゃっ」


「おっとぉ、お怪我はありませんかっなんてね。」


お姫様抱っこぉぉぉぉぉ!?!?

あぁまずいまずいまずい。捕まった。

僕何されるの?絶対やばいよぉ!


「ぁ、あの…僕……」


上手く声が出せない。こわいこわいよぉー!


「ちょっ、暴れるなって」


ひぃーーーー

絶対これ乱暴されるよぉー!おばぁちゃんに気をつけろって言われたのに!


「ちょっと!乱暴にし過ぎ!それでも元ガーディアンズなの!?」


「いや、俺は乱暴になんかって……」


……………………


「あ、」


えっ?元ガーディアンズって確か…


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」


「ちょっ!バカっ!」


「バカ…」


「アホだなぁ全く」


「あわわわわ」


「あなた達が元ガーディアンズぅぅぅ!?!?」


時は進み

僕は彼らにつれて行かれ、町外れの小さな小屋に来てしまった。


「はぁ、なんで言っちゃうかね。こいつはもう返せなくなったし、この子だけならなんとかなるが、この子以外に聞かれてたら本部に戻らなきゃ行けないぞ?」


「ごめんなさい」


女の人はものすごく反省してそう。


「まぁ正体バレちゃったしこれも要らないかな」


そう言って落ち着いた男はフードを脱ぐ。

それに続くようにあとの3人もフードを脱いだ。女の人は子供に脱がせてもらってたけど…


「イリス一応、異空間接続な。」


「はい…」


女の人は落ち込みながらも魔法のようなものを発動した。

いくうかん?

何かが変わったのは分かるがさっきまでの景色と同じように思えた。


「よしこれでいいか。でお嬢さん?こうなった以上君は僕らの仲間になるしかない。」


仲間…?早い…まだ頭が追いついてないのに。


「ぁ、あのぉ、」


何言えばいいんだ?あなた達は誰?ガーディアンズって本当?なんでここに居るの?


「どうしたぁ?」


「お嬢さんって僕男なんだけど…」


何言ってんだ僕ぅぅぅ


「え?あ、そうなのー?可愛い顔してるから女の子かと思っちゃった。ごめんね。」


「あぁいえ、よくある事なので、あははは」


だからなんなんだよ!このやばい状況の平和な会話は!僕はもっと聞くべきことが…


「ちょっとそんなこと今はいいじゃない!早く済ませちゃいましょ。彼女の処分について」


え……しょ…ぶん?


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